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2024年10月8日

【東京六大学野球】慶應2回戦 攻守がっちり噛み合い 待ちに待った2季ぶりの勝利

 硬式野球部(東京六大学野球)は10月6日、慶應義塾大学とリーグ戦を戦い、4-1で勝利した。先発の鈴木太陽(経・4年)が完投勝利をあげ、打線が点を積み重ねていくなど、充実した戦力の中で投打がかみ合った試合となった。(取材・宇城謙人、高倉仁美、清水央太郎)

 

慶大|000000100|1
東大|00021010X|4

 

 9月に開幕した秋季リーグでまだ勝利のない東大。昨年から続く連敗を18で止めるべく、先発のマウンドに鈴木太陽(経・4年)が上がる。先カードの明大戦から先発に配置転換された鈴木。待ちに待った勝利を呼び込んだのは、間違いなく鈴木だった。

 

9回1失点で完投勝利をあげた鈴木(撮影・清水央太郎)
9回1失点で完投勝利をあげた鈴木(撮影・清水央太郎)

 

 初回、左打者が3人並んだ慶大打線をストライク先行の積極的なピッチングで攻めていく。先頭打者を3球でファーストゴロに打ち取ると、続く打者にも力無い打球のフライアウトを二つ奪い初回を難なく抑える。2回表は相手4番・清原正吾を空振り三振に仕留めると、直球と落ちる球のコンビネーションで相手打線を手玉に取っていく。2回表の慶大の攻撃も3人で抑え、チームに流れを引き寄せた。

 

 一方の打線は初回裏に中山太陽(経・3年)、2回裏に杉浦海大(法・3年)がヒットを放ち、慶大投手陣に着実にプレッシャーを与えていく。ヒットを打つたびに観客から歓声が上がるも、なかなか後続が繋がらず、先制点を奪うことができない。

 

 打線がスタンドを埋め尽くす東大側応援団の期待に応えたのは、4回裏。先頭の2番・山口真之助(薬・4年)が死球で出塁すると、前日の試合でスリーランホームランを放つなど絶好調の中山が右前安打で続く。4番・内田開智(文・4年)が送りバントで繋ぐと、5番・大原海輝(文・3年)が放った内野ゴロの間に三塁ランナーが生還。スタンドは先制点に沸いたが、東大打線は先制するだけでは止まらない。さらに6番・杉浦が放った打球は快音を残してレフトへ飛んでいく。打球がグラウンドに弾むと二塁走者の中山が一気に生還し、東大は貴重な追加点を奪った。着実に東大に傾く流れに、スタンドのファンが勝利への期待を徐々に高めていく。

 

大きな追加点となるタイムリーを放った杉浦(撮影・清水央太郎)
大きな追加点となるタイムリーを放った杉浦(撮影・清水央太郎)

 

 5回裏は先頭の鈴木、9番の小村旺輔(文Ⅰ・2年)があっという間に凡退してしまうが、今秋復帰した酒井捷(経・3年)が3人で攻撃を終わらせない意地を見せる。右前安打で出塁すると、次の打者の打席で果敢に盗塁を試みる。するとこれが相手の守備の乱れを誘う。酒井は自慢の俊足を飛ばして一気に本塁突入。間一髪のタイミングでセーフとなり、東大が追加点を挙げると、スタンドは大盛り上がりを見せる。

 

 先発の鈴木は慶大打線に付け入る隙を与えない。3回表、4回表の慶大の攻撃を3人で抑えると、5回表には先頭の清原からこの日二つ目の三振を奪い、段々とチームに流れを呼び込む。その後も鈴木は慶大打線を手玉に取り、6回表まで1本のヒットも許さない。

 

 東大では97年ぶりとなるノーヒットノーランの記録がちらついてくる中、鈴木は7回表のマウンドにも上がる。先頭打者をショートゴロに打ち取ると、迎えた相手3番・水鳥との勝負。浮いた変化球を見逃さなかった水鳥の放った打球は中前にポトリ。ここまで懸命なピッチングで続けてきた記録が途切れ、スタンドからはため息がもれた。続く4番・清原にも安打を打たれ、一気に走者一三塁のピンチを迎えてしまう。さらに相手5番・横地が放った2球目はレフトに上がる。レフト・中山が危なげなく捕球してアウトは奪うも、この間に三塁ランナーがスタートし、本塁セーフ。1点を奪われ、なおも続く慶大の攻撃に、スタンドににわかに緊張が走る。しかし鈴木は一段とギアを上げ、きっちりと三つ目のアウトを取り最小失点で抑えた。

 

七回、ピンチを最少失点に抑え雄叫びをあげる鈴木太陽(撮影・清水央太郎)
七回、ピンチを最少失点に抑え雄叫びをあげる鈴木太陽(撮影・清水央太郎)

 

 点差を詰められ、勝利への暗雲が立ち込めてきたかのように見えた7回裏。しかしここでも酒井が東大打線の底力をみせる。一死から放った打球はライトへの大きな当たりとなり、この日2本目の安打となる二塁打を放つ。すると2番・山口がレフトへの安打でつなぎ、東大は絶好調の3番・中山の前に走者一三塁のチャンスを作る。スタンドが追加点に大きな期待を寄せる中、中山が代わった相手投手・前田の4球目を流し打った打球はレフトへのフライ。犠牲フライにはやや浅いとも思われたが、三塁走者の酒井が執念のスライディングを決め、本塁セーフ。再び点差を広げ、慶大を突き放した。

 

この日2安打に犠牲フライを記録した中山(撮影・清水央太郎)
この日2安打に犠牲フライを記録した中山(撮影・清水央太郎)

 

 8回の攻防では点が動かず、迎えた9回表。1年ぶりの勝利がすぐそこまで近づき、ファンの鼓動が高鳴る。マウンドにはここまで1失点に抑える好投を見せてきた鈴木。ワンアウト、ツーアウトと着実に取り、勝利までアウトカウントあと一つ。4番・清原にはセンター前に弾き返されてしまうが、迎えた5番・横地との勝負。ストライクゾーンにどんどん球を投げ込んでいき、強気の勝負を仕掛ける。手に汗を握る勝負は鈴木の気迫の投球が勝ち、横地が4球目を打ち上げる。高々と上がった打球はライト・橋元崚人(文・4年)ががっちりと捕球。待ちわびた勝利の瞬間に、鈴木は拳を突き上げて喜びをあらわにした。

 

 鈴木の完投に加え、効果的に点を積み重ねて勝利を掴んだ東大。昨年の秋季リーグ・法大戦以来となる1年ぶりの勝利を挙げ、次戦に3年ぶりとなる勝ち点への望みをつないだ。

 

試合を終え、喜びを爆発させる選手たち(撮影・清水央太郎)
試合を終え、喜びを爆発させる選手たち(撮影・清水央太郎)

 

【記事修正】2024年10月8日20時30分 「打球はライト・大原ががっちりと捕球」となっていたものを、正しい「打球はライト・橋元崚人(文・4年)ががっちりと捕球」表記に修正しました。

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