スポーツニュース

2024年10月21日

【東京六大学野球】慶大3回戦 粘投で食らいつくも 打線沈黙

 硬式野球部は7日、慶應義塾大学とリーグ戦3回戦を戦い0ー3で敗れた。互いに譲らぬ投手戦を序盤こそ繰り広げたものの、中盤に差を広げられ、終わってみれば完封負け。同一カード2勝で得られる勝ち点こそ逃したものの、残る対戦に希望をつなぐ収穫のある3試合となった。(取材・清水央太郎、高倉仁美、宇城謙人)

 

東大|000000000|0

慶大|00011100 X|3

 

 初回に中山の3点本塁打で先制しながらも逃げ切れずに惜敗した1回戦。鈴木の熱投に打線が応え完勝した2回戦。2日間に渡る互角の戦いが生み出した久しぶりの期待感が渦巻く神宮球場のマウンドに登ったのは、2人の「渡辺」だった。

 

 東大打線は初回、相手先発・渡辺和大の立ち上がりを1戦目と同様、2番・山口真之助(薬・4年)が襲い、センターオーバーの三塁打を放つ。喉から手が出るほど欲しい先制点を奪うべく打席に立ったのは、今節絶好調の中山太陽(経・3年)。しかしこの打席では鋭いゴロが運悪くサード正面へ。本塁は狙いづらい打球かと思われたが、山口は7年ぶりの同一カード2連勝に向けギャンブルスタートを敢行する。だが気迫も虚しく、判定はアウト。後続も倒れ得点は奪えなかった。

 

 しかし淡青のユニフォームを身にまとう渡辺向輝(農・3年)も負けてはいない。打者の見慣れない角度から放たれる、緩急織り交ぜたボールで陸の王者を手玉に取り序盤の3イニングを無失点。この日もがっぷり四つの戦いを見せる東大ナインの姿に、青一色の応援席にも淡い期待が漂い始める。

 

東大の先発・渡辺向輝は上々の立ち上がりをみせる(撮影・宇城謙人)

 

 そんな空気感を打ち破ったのは、相手主砲・清原。四回裏、渡辺向輝の高めに入った直球を振り抜くと打球は、弧を描くこともなく一直線でレフトスタンドへ。この回こそ最少失点で抑えたものの、続く五回も二死二塁のピンチを背負い、打席にはまたも清原。2ストライクまで追い込んだものの、三振を奪いにいった外角低めのボールをすくわれ、技ありの右前安打。プロ野球のレジェンドを父に持つ者同士の対決は、またも清原に軍配が上がった。

 

 六回にも1点失った東大は八回、勝負の代打攻勢に出る。初回以来チャンスを作れず散発3安打に抑え込まれる嫌な流れを変えたい場面だったが、まさかの三者連続三振。回を追うごとに迫力を増す渡辺和大の直球に舌を巻くしかないスタンドの心情を移すかのように、グラウンド上空には慶應のユニフォームと同じ灰色の雲が漂い始める。

 

劣勢の終盤を前に、選手たちは円陣を組む(撮影・宇城謙人)

 

 迎えた九回裏、山口がこの日2安打目を放ち気を吐くと、二死から4番・内田開智(文・4年)も出塁。本塁打が出れば同点の二死一、二塁のチャンスで打席に立ったのは、昨季ベストナインながらここまで不調の大原海輝(文・3年)。いつの間にか雲の消え去った快晴のなか、地鳴りのように響く太鼓の律動。それに呼応し、今日一番の大歓声が、追い込まれた大原に浴びせられる。勝負の一球。スタンドの期待感を一身に背負った大原は渾身のフルスイングを見せるも、無情にもバットが空を切りゲームセット。現行ルールでは7年ぶりとなる勝ち点は逃した。

 

好機の九回で三振 大原は悔しさを隠しきれない(撮影・宇城謙人)
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