硬式野球部(東京六大学野球)は10月13日、法政大学とリーグ戦2回戦を戦い3-2で勝利した。序盤のつばぜり合いを切り抜け、中盤からは八回まで各回を無失点に抑え合い、試合は最終回までもつれ込む。九回裏、サヨナラのチャンスをものにして歓喜に踊り、場内は感動に包まれた。(取材・佐藤健、清水央太郎、新内智之、五十嵐崇人、吉野祥生)
法大|011000000|2
東大|101000001X|3
前日は0-16と手痛い敗北を喫した東大。先の雪辱を果たすべくマウンドに登ったのはアンダースローの右腕・渡辺向輝(農・3年)。初回を無失点に抑え上々の立ち上がり。その裏、先頭打者の酒井捷(経・3年)が四球で出塁すると、続く山口真之介(薬・4年)も右前打を放つ。二塁に進もうとする山口真を挟殺にしようとする隙をついて酒井が生還、先制の喜びに応援席も沸く。しかし二回表、前日に本塁打を放った相手5番・松下がこの日も本塁打。あっという間に同点にされるも渡辺の好投で続く打者を打ち取る。三回表も法大の攻撃を止められず、2死一塁から相手4番・内海の適時打でさらに1点を勝ち越されるが、その裏、東大の攻撃では相手の失策も絡み1点を返し再び同点。昨日とは打って変わって激しいつばぜり合いを繰り広げる東大と法大。スコアボードには0と1が並び、勝ち越し点をもぎとれと、毎回のようにボルテージMAXの応援歌が奏でられる。
空には雲間に太陽が見え隠れし、ともすれば勝てるかもしれないという淡い期待を抱く応援席。四回からは互いに無失点に抑えるという静かだが熱い試合展開。東大は次々と交代する相手投手に対応し、出塁は果たすも、勝ち越し点には至らずもどかしい。渡辺も幾度となく走者を背負い、時には満塁のピンチに陥るも、勝負強さを発揮し九回表まで無失点。回を終えるごとに窮地をしのぎ続けた渡辺をベンチメンバーは賞賛。好守備を見せた守備陣、あと一歩のところで得点に至らなかったが惜しい打撃を何度も放った攻撃陣を互いに称え合う。チーム一体となって丁寧にじっくりと試合を運び、つないだバトンはついに最終回へ。
九回裏。その表を無失点で抑え、現在同点。1点でも取ればサヨナラという状況で、この回の先頭は杉浦海大(法・3年)。安打を放ち出塁すると、続く竹山直太朗(文Ⅱ・2年)がバントをきっちり決めて杉浦を二塁へ送る。1死二塁、応援席からの大音声を背負い、打席に立ったのは門田涼平(文Ⅲ・2年)。初球、バットがひらめき、勝利への希望を乗せた打球は右中間を破る鋭いライナー。誰もが勝利を確信したその瞬間、杉浦が頭から本塁へ突っ込み、スコアボードには1Xの文字。サヨナラ勝利の雄たけびをあげ、本塁を踏んだ杉浦のもとへベンチメンバーが駆け寄る。勝利をもたらした適時打を放った門田も加わり、応援席も一体となって皆で喜びを分かち合った。今季2勝目をあげた東大、チーム全員でつないだバトンが劇的サヨナラ勝利というゴールをもたらした瞬間だった。