授業

2025年3月25日

先輩の時間割をチェック!履修計画の立て方(理Ⅰ~Ⅲ編)

 

 東大の前期教養課程では、文理の枠を超えて幅広い科目を自由に履修できる。一方で、新入生にとっては履修の組み方が分からず、手探りで決めることも少なくない。そこで、各科類の東大生がどのような目標を持って履修を組み、授業を受けてきたのかを紹介する。履修計画の参考にしながら、自分なりの学びの方向性を見つけるヒントにしてほしい。(1Sは1年次Sセメスター、1Aは1年次Aセメスターを意味する。セメスターは4カ月単位の授業期間。時間割は全て1Sのもの)(構成・劉佳祺、取材・溝口慶、山本桃歌)

 

理Ⅰ×出席重視 先々を見据えた履修を

 

 1Sでは総合科目として「基礎化学」と「基礎統計」を履修しました。クラスごとに受講曜限が決まっていて受講する人が多いからという理由だけで履修することを決めましたが、「基礎化学」は1Aの必修科目である「構造化学」につながる内容であるため、1Sのうちに内容をつかんでおくと良いと思います。教員の厳しさによっては聴講を視野に入れるのもよいかもしれません。

 

 1Sでは出席のない授業をさぼりがちになってしまったので、1Aでは成績評価で出席が重視される総合科目を履修するように心掛けました。中でもC系列の「現代と政治」では、毎週異なる法学政治学研究科・法学部の教員が、裏金問題やウクライナ情勢などの講義をする授業でした。教科書にあるような話だけではなく、社会問題を絡めた話を聞くことができ、大変興味深かったです。評価方法は毎回の授業後の300字のリアクションペーパーのみでした。

 

 必修科目の中で特に面白かったのは1Aの「電磁気学A」です。高校物理の電磁気は公式を暗記することが基本ですが、ただ暗記していただけの公式を丁寧に導出することで電磁気への理解が深められたと思います。

 

 集中講義(授業の曜限が決まっていない授業。長期休暇に行われることもある)を取りたかったのですが、抽選に外れてしまい履修することができませんでした。人数に制限がある講義を履修したいときは、自分の思ったように履修が組めなくなる可能性があることも視野に入れておくと良いかもしれません。

 

 進学選択を見据えたときの注意点として、良い成績が取れるかを考えることも大切だと思います。テストが難しく、高い評価があまりもらえないと評判の授業は聴講するという選択肢もあります。

 

 

理Ⅱ×最大努力 東大でこそ、3倍頑張る

 

 1Sでは、がむしゃらに単位を多く取ろうと、キャップ制(履修単位数に上限を設ける制度)にカウントされない「アドバンスト理科」や、教育学部が開講している教職課程科目、主題科目の集中講義を取りました。高校の教師に「人の3倍勉強しろ」と言われたのがきっかけです。1Aでは、より興味に合わせた努力に切り替えました。総合科目の「歴史と文化」は、エジプトに37年通い続けているという教員の担当で、近年の歴史的出来事に関して、実際に見てきたことをそのまま話してくれて、本当に面白かったです。

 

 さらに興味に合わせて四つの総合科目を聴講しました。その中でも、「生物物理学」は自分のやりたいことに近く、生命現象を数学や物理学で表せるのは圧倒されました。ただ、「生物物理学」へこそ全て行ったものの、他の聴講は全ては行けませんでした。というのも英語中級の課題や部活に割く時間も増えたからです。聴講については、1Sで友達が取っている授業がどうやら面白そうで、気になって行ってみたのが初めての体験でした。

 

 授業外で最も時間を割いた授業は「基礎物理学実験」と「基礎化学実験」です。予習の仕方やノートに書くべき考察の量がきっちり決められていて、それをこなすのが大変でした。高校で物理を選択しておらず、特に「基礎物理学実験」では新出の内容に苦しみました。

 

 とはいえ、基礎実験以外の必修科目の負担は教員の個人差に依るところは大きいと思います。頑張って下さい。今思えば、興味分野が定まっていたので、授業に限らず関連した本を読むという勉強の仕方もありました。特に新書は特定の分野を軽く学ぶには適しているからです。ただ単独で学ぶのが難しそうな科目は、2Sで授業をとってみようと考えています。

 

 

理Ⅲ×バランス型 想定よりずっと重かった英語中級

 

 1Sで特に面白かったのは、主題科目の学術フロンティア講義「Medical Biology入門」です。毎週異なる医学部の研究者が講演するオムニバス形式の授業で、生命現象に関して、持っていた印象と異なる話を聞けたんです。1Aでは「記号論理学II」が面白く、特にゲーデルの不完全性定理についての数学の話が印象的ですね。

 

 履修は主にシラバスを読んで決めましたが、1Sで受講した「生体医工学基礎I」が面白くかつ楽な授業だったので、1Aではそのまま「生体医工学基礎II」も受けました。面白そうなものを選んで履修したので、総合科目の進学に必要な単位は1年では埋め切れていません。2SでF系列を履修するつもりです。

 

 必修の都合上、自由に組めるコマ数は決して多くはなく、それも総合科目で埋まるので履修の自由度は高くありません。1Aでは偶然1限に授業が少なくて助かりましたが、1Aの「英語中級」の課題が、思っていたよりもずっと重く、勉強のリソースをほぼそこに割くことになりました。それゆえに必修のドイツ語などの勉強時間は大きく削られましたし、もしも冬季で部活がオフシーズンでなかったら、単位を落としていたかもしれません。ヒヤヒヤしました。ただ、一般的に重いと言われがちな「基礎実験」ですが、こちらは想像よりは楽でしたし、「英語中級」も、他の先生の授業を受けている友達はそう忙しそうには見えなかったのですがね。もしここまで重いと知っていたら、「英語中級」は2Sに後回しにできるので、むしろキャパシティを考慮して履修を断念していた総合科目「比較社会論」を取ったと思います。というのも、自分の興味にも合う上に、友達いわく結局負担は重すぎず、そして部活に合わせて5限の授業をとって上手に時間を過ごしたかったからです。

 

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