授業

2025年3月24日

先輩の時間割をチェック!履修計画の立て方(文Ⅰ~Ⅲ編)

 

 東大の前期教養課程では、文理の枠を超えて幅広い科目を自由に履修できる。一方で、新入生にとっては履修の組み方が分からず、手探りで決めることも少なくない。そこで、各科類の東大生がどのような目標を持って履修を組み、授業を受けてきたのかを紹介する。履修計画の参考にしながら、自分なりの学びの方向性を見つけるヒントにしてほしい。(1Sは1年次Sセメスター、1Aは1年次Aセメスターを意味する。セメスターは4カ月単位の授業期間。時間割は全て1Sのもの)(構成・劉佳祺、取材・宇城謙人、岡拓杜、吉野祥生)

 

文Ⅰ×理転も視野に 1Sで進路を決定 1Aでは要求科目を中心に履修

 

 1Sでは単位は上限まで取っておこうと思い、ターム制の主題科目を交え30単位分の授業を履修しました。文Iを修了するためには「法I、II」または「政治I、II」の単位取得が必要ですが、「政治I」は齋藤幸平准教授の「哲学I」の授業と被っていたので履修しませんでした。そのぶん社会科学の授業を取っておこうと考え、坂井秀隆准教授の「数学I」の授業を履修しました。

 

 数学には中学生の時から興味がありました。きっかけはサイモン・シン(青木薫訳)『フェルマーの最終定理』(新潮社)という本を読んだことです。ただ、高校受験や大学受験では数学で思うような点数を取れず、自信を失っていました。「数学I」でも最初は問題に歯がたたず、手探りの状態で解き進めていましたが、結果として90 点を超える点数を取れて自信がつき、難しい問題にも美しい解答があることに魅せられたので理学部数学科への進学を目指して勉強することに決めました。

 

 1Aでは理学部数学科の要求科目の履修を進めました。『履修の手引き』の該当ページは何度も参照し、理科生の基礎科目が要求科目の場合は履修のための手続きが必要なので、教養学部の「前期課程問い合わせフォーム」に何度も問い合わせました。

 

 結局1Aでは要求科目を10単位分履修することにして、残りの要求科目と要望科目は2Sで履修することにしました。1Aで履修した要求科目は難易度が高く、午後7時30分まで大学に残って勉強していたにもかかわらず苦戦続きでした。夏休みは数学の勉強に打ち込んでいたのですが、実際の授業では物理の知識が必要なことも多く、理解が追いつかずに解法の暗記に近い勉強になってしまうことがありました。理転を志す後輩には、早い段階での理系数学や物理の基礎固めを勧めたいです。

 

 

文Ⅱ×効率重視 堅実に「文ニート」目指す

 

 2Sの履修を0コマにする「文ニート」を目指し、1年生のうちに必要な単位を取り切る心積もりで、履修上限ギリギリまで登録しました。経済学部は進学選択の底点が約75点と低くはないので、選択科目は単位だけではなく高得点が期待できる授業を選ぶのがおすすめです。興味がある授業は1Aで履修すれば良いので、1Sは文ニートを目指すなら効率重視ですね。

 

 単位を取り切るためにも、オンラインやオンデマンドの授業を進んで選ぶようにしていました。例えば「数学 I」は全てオンデマンドで受講しました。ただ、文IIで必修の数学と経済は自宅から受講できる授業が多いといえども、1セメスターで扱う範囲が広く、試験勉強はかなり大変です。しかも一度単位を取ってしまうと再履修できないため、中途半端な点数を取って時間が無駄にならないように勉強計画を立てる際に気を付けましょう。

 

 レポートの場合は準備などを含め1週間はかかります。試験期間が始まる前に提出しておきたいので、レポート評価の授業は2コマ程度に抑えておくと良いと思います。評価方法だけでなく2年生の割合に注目するのもポイントです。「地域文化論I」は2年生が多かったので、好成績を出しにくかったことを後悔しています。他クラスの必修が重なっているコマは1年生の履修者が少ない傾向にあります。「中国語初級(インテンシヴ)」は履修して正解でした。L系列の単位を埋められるだけでなく、優3割規定の対象外で100優上も期待できます。

 

 より良い大学生活のためには自由な時間の確保を意識するのも重要です。全休こそ作れなかったですが、1Sでは週の前半に授業を固め、後半でまとまった時間を取れるようにしました。あと空きコマを作るなら3限です。図書館での作業がアドバンテージになりますよ。

 

 

文Ⅲ×興味重視 教養を実感できる授業を

 

 できるだけ早めに多く単位を取っておこうと1Sは週 15コマ履修しました。文学部で日本史を専門にしたいので、日本史関連の授業を中心に興味がある授業を幅広く選びました。そのため総合科目ABC系列が多い時間割になっています。自分の関心と近い分モチベーションも高くそれほど大変には思いませんでした。

 

 歴史全般に興味はあったものの、入試で世界史を選択しなかったため知識に不安があり、世界史を扱う授業は避けました。高校世界史の内容が前提の授業も多いので、日本史・地理選択だった文科生は注意してほしいです。

 

 基礎科目の社会科学に関しては、文IIIは他の科類に比べて必要単位数も履修の制約も少ないため、必修との兼ね合いを考えて無理をしませんでした。

 

 興味深かった授業は、1Sに開講された湯川拓准教授の「国際関係論」です。解説がとても分かりやすかったので、前提知識なしでも理論を理解することができました。世界で起こっている各事象にこの理論を演えん繹えき的に当てはめることで、国際関係を俯ふ瞰かん的に捉えられるようになったと思います。

 

 1Sで一番楽しかったのは、孝藤右近講師の「全学自由研究ゼミナール」です。盆踊りの振付けを習って実際にみんなで踊るという内容で、体を動かしながら「教養」を実感できる面白さがありました。主題科目なのでしっかり単位ももらえます。

 

 文科生は前期教養課程で総合科目L系列を必修以外に2単位取る必要があり、いつ履修するか悩む人が多いです。1Sは第二外国語や初年次ゼミナールで忙しかったので、必修の授業が減って少し落ち着いた1Aで第三外国語の韓国朝鮮語を履修しました。L系列の2単位は1Aまたは2Sに回してもよいと思います。

 

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