日本では知らない人も多いだろうが、ボート競技というのは、世界的にはメジャースポーツであり、オリンピック競技の中で最も出場人数が多い競技としても有名である。知らない人のために、最初に競技内容を説明させていただこう。ボートに乗って、オールを使って2000mを漕ぎ、順位を競うという非常にシンプルなスポーツである。様々な種目があるが、長いオールを一人一本持って漕ぐスウィープ種目と、短いオールを一人二本持って漕ぐスカル種目に大別される。また、体重によって軽量級種目とオープン種目に分かれており、オリンピックでは、現在、男子8種目、女子6種目が実施されている。リオ・オリンピックの見どころを執筆するにあたって、全ての種目を説明していては紙幅がいくらあっても足りないため、ここでは種目を絞ってお届けする。
まずは男子のエイトから行こう。エイトというのは、8人の漕手と1人の舵手、合計9人で構成され、ボート競技の中で最速を誇る、言わずと知れた花形種目である。見どころとしては、強豪イギリスが宿敵ドイツを倒し、悲願のオリンピック金メダルを獲得できるか、というところであろう。イギリスは2000年のシドニーオリンピックで金メダルを獲得して以降、3大会連続で金メダルを逃している。昨年、一昨年の世界選手権では宿敵ドイツをコンマ一秒以下の差で下して優勝を勝ち取っており、絶好調のイギリスとしては、何としてでもこのチャンスを掴み取りたいと考えているだろう。
続いては、男子のシングルスカルだ。ここ5年ほどは、ニュージーランドのマー・ドライスデールとチェコのオンドレイ・シネクの二強体制となっている。近年の結果を見ると、ロンドン五輪ではドライスデールが優勝、ここ二年の世界選手権では、シネクが僅差でドライスデールを下している。リオの決勝の舞台では、この二人が幾度目かの熱戦を繰り広げることになるだろう。
さて、男子はこの辺にして、女子に焦点を当てることにしよう。日本では少し状況が異なるのだが、世界では女子でもエイト競技が花形であるため、女子エイトの見どころを軽く紹介することにする。女子エイトに関しては完全にアメリカ一強であり、見どころとしては、他の国が王者アメリカを倒すことができるかどうか、というところであろう。しかし、最近の世界選手権を見ていても、2位とは厳然たる差が存在し、あまり期待が持てないところではある。
ここまでは世界の話に終始してきたが、最後に我が国、日本について語ることにしよう。今回の日本の選手団は、軽量級の男子、女子ダブルスカルのみの出漕となっている。ボート競技というのは最終的には体力勝負となってしまうため、一般的に日本人は体格に勝る欧米人には勝てない。それ故に、オリンピックのような世界大会では重量級には出漕せず、軽量級に狙いを絞っている。しかし、その軽量級種目においてもやはり世界の壁は厚く、未だ日本がオリンピックでメダルを取ったことはない。今回のリオ・オリンピックは、4年後に控えた東京オリンピックに向けた大事なレースであり、良い成績を残すことが期待される。2クルーともメダル獲得とは至らないまでも、決勝進出は果たしたいものである。
東京大学運動会漕艇部
主務 成宮大翔
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