東大生協は、今年5月から店舗でのレジ袋の無料配布を終了し、1枚5円の有料制に移行した。まもなく移行から4カ月となるが、使い捨てプラスチック削減のために導入されたという有料化は、どれほどの効果を生んだのか。東大生協に話を聞いた。
(取材・中野快紀)
学生の間で浸透
レジ袋有料化の契機となったのは今年2月の閣議決定だ。官公庁や国立大学構内の店舗に対し、食堂での使い捨てプラスチック製品の使用禁止や、売店での同製品削減への取り組みを求める方針を定めた。東大生協はこの閣議決定や社会全体の流れを受け、5月からレジ袋を有料化することを決定した。
有料化した当初は、生協の経営難のために行ったのではないかなどの声も寄せられたという。しかし、東大生協総務課の矢野正悟課長は「有料化の目的は廃プラスチックを削減すること。利益目的の有料化ではないため、利用者が支払ったレジ袋代は大学に寄付する予定だ」としている。
生協の店長間で、レジ袋有料化の方針で合意したのが3月の中旬。そこから5月には完全に有料に移行するという対応を取ったた め、周知期間が1カ月と短く、当初は日常的に生協を利用する学生の中にも有料化について知らない利用者が見られた。しかし、現在ではほとんどの学生の間で浸透しているという。
実際、有料化してから3カ月のレジ袋の利用率の推移を見ると、ほとんどの店舗で7月の利用率が5月を下回り、7月の利用率は全店舗平均で3.09%となった(表)。さらに、生協でのレジ袋の発注数は無料配布時の半数未満で済むようになった。レジ袋の使用を控える意識が波及してか、紙袋の使用数も減少したという。2006年に本格的にレジ袋を有料化した千葉大学生協では、18年度のレジ袋の利用率が0.5 %と低く、東大でも将来的には同様の利用率への減少が期待 される。
有料化の徹底を目指す
ただ、レジ袋の削減に向けては課題も残る。表で示した各店舗のレジ袋の利用率のうち、本郷キャンパスの第二購買部では他の店舗に比べて利用率が高めだ。観光客など大学外部の利用者が多いため、レジ袋の有料化が十分認知されていないという。さらに、東大グッズの購入者には、通常のレジ袋とは異なるプラスチック製の袋を無料で配布しているが、第二購買部の秋山純平店長は「将来的には、どのような利用でもレジ袋を有料として協力を求めたい」と今後の見通しを述べる。さらに、東大グッズの一つとして東大のロゴが入ったエコバッグの商品化も進めているという。
6月に世耕弘成経済産業相が、来年4 月からレジ袋有料化の義務化を目指す旨を表明するなど、社会全体でレジ袋の無料配布への見直しが進んでいる。多くの人が日常的に利用するコンビニエンスストアでの有料化が本格化すれば、大学の内外を問わず利用者の意識はさらに高まるだろう。生協でも、現在のルールを維持しつつ、法整備や新技術の開発を注視するとしている。
この記事は2019年8月27日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナル記事を公開しています。
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