東大は1月17日、来年度の学部入学生から適用される授業料免除拡充の詳細を発表した。世帯年収600万円以下の学生は全額免除、世帯年収900万円以下の地方出身学生は授業料の4分の1免除となる。留学生は対象から除外される。
来年度からの新授業料が適用される学生のうち、世帯年収600万円以下(総所得金額が358万円以下)の学生は①父母と同一生計である②学力基準を満たしている-場合に授業料が全額免除となる。
世帯年収900万円以下の学生も、上記の2条件に加え③高校卒業から2年以内に学部に入学している(修士課程はこれに加え学部卒業から1年以内に修士課程に入学)④父母が東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県以外に居住している─場合に授業料の4分の1が免除される。
同日、授業料免除に関するウェブページ上でエクセルファイル「学費免除シミュレーター」を公表。世帯人数や所得などを入力することで、入学料や授業料免除申請で参照される「家計評価額」の参考値を確認できる。
東大は昨年9月24日に20%の授業料値上げを発表。学士課程は2025年度、修士課程は2029年度入学生から改定後の授業料(年額642,960円)が適用される。
これまで東大は授業料改定に合わせて、現行の世帯年収400万円以下の学生を対象とした全額免除枠の拡大を検討してきた。9月24日の発表では世帯年収600万円以下の学生の全額免除に加え、600〜900万円の学生にも条件付きで一部免除を発表。今回の発表では詳細な条件が明らかになった。
藤井輝夫総長は授業料値上げについて9月10日に記者会見を開いた。この中で藤井総長は、親の収入があるものの親に頼れない学生などに対しても「きめ細やかな対応をしたい」と述べていたが、今回、これについて発表はなかった。
9月24日の発表の際には、一部の学生から今回の免除措置について疑問を呈する声が上がった。東京大学教養学部学生自治会は決定に対する抗議声明で、東大が個別の事情を勘案して授業料の一部免除を行うとしたことについて、学費の負担能力は簡単に判別できない点を指摘。世帯年収の申請や免除審査についても、元々苦しんでいる学生の負担を増加させる点で不公平だとしていた。
東大による支援拡充とは別に、来年度からは国の施策により子供が3人以上いる世帯の学生は所得制限なしで入学金と授業料が無償化される。