留学に行きたいと思いつつ、不安を抱いている人は多いだろう。そんなあなたにおすすめなのが、この企画「てるよしかねこのリアルタイム留学記」だ。2024年の秋から英国に1年間、現在進行形で留学をしている金子照由さん(24年3月東大工学部卒業)が、リアルな留学事情をお届けする。リアルタイムで留学に行っていることを生かし、本編とは別に読者から質問に答えるコーナーも設けた。過去の留学を振り返るのではない、フレッシュな記事をお楽しみいただきたい。(寄稿=金子照由、編集=安部道裕、写真は全て金子さん提供)
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お気に入りのバーでロンドンっ子気分に
雨や風が強く、太陽の姿が一向に見えない日々が続くこの頃。友人と「土日を含めて朝から晩まで学校にいるから大丈夫だね」と冗談交じりに話していたものの、こんな天気が続くとさすがに辛くなってきた。こんな時ロンドンっ子はどこへ行くのか、それはバーだ。平日でも賑(にぎ)わっているが、特に金曜日の夜はどこに行っても満席状態になる。聞けば、多くのロンドン人は自分のお気に入りの飲み屋を持っているのだとか。今回は、そんなロンドンで私のお気に入りのバーを紹介したい。
ロンドンで初めてお酒を飲んだのは、フラットメイトと一緒に訪れた「Ye Olde London」というバーだった。17世紀から続く老舗で、チャールズ・ディケンズによる小説『二都物語』にも登場するらしい。看板が「ザ・ロンドン」といった雰囲気でグッとくる。
店内は薄暗く、まるで17世紀のまま時間が止まったかのような雰囲気だ。かなり古びた感じはするが、階段や床の木材などを見ると、丁寧に使われてきたことが感じられる。地下にはワインバーも併設されている。ゆっくりとお酒を楽しむことができるのがこの店の魅力だ。
ちなみに、イギリスのバーやパブは先払い方式であることが多い。カウンターに行って、ビールやサイダーを注文しお金を払うと、蛇口から注いで渡してくれる。クラフトビールを多数揃えているお店が多い印象だ。お酒の値段は1杯あたり7~10ポンド(約1300~1900円)程度と少し高めだが、雰囲気や長時間リラックスして過ごせることを考えると十分に妥当だと思える。
次に紹介したいのは、私の通うAAスクール(Architectural Association School of Architecture)の近くにある「Bricklayers Arms」というバーだ。老夫婦が経営しており、店の1回には看板犬がいつも寝そべっている。このバーは大通りから少し外れた場所にあるからか、金曜日以外はそれほど混雑しておらず、穴場なのだ。店内には、古い建築の図面や大工道具が飾られており、建築学生としては、それを見るだけでお酒が進む。2階には暖炉があり、寒い今の時期は暖炉の前のソファ席を確保するための争奪戦が繰り広げられる。このバーも、ろうそくや暖炉の光でほんのりと薄暗く、リラックスしてお酒を楽しむには最適な場所だ。
お酒を飲むにはロンドンは最高の街だろう。だが注意も必要だ。先日、大学のクラスのみんなと飲んだ後、ソーホーと呼ばれる中華街を抜けて学校に戻ったのだが、あるクラスメイトは財布がすられていた。お酒に酔って携帯や財布を盗まれたという話はよくあるのだ。
実は今記事の原稿を書いているのは金曜日だ。今日もスリに気をつけて、今夜のバーを探すとしたい。
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