2020年度に引き続き21年度も東大のグローバルキャンパス推進本部はオンライン英会話サービス「レアジョブ英会話」の1カ月の受講支援を行った。19年には夏季休暇中に英語でコミュニケーションを図るイベントが駒場で開かれていたが、20年以降はコロナ禍で中止となったことがオンライン英会話サービス受講支援を始めた理由だ。オンライン化の波は大学の授業にも及んでおり、20年以降、東大の英語の授業はキャンパスへの学生の集中を理由に感染対策の観点からオンライン化が進んでいる。このように、現在はオンラインで複数の機関から英語教育を受けることができるが、オンライン英会話サービスと大学の英語の授業は今後どのような関係となるのか。レアジョブの中村岳社長に取材した。
「英会話に重点の授業なら可能」
レアジョブは英語関連事業において「日本人1000万人を英語が話せるようにする」というミッションを掲げ、1授業25分で毎日フィリピン人講師等と英語を話せるサービスを提供している。社長の中村岳さんは、会話のためには短過ぎず、集中力の持続のためには長過ぎない25分という時間の中で、学生が英語での表現の仕方を工夫し毎日試行錯誤を繰り返すことが英会話力の向上に直結すると語る。「ビジネスや研究の場では当事者同士の直接のコミュニケーションで信頼関係を築く必要があります」
レアジョブのサービスは英会話が中心だが、英会話に限らず大学の英語全般の授業を担うことはできるのか。中村さんは「英会話に重点を置いている授業ならば担うことができる」と話す。「言語能力の国際的な指標であるCEFR(外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)に沿って英語スピーキング力を測ることができるレアジョブのAIビジネス英語スピーキングテスト『PROGOS®』を用いれば、英語を話せるという状態を数字で把握することができ、学生の英語スピーキングレベルを評価することも可能です」
一方で「英語習得の目的によっては現在担えない領域もあります」と話す。「例えば、研究者として英語の論文を読んだり書いたりすることが目的の場合、必ずしもスピーキング力が必要になる訳ではありません。その場合、大学はライティングやリーディングの授業を行う方が学生の目標達成に直結すると考えるでしょう。一方でレアジョブのサービスでは、スピーキング力を中心に、受講者の英語コミュニケーション力を向上させることを目標としています。そのため、大学がそれぞれの領域で育成したいと考える人材、そしてそこで必要となる英語力によっては、一部大学の授業を担うことができると考えます」
今後の目標について中村さんは「日本の英語話者はまだまだ少なく、アジア諸国と比べて日本のビジネスパーソンの多くが英語を話せる訳ではありません」と指摘。「英語話者を増やすことは世界での日本の存在感を出すために欠かせません。英語を話せる人を増やすことで、日本でも多くのグローバルリーダーを輩出できるよう貢献していきたいと思います」と話した。