東大新聞オンラインで2018年に公開した記事の18年1月1日〜12月13日のアクセス数を調べたところ、テレビ番組と受験・教育に関連した記事が注目を集めたことが分かった。
1位に輝いたのはテレビアニメ『宇宙よりも遠い場所』のいしづかあつこ監督へのインタビュー記事だった。『宇宙よりも遠い場所』は18年1〜3月に放送していた、女子高生4人が南極を目指す物語。17年に本紙で展開した南極特集の拡大版として、いしづか監督に印象的なエピソードの制作秘話を聞いた。高い人気を誇るアニメ本編の内容を押さえた丁寧な取材が、ファンを中心に大きな話題を呼んだようだ。
2位にランクインしたのは、クイズ番組「東大王」にレギュラー出演する鈴木光さん(文Ⅰ・2年)へのインタビュー記事。個性的な推薦生を取材する連載「推薦の素顔」の一環として書かれたこの記事では、テレビに映る姿とは一味違う鈴木さんの学問的背景を掘り下げた。インドやパキスタンの「名誉殺人」について論文を書き推薦入試に挑戦した受験生時代や、東大に入学後面白いと感じた講義について語った鈴木さん。テレビ出演を通じて多くのファンを獲得した鈴木さんが、改めて多くの読者を引き付けた形だ。
3位、5位、8位、10位には、連載「蹴られる東大」の記事が入った。東大と海外大双方に合格し、東大で1学期過ごした後海外大に入学する学生に焦点を当てたこの連載。学生のみならず東大教授や教育の専門家にも話を聞き、国内でも求心力が落ちつつある東大の問題と伸ばすべき強み、さらには学生の学習意欲にも影響を与える日本社会の構造的問題にも目を向けた。国の教育改革が進む中、高等教育の問題を真正面から扱ったことが注目を集めた。
「蹴られる東大」からランクインした四つの記事のうち、3位、8位の記事では17年度に東大に入学した後実際に米国のトップ大学に渡った学生にインタビュー。併願の経緯や、二つの大学の比較から見えてくる東大・米国大それぞれの強みと弱みを聞いた。5位の記事は最多の東大合格者数を誇る開成高校の柳沢幸雄校長に近年の開成高校の海外大進学事情を取材したもの。10位の記事では東大を休学しハーバード大学に進学した髙島崚輔さんに二つの大学の違いを取材した。
4位には、推薦入試に合格した学生の入学後の進学先変更について報じた記事がランクイン。推薦生は入試時に希望した学部に進むのが原則だが、推薦入試第1期生のうち6人が学部もしくは学科を変更していたことが判明した。進学予定の撤回の可否が各学部に委ねられている事実や、方針周知の不徹底さも明らかに。推薦入試の根幹に関わる混乱に注目が集まった。
6位はクアクアレリ・シモンズ(QS)世界大学ランキングで東大が過去最高の23位に入ったことを伝える記事だった。順位は上がった一方、国際性の指標が依然として低いことや、アジア内でも4位に甘んじている実態も報じた。7位は18年度学部前期試験の合格発表について伝える記事。合格者番号掲示板を見て歓喜する受験生を捉えた写真と共に、合格最低点などの詳細な数字を報じた。
9位には上田正仁教授(理学系研究科)へのインタビュー記事がランクイン。入試改革が進む中、大学入学共通テストの制度設計に関わった上田教授に東大入試の持つ意味を改めて聞いた。若年人口減少でトップ層にとって東大に入りやすくなっている現状や、塾が入試対策をマニュアル化してしまう問題を指摘した上田教授。受験生は受験勉強だけでなく自分の興味を伸ばす方向に時間を使い、受験のノウハウを買うのではなく自分で勉強の方法を考えるべきという教授の言葉は、多くの人の関心を集めた。
【2018年 年間アクセスランキング】
1 TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」制作秘話 いしづかあつこ監督インタビュー
3 【蹴られる東大①】本音で語る、僕らが海外を選んだ理由(上) 海の向こうへの挑戦
4 推薦一期生の進学選択 6 人が進学先変更 学部間で対応に差異
5 【蹴られる東大⑧】開成生はなぜ海外大を目指すのか・開成学園柳沢校長インタビュー
6 QS世界大学ランキング 東大は過去10年で最高の23位 国際性の評価深刻
7 18年度前期日程試験3014人が合格 理科で最低点大幅低下、文科は昨年度並み
9 【受験生応援2018】東大教授が語る2 次試験の意味 「知識ではなく考える力を試す」
10 【蹴られる東大④】ハーバードで2 年間 気付いた「自分、東大、ハーバードの強み」
※当該期間に公開した記事のみを集計
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【2018年6月アクセスランキング】世界大学ランキングに関心
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