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2025年4月10日

【新入生アンケート2025】ジェンダー編 女性学生「二浪の壁」、男女比への問題意識に文理で差も

 

 東大に合格した新入生は、どのような環境で受験し、どのような考えを持っているのか。東京大学新聞社は、新入生を対象にアンケートを実施。新入生の93.1%に当たる2870人の回答を基に、東大新入生が持つエリート意識から授業料値上げに対する考えまで、その素顔に迫る3回の連載をお送りする。第2回目の今回は、ジェンダー編として、受験におけるジェンダーの問題や、東大の男女比率に対する新入生の意識について解説する。(構成・岡部義文 執筆・宇城謙人)

 

▼第1回の記事はこちらから▼

【新入生アンケート2025】基礎編 東大新入生、44.7%にエリート意識 理Ⅲで最多

 

ジェンダーと受験女性の高い現役率

 

 全体では75.5%が現役生。昨年、一昨年に続き70%を超える結果となった。男女別に見ると、男性の入学者のうち現役生の割合は73.6%強で、女性の81.9%強と比べ低い結果に。特に女性の現役志向の強さが見て取れる。また、既卒生についても、一浪が21.5%と既卒生のうちのほとんどを占めた。東大に不合格だった場合の再受験回数についても、「現役のみ」と答えた回答者が38.5%、「一浪まで」と答えた回答者が52.8%と、合計91.2%を占めることからも、「二浪の壁」が大きいことが分かる。中でも「現役のみ」と答えた回答者が女性では50%を超え、男性の約34.7%と比べて高い数値となった。

 

 

 

ジェンダー別の大学入学までの経緯(グラフ内の数値は人数)

 

性別に起因する受験への不利益意識、全体的に少数も男女差が

 

 ジェンダーを巡る問題に対する新入生の意識を問う男性で志望校選択や受験で性別を理由に不利益を感じたことが「ない」とした回答者は全科類で95.4%以上を記録、「ある」とした回答者は全科類で3%以下となった。一方の女性でも不利益を感じたことが「ある」とした回答者は全科類で10%以下となるも、男性よりもやや高い水準に。不利益を感じたことが「ない」とした回答者は約84.7%と、男性より低い水準となった。また、特に理科の回答者では不利益を感じたことは「ない」という回答者が少ない結果となった。

 

ジェンダーバランスへの高まる問題意識

 

 東大の男女比に対しては、69.2%が「問題であり、対策を講じるべきだ」または「問題だが、特別な対策は必要はない」と回答。設問が異なるため単純比較はできないものの、昨年の46.5%から増加することとなった。性別ごとでは、男性でジェンダーバランスが「問題であり、対策を講じるべきだ」とした回答者が約30.6%であった。これに対し、女性で「問題であり、対策を講じるべきだ」とした回答者は約45.8%と大きな差が。当事者としての女性の問題意識の高さが推察される。科類別では文科での問題意識の高さが鮮明に。科類別で最も女性の割合が高い文IIIでは、約43.2%が「問題であり、対策を講じるべきだ」と回答し、科類別で最高となる割合に。女性の回答者のうち「問題であり、対策を講じるべきだ」とした回答者の割合に文科類間での大きな差は見られないため、教育学部や文学部といったジェンダー問題を扱うことの多い学部への進学者の多い科類としての特性が反映されていると推察できる。

 

 

 

ジェンダー別の東大の男女比率に対する評価(グラフ内の数値は人数)
科類別の東大の男女比率に対する評価(グラフ内の数値は人数)

 

 第3回では、今年度入学者より適用される授業料値上げやそれに伴う授業料減免措置について、当事者となる新入生の評価を解説する。

 

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