東大に合格した新入生は、どのような環境で受験し、どのような考えを持っているのか。東京大学新聞社は、新入生を対象にアンケートを実施。新入生の93.1%に当たる2870人の回答を基に、東大新入生が持つエリート意識から授業料値上げに対する考えまで、その素顔に迫る3回の連載をお送りする。第1回目の今回は、基礎編として、東大新入生の構成や意識など、基本的なデータを解説する。(構成・執筆 岡部義文)
進むローカル化、首都圏出身56.3%
出身高校は私立高校が昨年から0.5%増の54.1%と過半数を占めた。中高一貫校は昨年から0.8%増の59.2%であり、私立かつ中高一貫校の出身者は約半数の48.9%。科類別の女性比率は文IIIが昨年から4.4%上昇して41.1%と最高で、文I(30.8%)、理II(22.4%)、文II(21.7%)、理III(19.4)%、理I(8.7%)と続く。出身地は東京都が34.8%と最多で、一都三県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の出身者で全体の56.3%を占め、昨年より3%増加した。世帯年収を問う設問では、「分からない」と回答した30.3%を除くと、年収1200万円以上が最多で、全体の28.4%。出身地別の年収内訳では、一都三県の方が地方に比べ年収が高い傾向が見られた。

44.7%がエリート意識、理IIIで最多
エリート意識の有無と、エリート意識を持つことを良いと考えるかどうかを問うと、エリート意識を持っていると回答した人は44.7%、エリート意識を持つのは良いことだと回答した人は75.9%。科類別に見ると、エリート意識を持つと回答したのは理IIIが最多の66.7%で、文I(55.7%)文II(52.6%)理I(41.8%)、文III(39.8%)、理II(37.8%)となった。文科では法学部進学志望者が351人と最多の文Iで、理科では医学部医学科進学志望者が85人と最多の理IIIでエリート意識が最も高く、これらの科類で主な進路として挙げられる弁護士や官僚、医師といった職業のイメージとの関係もうかがえる。

東大合格の鍵は経済力?努力?
「東大合格に特に必要なこと」を選択肢から複数選ぶ設問では、「自己の努力」が57.7%で最多。「周りの学習環境」(54.6%)「試験当日の運」(53.0%)「保護者の経済力」(43.4%)「先天的な要素」(27.7%)「年少時の教育」(25.1%)「保護者の教育への熱意」(11.2%)「居住地」(7.8%)と続いた。世帯年収別にみると、年収が高い世帯の者ほど「保護者の経済力」を挙げることが多く、「自己の努力」が少ない傾向。世帯年収1200万円以上の者は「自己の努力」より「保護者の経済力」を多く挙げていた。

政党支持率無党派層減、立憲・国民増
支持政党は、「支持政党はない」「分からない」の合計が53.4%で、昨年より11.7%減少。支持政党の最多は自民(18.0%、昨年より1.3%減)で、国民(15.5%、昨年より10.3%増)立憲(6.7%、昨年より3.2%増)と続き、両党の増加が目立った。2024年の衆議院選挙などの影響で、無党派層が減少し、躍進した政党の支持が増加したことがうかがえる。
全体の結果は以下の通り。(括弧内の値は昨年の値)
自由民主党:18.0(19.3)
国民民主党:15.5(5.2)
立憲民主党:6.7(3.5)
日本維新の会:2.2(2.5)
日本共産党:1.3(1.2)
れいわ新選組:1.0(1.0)
参政党:0.5(0.3)
公明党:0.4(0.4)
日本保守党:0.4(–)
社会民主党:0.3(0.2)
その他の政党:0.3(1.0)
支持政党はない:39.7(47.0)
分からない:13.0(18.1)
情報収集はXが最多、マスメディアの利用は少なく
情報収集のため毎日使用するメディアを問うと、Xが58.6%で最多、Instagram(45.7%)YouTube(34.1%)と続き、SNSが上位を占めた。マスメディアの利用はテレビ(26.1%)新聞(11.1%)ラジオ(2.1%)と少数派だった。
第2回は「ジェンダー編」として、受験に関わるジェンダーの問題や、東大の男女バランスに対する新入生の意識を解説する。
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