東京大学新聞社は3月26日〜4月1日、東大の全新入生を対象にアンケートを実施し、541人から回答を得た。このアンケートは毎年入学の諸手続き時に実施している。受験や大学生活、進路への意識や社会問題への賛否などを質問し、傾向を分析した。(本文中の割合は小数第1位を四捨五入)
(構成・山﨑聖乃・松崎文香・西岡高志・弓矢基貴)
受験:共通テストの評価「どちらともいえない」5割
●出身地・出身高校
出身校の区分は中高一貫校の私立が45%で、昨年より6ポイント減少。中高一貫でない公立は33%で昨年からほぼ横ばい。共学校出身者が52%、男子校出身者が33%だった。出身校の所在地は東京都の176人(33%)が最多。関東地方の高校出身者は57%だった。
●男女比
科類別の女子学生比率は文IIIの51%が最高だった。残りの科類は割合の大きい方から文I(35%)、理II(24%)、文II(20%)、理I(11%)、理III(10%)の順。
●東大入学について
東大入学を意識した時期は、高校1年が32%と昨年同様最多で、高校2年が22%で続く。東大入学の理由は「研究・教育の水準が高いから」が72%、「入学後の進学選択の幅が広いから」が61%となった。
●入試制度
大学入学共通テストの難易度について尋ねると、「センター試験と同じくらい」が48%と約半数。「センター試験より点が取りにくい」が28%で、「センター試験より点が取りやすい」の18%を上回った。大学入学共通テストはセンター試験に比べて学力を測るのに適切かという質問に対しては、「適切だ」が20%、「適切でない」が24%、「どちらともいえない」が51%だった。
大学生活:留学希望昨年比5.5ポイント低下
●大学生活
「大学生活で最も重視したいこと」を尋ねる設問では「学業」という回答が74%で最多となり、最も重視したいことの他に重視したいこと(複数回答可 ) として「学業」と回答した人を合わせると、合計で95%に上った。「最も重視したいこと」では、2位が「部活・サークルなど」で13%、続く3位は「恋愛」で2%だった。「在学中に海外留学したいか」との質問には「したい」、「ややしたい」と回答した人が合わせて65%。昨年の70% と比べて5.5ポイント低下した。教養教育が中心の前期課程(学部1・2年生)と専門の分野を学ぶ後期課程(学部3・4年生)のどちらに期待するかを尋ねる設問では「前期課程」「後期課程」を選んだ人はそれぞれ、9%と24%となった一方で、「両方同じくらい期待している」人は67%だった。
●奨学金
奨学金受給予定者の割合は、昨年とほぼ変わらず18%だった。貸付型の受給予定者は9%、給付型は13%だった。
●SNS
1日1回は利用するSNSを問う設問 (複数回答可) では、LINE が94%で1位に。2位がTwitterで66%、3位がInstagramで45% となった。
進路:将来への不安、「就職」6ポイント増
●科類別の進学希望先
進学希望先(学校推薦型選抜での入学者は内定進学先)を尋ねると、文Iは法学部(81%)が前年から8ポイント低下した一方、教養学部(11%)が6ポイント増加。文 IIは経済学部(92%)が前年からほぼ横ばいとなった。文IIIでは文学部(46%)、教養学部(17%)が、それぞれ11ポイントの増加、低下となった。理Iは工学部(62%)と理学部(27%)など、理IIでは農学部(25%)、理学部(18%)、薬学部(16%)、工学部(15%)など希望が分かれた。学部・学科選びで重視するものについて、97%の新入生が「自分の興味」を選び、「就職の強さ」(28%)、「設備」(14%)、「研究成果」(13%)などが続いた。
●大学院
大学院進学について、修士・博士課程いずれかまで進学したい新入生は48%。博士課程まで進学したい(10%)という回答は前年から5ポイント低下した。
●卒業後の進路
学部卒業後または大学院修了後の希望進路は「民間企業」が48%で最多。「研究職」(33%)、「公務員」(20%)と続き、「未定」は25%に上った。
●将来への不安
将来不安に思うものを尋ねると、「就職」が60%で前年から7ポイント増加。「収入」(42%)、「後期課程への進学」(38%)もそれぞれ前年より2ポイント、4ポイント増加した。
社会問題:東大の男女比「問題だ」昨年比9ポイント減少
●ワクチンの接種
新型コロナウイルスのワクチン接種が可能になったら接種するかどうか尋ねたところ「接種する」と回答した人が60%、「分からない」が31%、「接種しない」が10%だった。
●東大の学生男女比
本年度の東大合格者の女子比率が初めて21%を超えたことを踏まえ、東大で学生の男女比が約8:2であることについてどう思うか聞くと「問題だ」と答えた人は48%と昨年に比べ9ポイント下落した。一方、「問題ではない」は25%と昨年と変わらず、「興味がない」は19%と昨年から6ポイント上昇した。
男女別で見ると「問題だ」と回答したのは、女性は全123人のうち 58%、男性は全410人のうち44%を占めた。「興味がない」と回答した人は、女性は11%、男性は21%だった。
●希望する授業形式
「対面授業中心」が77%と最多。「オンデマンド(自分の好きな時に動画を再生できる)の授業中心」が10%、「リアルタイムのオンライン授業中心」が 7%、「分からない」が6%だった。
●支持政党
どの政党を支持しているか聞いたところ57%の人が「支持政党はない」、13%の人が「分からない」と回答した。政党の中では自民党が21%と最多。立憲民主党(5%)、日本維新の会(2%)が続き、その他の政党の支持率は全て1%に満たなかった。