NTTと東大は3月30日、汎用光量子コンピューターチップ開発に必須の高性能な量子光源を開発したと発表した。高速な量子コンピューターの実現が期待される。
近年、大規模な汎用量子計算の実現に向けて「一方向量子計算」という手法を使う光量子コンピューターが注目されている。この手法では量子計算の前提となる現象「量子もつれ」のうち汎用性が高いものを用意し、量子ビット(量子情報の最小単位)を測定することで任意の計算を実行する。飛行する光を量子ビットとし、光学的遅延線という装置で一つの光源から無数の量子ビットを生成すれば、汎用性が高く大規模な量子もつれ状態を作れる。
一方向量子計算では量子性を持つスクィーズド光が用いられる。特に連続的に飛行し広帯域なスクィーズド光は、多くの情報を載せられるため、光学的遅延線の小型化などに有用だ。しかし従来、量子もつれの生成に必要な高いノイズ圧縮性と、広帯域性を両立した量子光源はなかった。
研究チームは今回、NTTが研究開発していた非線形光学デバイスで、広帯域性と高いノイズ圧縮率を備えた量子光源を実現。光チップ内で光量子ビットを操作可能にしつつ大規模な量子もつれ状態を生成できるようになった。今後はこの量子光源を用いた量子コンピューターの実現へ、各種光量子の操作を実証する。
この記事は2020年4月14日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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