公益財団法人大平正芳記念財団は、第38回大平正芳記念賞特別賞を木宮正史教授(東大大学院総合文化研究科)に授与した。木宮教授は専門の国際関係論・朝鮮半島地域研究で、韓国・朝鮮半島に焦点を当てた、第二次世界大戦後の東アジア国際関係史について研究を続けてきた。
木宮教授は、従来とは異なる戦後東アジア国際関係史像を確立するという問題意識を持って研究に取り組んできた。今回、受賞のきっかけとなった『日韓関係史』(岩波書店)では、なぜ日韓関係がここまで悪化したのかを考察するとともに、どう取り組んでいくべきかを論じている。
今回の受賞について、同賞選定委員の金子芳樹教授(獨協大学)は「感情論が先走りがちなテーマを扱いながらも、著者はあくまで学術的な実証研究に基づき冷静かつ客観的に、かつ常に日韓双方の認識や対応を併置しながらバランス良く議論を進めていく」と評している。その上で「この問題について考え、議論する際の必読書となるべき著作として、大平正芳記念賞の特別賞にふさわしい」と受賞理由を述べた。
大平正芳記念賞は、大平正芳元首相が環太平洋地域の関係強化を目指して提唱した「環太平洋連帯構想」の発展に寄与する、政治・経済・文化・科学技術に関する優れた著作を表彰するもの。特に特別賞は、啓蒙的著作などの同構想の普及につながるという評価を得た作品に与えられる。今回は、東大出版会の作品二つを含む六つの著作と著者に授与された。
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