様々なジャンルのコアなブースが乱立し、多種多様な興味を持った多くの人たちのひしめく超カオスなニコニコ超会議。歌、ダンス、コスプレ、ボカロ、といったサブカルチャーから、ロボットやグラフィック、バイオなどの最先端の科学、はたまた、深海、宇宙、軍事のブース、台湾との国際交流や大相撲までが展開された。
目移りするばかりのこの会場の中で、私がもっとも興味を抱いたのは言論コロシアム「党首・国民対話集会」だ。このような政治をテーマにしたブースがあること自体、私には驚きで、いかにもニコニコ超会議の多様性を物語っているようであるが、昨今、ネトウヨ(ネット右翼)と呼ばれる若者の右傾化現象が話題となるように、政治というトピックスは若者文化の中で関心が高まっているのかもしれない。
このブースでは日本の各政党の代表者を実際に招き、それぞれごく限られた短い時間の中で政党の政策についての考え方、立場をプレゼンしてもらい、その後TPPについて、若者の雇用について、野党再編についてという今国民の関心が高いトピックについて質問するという内容だった。もちろん、スピーチの様子はニコニコ生放送を通じて全世界に公開されるというのも、企画の目玉のひとつだ。
参加していた政党とそのプレゼンターは以下の通り。
- 自民党 石破茂幹事長
- 公明党 山口那津男代表
- 民主党 高木義明副代表
- みんなの党 浅尾慶一郎代表
- 日本共産党 志位和夫委員長
- 結いの党 江田憲司代表
- 生活の党 主賓了副代表
- 社民党 吉田忠智代表
- 新党改革 荒井広幸代表
まず、面白かったのは、短いスピーチの中でも各政党の「色」が十分に表れていたことだ。社会保障充実を掲げる大きな政府論と規制緩和を第一とする小さな政府論、競争重視か、保護重視か、など政党によって考え方の異なる、時には真逆である論点もあった。
昨年の12月に発足したばかりの結いの党も参加しており、私としては党の数が多いと感じたがどうだろうか。野党再編という議論がなされることもあるが、現在大多数の国会議員を有する与党自民党の行おうとする政策は、盛んにメディアでも取り上げられるため、国民に浸透しやすい。
けれども、これだけ多くの政党が存在すると、どの政党がどのような理念を掲げ、何を目指しているのかが、見えにくくなっていると私は思う。 投票率の低下や、若者の政治離れ、支持政党を持たない国民の増加が叫ばれる昨今、このように大政党も小政党も同じ土俵に上り、国民に直接自らの理念について語り、ニコニコ超会議という大衆参加型のイベントを通して国民が政治・政党を身近に感じられるという意味で、私はこのイベントはとても有意義なものであったと感じた。
若者向けサブカルチャーの筆頭であるニコニコと政治・政党の融合。この異色ともいえる出会いが参加者を動かし、国民を動かし、この国を動かしてゆくきっかけになるのではないかと、大げさながら私は期待している。
(文・西村直人)
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