–まず、国会議員の方は、普段どのような仕事をしてらっしゃるのですか?
中西時期によって一日の動きは大きく異なりますが、国会議員の仕事は3つに大別することができます。
地元での活動、国会での活動、そして政党での活動です。
まず地元での活動としては、毎朝の駅頭活動が代表的です。駅などでチラシを配りながら、自分の声で通勤中の人たちに政策を訴えています。
それ以外にも、土日を利用して、地元の方を対象に国政報告会を開いたり、地元の会合に出席したりします。
朝、地元での活動が終わると、国会に来ます。ここからが、2つ目の国会での活動です。 例えば、国会での質問は、大事な活動です。私は週に2,3回、国会で質問をしています。実際の質問時間は一回20分程度ですが、より良い質問をするために、準備には大変な時間がかかっているのです。
3つ目の、政党としての活動としては、政策を磨くための勉強会、議員立法の審議などがあります。党の広報についても、自分たちで練っています。
–-中西議員のSNSを拝見すると、中西議員の”early bird”っぷりが伺えるのですが、国会議員は皆さんそうなのでしょうか?
朝、駅頭活動をしようと思うと、必然的に朝は早くなりますね。
でも私は、駅頭活動が無いときでも、朝6時くらいから事務所に来て仕事をスタートさせます。
そういう人は、他にはあまりいないかもしれません。
朝9時までの仕事が一番効率が良いのです。朝9時までが勝負だと思っています。
前職でも、「会社の電気は自分でつける」ということをモットーに仕事をしていたので、それがもう染み付いているのです。
–今、前職でのお話がありましたが、そこから議員になろうと決断したきっかけは何でしたか?
直接的な理由は2つありますね。 1つ目は、前職の現場で、国際社会における日本の存在感の低下を肌身で感じていたからです。 2つ目は、リーマンショックを機に、金融の限界が垣間見えたからです。今後は、少なくとも自分にとっては「この仕事は面白くないかもしれない」と思いました。
間接的な理由として、もともと行政に興味があった、という要素も挙げられます。
学生の頃は、外交官に興味を持った時期もあり、憲法や国際法などを学んでいました。
先ほど話したような直接的な要素が自分の中で顕然化したときに、「もともと自分は何に興味があったんだっけ」ということを振り返ってみて、
議員という仕事に挑戦することにしました。
–学生時代は、勉強以外に打ち込んでいたものなどはありましたか?
一時、体育会のボクシング部に属していたこともあります。そのうち、自分でボクシングジムや普通のジムに通いだして、体を鍛えるということにはまりました。
ベンチプレスなどをやりながら5時間くらいジムで過ごしたり、フルマラソンの大会に出たりしていました。
就活では、エントリーシートに、「今すぐ20キロ走れます」なんてことを書いたりしていましたね(笑)。
振り返ってみると、体を鍛えたことは良かったなぁ、と思います。体力があるということは、仕事を始めてからも自信となってくれました。
–学業と体を鍛えること、まさに文武両道ですね。
とはいっても、この二つの軸が定まってきたのは、本郷キャンパスに来てから、つまり3年生になったあたりからです。 駒場キャンパスで過ごした1,2年生のときは、もう少しフワフワしていましたよ(笑)。
–今の学生へのメッセージとして、まず、学生時代はどんな風に生きたら良いと思われますか?
学生時代は、何かに打ち込む、ということが大事ですね。 運動でも学問でもサークル活動でも、何でも良いので、何かに打ち込んだら良いと思います。
–キャリアを選択する際は、どんな点を心がけたら良いでしょうか?
3年間で、自分が本当に「仕事」ができるようになる環境を選ぶ、ということでしょうね。 私について言えば、学生のとき、日本の金融機関に行くのか、または、外資系の金融機関に行くのか、ということで悩みました。どちらで過ごせば仕事ができるようになるのか、人それぞれ判断軸は違ってくると思いますが、私の場合は後者を選びました。
結果としてはその選択がとても良かったと思っています。 ファーストキャリアで入った金融機関では、21年間過ごしました。そこでは、常にやりがいのある仕事がありました。
–今では、外資系の企業に入るという選択をする学生は多くなりました。しかし当時は、メジャーな選択とは言えなかったのではないでしょうか?
そうですね、かなり少数派でした。法学部で10人くらいだったでしょうか。
そういう意味で私は、何事に対しても周囲の流れや流行に従うことが、必ずしも自分の成長を生むとは思っていないのです。
これは、相場観と相通じる話で…
–相場観と?
ええ。金融市場では相場観として、多くの人が買いだと言っている商品を自分も買うという行為を「順張り」、
逆に、多くの人が売りだと言っている商品を買う行為は「逆張り」と表現します。
それで言うと、人生の選択についても、周囲の人が良しと言うことに何となく従って行動することは順張り的だと言えますね。
これに対し、「周囲の人はAというけれど自分はA’だ」、とか、「今はBが流行っているけれど自分はCを選ぶ」、というような主体的な意思決定は逆張り的と表現できます。順張りと逆張り、どちらが良い悪い、というわけではありませんが、順張りはリスクを避ける選択、逆張りはリスクへ立ち向かっていく選択と言えると思います。
当時、外資系の金融機関を選んだ私のキャリア選択は、逆張り的でした。
でも、あの選択がなければ、政治家になろうという決断も、無かったかもしれません。
–今後のご自身については、どんな国会議員でいたいと考えていらっしゃいますか?そうですねぇ…、政治家って言うと、「おじいちゃんばかり」というイメージありませんか??
–ありますね…(笑)。
でしょ。そうならないようにしたいな、と思っています。 おじいちゃんばかりに見えてしまう、というのは、実際の年齢如何にかかわらず、自分でバリバリ動いているイメージを持たれていない、ということの表れだと思うのです。ですから、法案を作ったり、政策を練って提言をしたり、仕事をバリバリと主体的にやり続ける政治家でありたいと思っています。
—-ありがとうございました!
中西けんじ参議院議員:1964年生まれ。1988年東京大学法学部卒業。JPモルガン証券会社に入社し、2006年から取締役副社長を務める。2009年に退社し、2010年7月 第22回参議院議員通常選挙 当選(神奈川選挙区)。
文:菅野千尋
写真:藤田和志
公益財団法人東京大学新聞社は、2014年5月に開かれる五月祭で、
「東大生よ、政治家を目指せ!?!?!?」というイベントを開催します。
今回インタビューにお答え頂いた中西議員の他にも豪華ゲストをお招きし、
日本の政治家について熱く語ります!
日時:5月18日 14時半頃〜17時過ぎまで
場所:本郷キャンパス 法文1号館21教室
事前申し込みは不要!皆さんのご来場をお待ちしております!
(詳細な日時は今後、若干変更される可能性もございます。随時ご確認ください。)