いまや、大学在学中に自分でアプリやWebサービスを開発する学生は少なくありません。しかし、企画・開発したアプリが、あの「リクルート」の社内コンテストでグランプリを獲得するともなれば、ただのアプリではないことは想像に難くありません。そんな期待のプレゼント動画アプリ「MINMOO」を開発した女子大生4人組「ミラクル☆ガールズ」のうち、東京大学に在学していた丹下さんに話を聞きました。(取材は2014年3月)
今回インタビューに応じてくれたのは、丹下恵里さん。丹下さんが参加する「ミラクル☆ガールズ」なる4人組グループが作成したiPhone向けアプリ「MINMOO」は、リリース後急速にダウンロード数を増やしています。
「MINMOO」は、リクルートホールディングス内定者たちが作った、「みんなでつくるプレゼント動画」アプリ。特徴は、家族や友だちがアップロードした動画をつなげて、1本の動画を編集作業なしで作成できること。これまでお祝い動画を作るのに必要だった、「動画の内容を考える」「仲間集め」「みんなの日程調整」、「動画編集」など…、面倒な手間は一切必要なくなるといいます。思いついたときすぐに、プレゼント動画を作ることができる、画期的なアプリです。
丹下さんは東京大学の文学部で社会学を学び、卒論では「日本における化粧」について研究してきました。指導教授からは、「あの宮台真司氏も超えた!」と絶賛されるほどのできだったとか。現在は、リクルートホールディングスで働いています。
もともとは、昨年夏、丹下さんが、 「リクルートの社内コンテストに企画を出してみない?」 と声を上げたのがはじまりです。メンバー集めからはじまり、急いでサービスのコンセプトを固めていきました。 今のアプリのコンセプトを考えるきっかけとなったのが、「地方出身者も、お祝い事の時に、地元の友人に祝ってほしい」という切実な思い。
「たまたまなんですが、メンバー全員が地方出身者で、しかも女性。自分たちが働きながら結婚したときに、地元の友人にどうやって祝ってもらおうか考えた末にでてきたアイデアが、『MINMOO』なんです」
そう丹下さんは語ります。
サービスのコアが固まってからは、細部を詰め開発する段階に移ります。丹下さんがプロジェクトリーダーを務め、他のメンバーがエンジニアを担当しました。しかし、大学も学年もバラバラのメンバー間で集まるのは至難の業。実際、連絡を取り合うのには非常に苦労したようです。
丹下さんの言葉からは、非常に強いチームワークで開発を進めていった様子が伺えます。「プロジェクトをやっていて一番怖かったのは、電話ラッシュです。急ぎの用件があると、電話に出るまで、他のメンバーが電話をかけまくっていました。全員が別々の役割を担っているので、誰か一人繋がらないと先に進めません。年末で開発もピークになってくると、全員のTwitterを頻繁にチェックしていましたね。『彼氏とデート中』ということをほのめかすツイートを発見したら、本人でなく、彼氏さんに電話するようにしていました(笑)」
年末は、開発や申請手続きでほとんど休みがなかったとか。しかし、なんとかアプリが完成、AppStoreへの申請も進み、見事コンテストでグランプリを獲得します。 グランプリを獲得できた背景を聞いてみると、丹下さんはこう答えました。
「おそらく、企画から開発まで、すべてを自分たちでやったからだと思います。もちろん、企画のコンセプトへの思い入れも強かったのですが、開発までメンバーのみでやるチームは、それほど多くありませんでした。多くは、開発段階で一部を外注してしまうのですね。私たちは、それこそ年末も返上して(笑)、細かなところまで丹念に開発しました。そこが評価されたのではないかと思っています」
ここまで話を聞くと、丹下さんも非常にITへの思い入れが強い、いわゆる「ギーク系女子」なのかとも思いますが、実際は「そこまでギークではない」と言います。もともとは出版に興味があったそうですが、自分の将来を考えた時に、若いうちから活躍できる環境を探してIT系の会社に入社することに決めたと言います。
生粋のギークではないからこそ、ユーザー目線の面白いアプリを開発できたのかもしれません。「MINMOO」のさらなる飛躍を応援しています!