2016年度学部入試から始まる推薦入試の概要を東大は1月29日に発表した。科学オリンピック上位入賞者など特定分野で卓越した能力を持つ学生を求める。合格後は後期課程の授業の受講が可能で、相談用に専門の教員が付く。進振りを経ずに受験時に希望した学部・学科に進学することができる。
推薦入試の定員は現行の後期入試と同様100人。出願時に学校長の推薦が必要で、推薦可能な人数は男女各1人、合計2人、男子・女子校は1人のみとなる。出願者は調査書や志願理由書、各学部が求める書類などを提出する。出願状況を考慮し、11月中旬に書類審査が実施され、合格者は12月中旬に面接などの2次選考を受ける。出願書類と2次選考とセンター試験の結果から2月に最終合格者が発表される。
推薦入試では大学全体で募集要項を統一せず、学部ごと推薦要件や面接方法などを定めた(ただし医学部は医学科と健康総合科学科が個別に募集)。求める学生像として、「全く新しいビジネスまたは社会の枠組みを創造しようとする高い志を持つ学生」(経済学部)、「自然科学において卓越した能力を有する学生」(理学部)など、特定分野に特化した能力を求めている。
出願には推薦要件を満たすか判断するための資料の提出が必要。一例として▽高校在学中に執筆した論文▽TOEFLなど外国語に関する語学力の証明書▽社会貢献活動の内容を証明する新聞記事などの資料▽科学オリンピックなどの賞状―などが挙げられている。提出書類を基に1次選考を実施。倍率について、入試企画室長の福田裕穂教授(理学系研究科)は記者会見で「決まっていないが、定員の約2、3倍だろう」と話した。1次選考後、2次選考を行う。センター試験は約8割(医学部医学科は760点)以上の取得を目安とし、2次選考受験者から最終合格者を決定する。最終合格者の発表は2次試験出願締め切り前の予定。求める水準の学生が少ないと合格者が100人未満のこともあり余った枠は前期試験の定員に回る。
合格者は例えば法学部なら文Ⅰといった、学部に対応する科類に入学する。入学後に相談役の教員が付くとともに後期課程の授業の受講を認める。福田教授によると、その場合に単位を認めるかは未定だが、学部ごと対応は分かれるだろうという。研究室での実習や国際プログラムの参加を許可する学部もある。
入試担当の佐藤愼一理事・副学長は「正解の分からない学問の世界に挑戦する学生が欲しい」と話した。「高校にそのような生徒を育ててほしい」とし、自己推薦のAO入試ではなく、学校長の推薦が必要で高校との連携がしやすい推薦入試の導入を決めたという。
推薦人数を各学校男女各1人に制限したことについて、東大の女子率の低さは女子受験者数の少なさが一因だとし、受験者数を男女均等にしたいからという。
正式な募集要項は、高校などの反応を見て詳細を詰め、2015年7月に発表する。
(2014年2月4日号より)