新入生も大学生活に慣れてきた頃だろうか。そろそろ学業以外の新たな活動に挑戦したいと考える人もいるかもしれない。1年生のときから学業以外の活動にも積極的に取り組んだ3人に、挑戦したきっかけや後輩へのアドバイスを聞いた。
永田 諒(ながた・りょう)さん 理Ⅱ・2年
フリーランスプロデューサー
プロデューサーの他、エンジニアやイベンター、ライターなど多様な肩書きを持つ永田諒さん。最近はテレビ局に「面白い東大生」を紹介し企画を立案する仕事や、多様なプログラミング言語を駆使したアプリの開発にも取り組んできた。
学業以外の活動に打ち込むきっかけは「東大の『地位』を上げたい」という思い。長野出身の永田さんは、地方出身者にとって東大は遠い存在で、能力がある人材も集まらない現状があると話す。
「東大は最高学府なのに、学生として目立っている人がいない。自分をポップアイコン化して発信し、誰もが目指せる大学にしたいんです」。決して敷居を下げるだけでなく「エリートの密度を上げて強い意志を持つ人同士がつながりやすい環境にしたい」と東大の将来像を語る。
永田さんはまず影響力を持つことが大切と考えた。7月には、わざと「SNSで叩かれそう」なことをしようと構内でクラブイベントを開催。「誰も傷つけないけれど、東大生になじみがないことがやりたかった」。予想通り注目を集め、200人ほどが集まった。
しかし初めての試みは反省点も多かった。3000部用意したチラシは500部しか配れず、進行もスムーズにいかない。「一発屋で終わってはいけない」と、駒場祭でミス東大候補にみかんモチーフの服を着てもらう「みかん×ファッションショー」を東大みかん愛好会と共同で企画、東大生のラップバトルを開催するなど経験を積んだ。
どの仕事にも共通するのは「積極的に人とのつながりをつくる」という姿勢。駒場祭のイベントでは取材に来たテレビ局のプロデューサーに話しかけメディアとのつながりを得たほか、企業の社長に連絡を取り一人で事業案をプレゼンしたことも。「人脈を広げられるだけでなく、人と触れ合うことで自分の強みも分かるんです」。
また、新しいことを学ぶ際も、独学ではなく人に学ぶのが良いと助言する。「手っ取り早く目的に向かうには、その道に詳しい実績ある人に学ぶのが一番です」
大学生にありがちな意味のない飲み会や人間関係に疑問を持つ永田さんは「今やっていることの目的を説明できるか」を常に考えるという。「投資した時間が次に生きるように考えて。大学生活はあっという間に終わってしまいます」
(取材・石沢成美)
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3人目→ 【東大で「一歩前に」③】早い経験は将来に生きる 福田健太さん
この記事は、2016年4月19日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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