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2014年3月18日

[PLAY BACK]ニュース:「優3割」全学部で導入へ

過去のニュースを紹介するPLAY BACKのコーナー。
今回は、4月に入学する新1年生にも知ってもらいたい、ニュースを紹介します。

2013年9月17日号のトップを飾った”「優3割」全学部で導入へ” 。
これは、前期課程(駒場での教養課程)では、すでに適用されている、成績の「優(A)」を全体の3割に制限するルールを、後期課程の学部での成績でも導入するというもの。

新1年生も後期課程に進学したら関わってくることですから、ぜひご一読を。

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 2014年度夏学期から学部後期課程授業の成績評価が全学一律に見直され、優以上の評価が履修学生の3割に限られる、いわゆる「優3割規定」が全学部に導入されることが分かった。新たに「優上」の区分も設けられる。現在、ほとんどの学部では好成績の割合の制限がなく、今回の見直しは各学部の成績評価に大きく影響するものとみられる。成績評価の公平化などが背景にある。

上位5~10%は「優上」

既存の評価区分の「優・良・可・不可」に加え、その上に最優秀の成績を示す「優上」が取り入れられる。この評価区分は既に法学部で導入されている。今回の見直しでは、未受験者を除いた履修者の5~10%が優上を取得することを目安としている。各評価区分の趣旨も明確化するとし、ここでは、それぞれの区分の目安となる学生の授業への理解度などが示されるとみられる。

さらに、未受験者を除いた30%程度の学生が優もしくは優上を取得することも全学部に適用されることになる。このいわゆる「優3割規定」は前期教養課程で既に導入されている。学部後期課程では、法学部や工学部で優以上の割合が制限されているが、そのほかの学部では規定されていない。

優上や優を取得する割合が制限される科目は各学部により適切に定められることとなっており、少人数の授業や演習などは各学部の判断で対象外になると見られる。

この見直しが適用されるのは2014年4月1日以降の学部後期課程の授業科目の履修学生。これらの見直しに対して、学務システムも改善される。

今回の見直しは7月9日の教育運営員会の「学部後期課程教育における成績評価の改善に関する申合せ」で決定された。この申合わせでは「国際化への対応に留意しつつ、教育の質の向上及び公平性の確保の観点から」全学的な見直しを行うとしている。

公平性保ち世界に通用

成績評価基準の全学的見直しを検討し始めたのは、11年の冬頃。教育企画室の 「教育の質向上ワーキンググループ」で議論・調査を重ね改善に向け全学的合意を目指すことになった。

この見直しで中心的役割を務めた吉見俊哉教育企画室長・副学長は、背景として公平性・社会的信頼性・国際的通用性の3点を挙げた。まず成績評価に関し学生に対する公平性を科目・学科・学部間で保証するのが重要という。「教員がばらばらの基準で成績を付けると、学生は授業の良し悪しより楽に高い評価が得られる科目に流れがちになり教育の質が向上しません」

次に大学の成績が企業など社会からの信頼が低い現状があるという。「本来、東大合格の事実よりも、大学での努力の結果である成績の良し悪しが評価されるべきです」。この問題は東大に限らず、日本中の大学に通底する問題だとした。

最後に海外大学に東大から出ていく際、東大の成績評価が信用できないとされたのでは、学生が不利益を被る可能性があるという。

成績評価が見直され、「優3割規定」が導入されるのは、好成績に希少価値を持たせ、一定の競争原理を大学の学びに埋め込むためだ。「好成績を得るため学生はより熱心に勉強するようになるでしょう。成績は、努力の結果として得られる公的な評価なのです」

今回の見直しは法学部や工学部の先例に倣った部分がある。法学部では05年度進学者から優上を5%、優を優上を含め30%に制限してきたという。工学部も10年から優を40%に制限している。これらの学部ではそれなりの教育効果があり、全学部への導入が検討され始めた。「法学部や工学部はすでに今回の改革と同様の仕組みを導入済みで、困ることはありません」

「次のステップはGrade Point Average(GPA)の導入」と吉見室長。GPAは米国やアジアの大学が一般的に用いる成績評価で、留学する学生の学力を測る指標になる。「GPAがないと、留学の際、不利益を被る可能性があります」。さらに、学生が自身の成績の全体の中での位置を正しく知るためにも、GPAは有用という。文部科学省の調査によると、09年度時点で、GPAを学部段階で取り入れる大学は全体の半分。筑波大学や北海道大学では既に導入されている。「次のステップとして、GPAの近いうちの導入を目指します」

「検討中」の学部も

東京大学学部通則第17条は「学習の評価については、各学部規則の定めるところによる」としている。実際、好成績の割合制限や「優上」の有無に見られるように、各学部は独立して成績評価の基準を設けている。今回の見直しは各学部間に通底した基準を設けることになりそうだ。

東京大学新聞社では全10学部に、今回の見直しに対する各学部の対応についてメールで取材を行った。医学部・文学部・理学部・経済学部・教養学部・教育学部・薬学部では今後の対応について検討中とした。

法学部では既に今回の見直しに対応する成績評価基準を用いている。点数としては90点以上は優上、80点以上は優、70点以上は良、60点以上は可、それ未満は不可と規定している。演習などは優上・優の割合制の対象外という。

工学部では成績評価基準に従うのがふさわしくない卒業論文などを除き優の割合を適正になるよう、講義難易度を設定している。

農学部では今回の見直しを受け「農学部成績評価に関する申合せ」を設けた。この申合せは95点以上は優上、80点以上は優、65点以上が良、50点以上は可、それ未満は不可と規定している。優・優上は未受験・欠席・放棄者を除き25~35%、優上は5~10%となるよう、講義・試験・課題のレベルを設定するよう定めた。卒業論文、演習、実習、実験、少人数講義などは、授業担当教員がこの割合制限に従うか判断できる。

絶対評価か相対評価は授業担当教員の判断に委ねられるが、絶対評価で優・優上が先の割合を超えた場合、翌年の授業で授業のレベルを上げるよう努めるとされている。シラバス、特に達成目標・優の評価基準の明確化も求めた。

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