ぶつかり合って絆育む
駒場Ⅰキャンパスに本格的な土俵があるのを知っている人はどれくらいいるだろうか。第一グラウンドとラグビー場に挟まれた格技場の中にあるその土俵で、東大運動会相撲部は汗を流している。活動日は月・水・土の週3日。部員数は1年生4人、2年生2人、4年生1人と少人数ながらも、前日夜の大相撲について盛り上がりながら和気あいあいと稽古していた。
「練習は、四股・すり足・押しを入念にやってから始まります。野球で言えば素振りのようなものです」と主将の野口旬紀さん(法・4年)。「四股」は足の鍛錬とストレッチを兼ねた、相撲の基本動作だ。「すり足」は相撲独特の足の動きで、自分の体に体重を残しながら相手をコントロールする。「押し」は文字通り相手の体を押す動作だが、腕の角度によって威力が全く違うので、他の部員の体を使った練習が必須だ。これらの基本練習を地道に繰り返し強くなる。続く試合形式の練習では技を体に染み込ませるという。
練習の成果もあり、5月に行われた全国国公立大学対抗相撲大会では団体戦で3位に入賞した。競技人口が全国で200〜300人と少ないからこそ他大学の相撲部との交流の機会も増え、いいライバル関係を作れるという。「一番のライバルはやはり京都大学ですね」
毎年夏に行われる合宿では相撲部屋に倣い、朝稽古の後昼食を3時間近くかけて食べ昼寝をした後、さらに3時間かけて夕食を食べる。一食の一人当たりの米の量は3合にも達するという。「食べるのは本当に厳しいです。稽古の中で一番つらいですね(笑)」
普段の駒場での練習後も部員で食べ放題に行く。大量に食べるのはきつい一方、目に見えて自分の成長を感じられ、達成感があるのだとか。新入生も2カ月で体が随分大きくなる。
「相撲では普段とは全く違う方向から力が加わるため、靭帯などのけがが多く、くじけそうになるときもあります。でも体一つで相手にぶつかっていく正々堂々とした潔さに勝るものはないです」。勝負が数秒で決まる厳しい世界であるため、洗練された集中力と精神的な成長も得られる。
「相撲部はやる気さえあれば誰でも大歓迎です」と野口さん。気になった人は駒場格技場を訪ねてみてはいかが。(米原有里)
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部員9人・インカレ
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サークルペロリ:東京大学運動会相撲部
キャンパスガイ:武田直樹さん(文Ⅰ・1年)
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