昨年度のS・Aセメスターは大多数の学生、教員にとっては初めてのオンライン授業となったが、オンライン授業関連の商品は、東京大学消費生活協同組合(東大生協)ではどのようなものが売れたのだろうか。また、機器類の貸し出しなどの大学からの支援はどのくらい行われていたのか。昨年度にオンライン授業を受けた学生にも、オンライン授業のために購入したものについてアンケートを取った。(取材・安部道裕)
ディスプレーやスピーカーが人気
東大生協の本郷第一購買部で店長を務める高橋周吾さんによると、オンライン授業関連の商品で、昨年度東大生協で最も売れた周辺機器の一つがディスプレーだという。DELL製のディスプレー「P2419HC」は昨年度に115台が売れた。「ノートパソコンやタブレットよりも大きい画面にすることで、目の負担軽減の他、体を曲げてキーボードを打つことがなくなり、肩こりやその他体への負担が軽くなるのではないでしょうか」。オンライン授業を開講する教員も含め、利用は増えていると話す。
昨年4月の緊急事態宣言発出以降はヘッドセットなどの需要が急増したが、最近ではハンズフリーのウェアラブルワイヤレススピーカーもよく売れている。JVCケンウッド製の「SP-A7WT-B」は昨年度で19個販売したという。イヤホンやヘッドホンを長時間使っていると耳が疲れてしまうことがある。しかしウェアラブルスピーカーだと、音の聞こえ方が異なり、耳の疲労が軽減されるそうだ。オンライン試験向けには、携帯電話とウェブカメラどちらでも取り付けることができるスタンドが売れたと話す。サンワサプライ製の「CMS-STN1BK」は92個を販売した。
全体としてオンライン授業関連の商品は、教員からの需要が多かったという。本年度は、上記のような昨年度売れた商品などを増強し、オンライン授業などに向けて販売しているとのことだ。
また、東大では学生に向けて、オンライン授業のための機器貸し出しを行っている。どのような機器が貸し出されたのか、教養学部等学生支援課学生支援チームに、昨年度の機器貸し出しの状況について取材した。
貸し出しを行った機器は、パソコン、Wi-Fiルーター、オンライン試験用のウェブカメラおよび携帯電話用のスタンドだった。貸し出し数は、駒場キャンパス貸し出し分だけでパソコンが154台、Wi-Fiルーターは226台、ウェブカメラは60台、スタンドは20台となった。
パソコンに関しては、パソコンを所有していない学生がオンライン授業に参加できない事態を防ぐため、オンライン授業の貸し出し用ではなかったChromebookおよびWindowsパソコンを急遽貸し出ししたという。Wi-Fiルーターは契約する台数の規模が大きいため、法人向けルーターを全学で調達したようだ。機器貸し出しを含むオンライン授業に関する相談を受け付けるため、窓口を充実させて対応したという。
編集部員おすすめ便利グッズ
昨年度からオンライン授業中心の生活を経験する学生は、快適にオンライン授業を受けるに当たりどのような対策をしているのだろうか。東京大学新聞社の編集部員に、オンライン授業のために購入し、便利だと感じた商品について聞いた。
・ブルーライトカットの眼鏡
パソコンの液晶画面から発せられる光には、目にダメージを与えるブルーライトが含まれている。そのためオンライン授業などで長時間パソコンの画面を見続けると目が疲れてしまう。そこで画面を見る際にブルーライトをカットする眼鏡を掛けることで、目の疲労を軽減することが期待される。実際、ブルーライトカットの眼鏡を購入した部員から「目が楽になって良かった」という感想があった。必需品だと話す部員もいた。
・ゲーミングチェア
オンライン授業を受けるに当たり、長時間にわたって同じ姿勢のまま椅子に座っているということがあり得る。ずっと同じ姿勢のまま座っていると腰、背中、首への負担が大きくなってしまう。ゲーミングチェアは体へのストレスが少ない「正しい姿勢」を維持する形状となっている。オンライン授業のみならず、普段の生活にも役に立つだろう。
・椅子用のクッション
長時間硬い椅子に座っているのは辛いが、椅子を買い替えるほどの予算はなかったという部員数人は椅子用のクッションを購入していた。実際に使ってみた結果、腰への負担が減った、楽になったという声があった。
特に、ある部員は内部が蜂の巣状になったハニカム構造になっているクッションを購入。ハニカム構造には圧力を分散する効果があり、通常のクッションよりもさらに腰への負担を軽減してくれると話した。
・スリッパ
オンライン授業は自宅で受講することが多く、靴を履かずにいることが大半だろう。その場合スリッパや靴下を履いていなければ、足が冷えてしまうこともある。起毛で、保温効果のあるスリッパを履くと足の冷えも改善できる。このようなスリッパを購入し、昨年度使用した部員は、快適に授業を受けられたと話す。
・マイク付きイヤホン
学生が発言をする機会がある授業や、ディスカッションのある授業を受ける際にはマイク付きのイヤホンかヘッドホンがあると便利だ。小声で話しても音をきちんと拾ってくれるため、オンライン授業のために開放されている発言可能な教室で受講する際などは、周囲に迷惑が掛からずに済む。
・タブレット
タブレットを購入した部員は、授業の資料などを閲覧するのに、タブレットの方が便利だと答えた。資料への書き込みも、タブレットであればパソコンよりも簡単にできるという。
・クラウドストレージ
授業によっては、オンデマンド形式のものや、教員が授業の録画を配布する場合がある。そのデータを全てパソコンに保存するとパソコンのストレージを圧迫するという事態が起こり得る。そのような事態を回避するため、クラウドストレージを購入した部員もいた。家族と共用するなどして柔軟に使用できたという。
オンライン授業のために、便利グッズの購入を検討してはどうだろうか。