学術ニュース

2015年6月19日

接客行動を分析し「おもてなし」概念の数値化目指す

人工物工学研究センター(センター長=藤田豊久教授)は4日、ANAホールディングス傘下のANA総合研究所と共同で、客室乗務員の接客行動などを科学的に分析する研究の開始を発表した。抽象的な概念「おもてなし」を数値的に表すことで、接客業などの分野で活用を目指す。期間は2015年5月から1年間。

この研究では「おもてなし」の源泉を相手に対する気付きと仮定した。英・スカイトラックス社実施の航空会社の格付けで3年連続最高評価を獲得しているANAの客室乗務員の接客行動を分析。機内での行動やチームワーク、客室乗務員間の会話などから、気付きの能力を習得する過程やさまざまな場面での予測行動などを科学的に分析する。

人工物工学研究センターの太田順教授、原辰徳准教授が研究を主導。ANA総合研究所は社員1人を研究に参加させ、ANAホールディングス全体の中で主体的な働きも担う。

15年5月に世界経済フォーラムが発表した「旅行・観光競争力指数」の「顧客の待遇」の項目で1位に輝くなど、日本の「おもてなし」文化は高い評価を受けている。20年の東京オリンピックに向けて注目が集まる一方で「おもてなし」の概念は数値的な表現が困難で、抽象的な理解にとどまっている現状がある。

この記事は、2015年6月16日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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