東大医科学研究所の河岡義裕特任教授らのグループは1月26日、昨年末から感染が急拡大しているオミクロン株に対する新型コロナウイルス感染症の治療薬の効果をまとめた実験結果を米国医学雑誌『The New England Journal of Medicine』のオンライン版で発表した。
河岡特任教授らはオミクロン株を培養した細胞に、さまざまな抗体薬と抗ウイルス薬を投与し、中和活性(感染を阻害する度合い)を調査。従来株やデルタ株に対する中和活性との比較を行った。その結果、抗体薬にはバムラニビマブ・エテセビマブなどオミクロン株に対する中和活性が著しく低いものと、チキサゲビマブ・シルガビマブなど中和活性を維持しているものが存在することが判明。抗ウイルス薬については、調査に使ったレムデシビル、モルヌピラビルのいずれにもオミクロン株の増殖を抑制する効果が見られた。
これまで国内で承認された新型コロナウイルス感染症治療薬のオミクロン株に対する有効性は明らかでなかったため、今回の研究結果は医療現場での治療薬の選定や行政機関のコロナ対策の策定・実施に重要な情報となる。今後は動物モデルを用いて引き続き検証を行っていくとしており、さらなる成果が期待される。