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2025年4月13日

【2025年度東大入学式挙行】総長式辞 東大生があまり感じたことがない障壁を例にリテラシーを語る 学部来賓はヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗さん

 2025年度東京大学学部入学式が、4月11日午前、日本武道館(千代田区)で開催され、3122人が入学した。同日午後には4854人の新入生を迎えた大学院の入学式も開催された。

 

 藤井輝夫総長の学部入学式の式辞は教育水準が高いと言われる日本にも存在する約90万人という義務教育の未修了者数を取り上げるところから始まった。外国人花嫁として来日したものの取り残されてしまったフィリピン人女性を例に、日本語習得への障壁となる漢字の音訓複数の読み方のような東大生があまり感じたことがない障壁が存在すると指摘。ルビを積極的に使うなど、これまでの社会規範や通念に対する再検討も必要で、創造的な地球市民に求められるリテラシーとして、グローバル・ローカル両方の視点からマイノリティーへの理解の姿勢を東大で身に付けてほしいとした。同時に正確性や倫理性に不安の多いAIの時代、AIとの対話を通じ新しい価値観を創造する能力が必要と強調した。新任の寺田寅彦教養学部長は、鍵を巡る独特な語りで新入生の笑いを誘い、前期教養課程で他者とダイナミックな関係を結び、多様な考え方に開かれた心を涵養するよう訴えた

 

総長の今年の式辞はリテラシーについて。昨年は多様性について話していた(撮影・宇城謙人)

 

 学部入学式では他にも、人権侵害などを監視し、各国に提言を行う組織国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)日本代表の土井香苗さん(1998年東大法学部卒業)、三井住友フィナンシャルグループの会長で東京大学校友会会長の國部毅さん(1976年東大経済学部卒業)が祝辞を述べた。

 土井さんは祝辞で、世界各地で紛争が起こっており、我々の社会は人々の尊厳が守られる社会とは言い難いと指摘。世界第4位の経済大国である日本はその影響力にふさわしい人権外交を行っていないとした上で、新入生に向けて、アフリカやアジアを始め世界の現場へ飛び出し、信じるものがある人には人を「巻き込む力」があるので、自分のパッションに正直にその道を追求するようにとメッセージを送った。新入生総代は理Ⅲの上村綾美さんが務めた。

 

祝辞を述べる土井香苗さん(撮影・宇城謙人)

 

新入生総代を務め上げた上村綾美さん(撮影・宇城謙人)

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