2015年度学部入学式が13日午前、日本武道館(千代田区)で挙行され、新入生3027人とその家族ら6432人の計9459人が出席した。五神真総長と小川桂一郎教養学部長がそれぞれ式辞を述べ、苅谷剛彦教授(オックスフォード大学)が祝辞を披露した。同日午後には大学院入学式も挙行された。
入学式で仲間と集まる新入生=13日、日本武道館で(撮影・矢野祐佳)
学部入学式の式辞で、本年度から6年間の任期を務める五神総長は「全ての学生に、既存の常識を超える発明をし人類社会に貢献する『知のプロフェッショナル』になってほしい」と述べた。そのために、各専門領域で最先端の知識を身に付けるだけでなく「自ら新しいアイデアや発想を生み出す力」「考え続ける忍耐力」「自ら原理に立ち戻って考える力」の三つの基礎力を養ってほしいとした。
小川教養学部長は「大学に入学したばかりの時点で、自分が本当は何をやりたいのか分からないのは当然」とし、できるだけ広い学問分野に触れるべきだと指摘。前期教養課程の間に将来の職業に直結しない科目や課外活動などの「遊び」を大切にすることは、研究で自分の発見の面白さを伝え共有する喜びを知ることにもつながると語った。
一方で来賓の苅谷教授は、祝辞でハーバード大学やプリンストン大学など世界のトップレベルの大学の学生と比較して「東大生の知的鍛錬は不十分であり、他のワールドクラスの大学とは大きな差が付けられている」と発言。その上で「日本の大学にしかできない人類への貢献のために、入学後の学習や研究に磨きをかけてほしい」と発破を掛けた。新入生総代の高宮日南子さん(理Ⅰ・1年)は「世界中から集まったさまざまな考えを持った人と交流していく中で、目まぐるしく変わる現代で求められる主体性のある人間になりたい」と宣誓した。
開式に先立ち、会場内では音楽部管弦楽団による『ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲』の演奏で新入生が迎えられた。開式直後には音楽部合唱団コールアカデミー、女声合唱団コーロ・レティツィアが運動会歌『大空と』の合唱を披露。新入生総代の宣誓の後には応援部の先導で東大の応援歌である『ただ一つ』を斉唱した。
各科類の入学者数は、文Ⅰ427人、文Ⅱ365人、文Ⅲ493人、理Ⅰ1201人、理Ⅱ558人、理Ⅲ100人の計3144人。女子学生は580人と、全体の18・4%となり、19・2%だった昨年よりも0・8ポイント低下した。留学生は38人だった。
大学院入学式も同日午後に挙行され、新入生4483人の門出を祝った。その内訳は修士課程2914人、専門学位課程348人、博士課程1221人で、うち留学生は505人だった。五神総長は式辞で、科学的論理性を磨くことと挑戦の精神の大切さを強調。大学院の教育研究環境を充実させるよう働き掛けるとして締めくくった。
この記事は、2015年4月21日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。