新規大卒者の入社から3年以内の離職率が3割を超えるが、そこには終身雇用にとらわれず、多様な生き方をする人が増えているという側面がある。東大の卒業生で企業の社員として働いた経験を持ち、現在は新たな道を歩んでいる3人に転職の経緯やアドバイスを聞いた。就職活動やその先の人生設計の参考としてほしい。2人目はオンラインヨガサービス「SOELU」を創業した白土聡志さんだ。
(取材・杉田英輝)
挑戦するなら早めに行動を
「高校時代から起業に興味があった」と話す白土さん。文Ⅰに入学後、起業サークルTNKに所属し、フリーペーパーの発行やイベントの運営などに携わった。「TNKでの活動で『0→1』(さまざまなアイデアを形にし、どのやり方が良いか検証すること)の楽しさを知り、起業への思いが強まりました」
いずれは起業すると決めていたため「若くして『0→1』の経験を積むならIT業界に就職したいと思っていました」。就活で応募したのは10社程度。当初はベンチャー企業でのインターンを考えていたが、起業した兄の「大企業の方が人脈や成功するためのノウハウを得やすい」というアドバイスで考えが変化。最終的に、IT企業大手のグリーをインターン先に決めた。
グリーにはインターンを含め約1年半勤務。最初はゲーム事業部のディレクターとして企画や調整を担当し「ゲーム内イベントの改良案を立て、さらにその実装についてエンジニアやデザイナーに掛け合いました」。その後、子会社で開発されたゲーム群を一括的に改良するチーム、本社でアプリゲームの外部発注の効率化を図るチームを転々とした。複数の部署を経たことで「ユーザーから直接反応をもらいユーザー目線でサービス向上策を立てるのが得意だと気付きました」。
独立の契機は、グリー入社時に、後のSOELU共同創業者と出会ったこと。「入社後すぐ意気投合してアイデアを出し合い、協力者や資本も徐々に集めました」。独立後、一度大きな事業の方針転換を経て、オンラインでヨガのライブの指導を受けられるサービス「SOELU」を開始。「自宅で各自のライフスタイルに合わせて受講できるのが強みです」。今後はフィットネスなどにも手を広げる予定だ。
「何かに挑戦したいなら早めにすることをお勧めします」と白土さん。就職して昇進すると、挑戦するためのコストが増えるからだ。「失うものが少ないという意味で学生の挑戦はノーリスクです。思い立った時に行動しましょう」
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この記事は2020年7月14日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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キャンパスのひと 中村陽太さん(文Ⅲ・2年)
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