2018年2月2日、ピアサポーター養成研修の全課程を修了し、学生相談ネットワーク本部から「ピアサポーター」として正式に認定された。ピアサポーターとは、精神科医・臨床心理士・精神保健福祉士の資格を有する専任教員のバックアップの下、他の学生を支える学生ボランティアだ。記者は新規企画サポート部や交流研修部、ぴあサポ相談室班に所属している。
ピアサポートの起源は1990年前後の米国の非行防止プログラムとされている。これは非行少年の更生を目的に、同世代の少年が支援を提供するボランティア活動だった。日本では、90年代中ごろから福祉・保健・医療・教育といった領域で浸透し始めた。
ピアサポーターの活動拠点は、学生同士(ピア)が支え合い、共に成長するキャンパスを目指す、東大の公式機関「ピアサポートルーム」だ。サポートの形態は、相談支援型サポートや、全学に支援を提供するアウトリーチ型サポートなどがある。構内には専門家による「学生相談所」「精神保健支援室」などもあるが、立場が近い学生に気軽に相談できるピアサポートルームは、助けを求める抵抗感を軽減すると期待される。
ピアサポートルームの活動は多岐にわたる。その一つが6月22日に開かれた、学生のメンタルヘルス向上を目的とするストレスチェックキャンペーンだ。専用の測定器で、東大生らのストレスを数値で測定し、バランスの取れた生活を意識するきっかけづくりに努めた。
ピアサポートルームの主な活動は、ぴあサポ相談室。相談内容は学業、進路、人間関係、学内案内に関する相談に乗ることだ。相談に向け、カウンセリング技能の勉強会・研修を通じて、人と交流する際の大事な姿勢である「FELORモデル」を学んだ。「FELOR」は「Face,Eye contact,Lean,Open,Relax」の頭文字とされる。顔を相手の方に向け、視線を穏やかに合わせ、相手に対して少し身を乗り出し、腕組みをしないといった開いた姿勢で、リラックスできる雰囲気づくりを意識するということを意味する。
記者は実際の相談を受けた後、ピアサポーターとしての自覚がずいぶん高まった。話し好きの記者は恐らく講義などを除けば、口を出さずに他人の話を落ち着いて聞けたことはあまりない。相談を通じて、他人の話をきちんと聞くことも重要な対人能力の一つであり、育てるべきだと思うようになった。話を聞く中で、共感する部分をまとめ、不明な点を焦らずに聞き返すことで相手の状況や気持ちを客観的に把握することも重要だろう。
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この記事は、2018年10月16日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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