ヘリオロドプシンの全体構造
志甫谷渉研究員(理学系研究科)らは、新型の光応答性タンパク質「ヘリオロドプシン」の構造を解明した。成果は9月25日付の英科学誌『ネイチャー』(電子版)に掲載された。
膜タンパク質「ロドプシン」は、微生物の場合、主に光に反応しイオンを細胞内外に運ぶ。従来のロドプシンとアミノ酸配列が違うヘリオロドプシンは、イオンを運ばず光への反応が鈍く、未知の情報変換分子を介した光情報伝達に関わるとされてきた。ただロドプシンとの構造の違いや、構成要素であるレチナールの入手経路は不明だった。
今回、ヘリオロドプシンは微生物ロドプシンの一種「バクテリオロドプシン」とは配列が似ていないがレチナールとの結合方法や構造の類似性が高いこと、ロドプシンと比べ膜内での配向が逆転していることが確認された。ヘリオロドプシンの細胞外側は疎水的なアミノ酸残基で閉じ、イオンや基質が通る隙間はないため輸送体とは考えにくい。細胞内側には水分子を介した広範な親水性相互作用があり、光受容に伴うヘリオロドプシンの構造変化に重要だとされる。レチナールを効率的に取り込むためと思われる横穴もあった。
この記事は2019年10月8日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。
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