学術ニュース

2024年11月17日

マウスは好き嫌いに応じて食事量を調節 人間の食生活の研究への応用に期待

 喜田聡教授(東大大学院農学生命科学研究科)らによる研究グループは、マウスは次に取る食事の好き嫌いに応じてその前の食事量を計画的に調整することを明らかにした。

 

 日常生活において人間は体内のエネルギー欲求の程度に伴い満腹感と空腹感によって食事量を調整する「代謝制御」と、別腹のように空腹や満腹にかかわらず食物の好みによって食べる量を調整する「認知制御」を行っている。本研究はこの認知制御に関する仕組みの解明を目的としたものである。

 

 研究では、空腹状態のマウスが、日常で与えられる餌(以下、通常餌)の後に与えられる食事の内容に応じて通常餌の食事量を調節するのかを調査した。マウスに通常餌を与えた後に、チーズやスイートチョコレートを与えることを3日間繰り返すと、通常餌を食べる量が減少する代わりにその後に得られる食物の食事量が増加した。一方で、通常餌の後にビターチョコレートを与えることを繰り返すと通常餌を食べる量が増加した。この結果から、マウスは次に食べる食事の好き嫌いによりその前の食事量を調節できることが明らかになった。

 

 マウスも人間同様に計画的な食事量の調節が可能であると判明したことから、マウスの計画的食事行為の研究が進むと、人間が食事の選択や量の調節のために行う意思決定のメカニズムの解明も期待される。また、認知制御の破綻が過食症や拒食症の一因だと考えられるため、そうした摂食障害への理解促進にもつながるとされる。

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