今年もミス&ミスター東大コンテストが開催される。駒場祭最終日の25日午前10時45分からグランドフェスティバルステージで特技披露などが、午後2時55分からいちょうステージで結果発表が行われ、インターネット上と当日の投票によってグランプリと準グランプリが決まる。SNS上だけでは分からない候補者たちの素顔や魅力に迫る。(数字はエントリーナンバー)
ミス東大① 伊藤真莉さん(育・3年)
生交流で皆を魅了
取材の待ち合わせ場所に着くと、ライブ配信真っ最中。1年生の時に出場した大学新入生対象のミスコンで利用したライブ配信アプリSHOWROOMにハマり、今では1日8回配信するほど。視聴者とのリアルタイムの会話を通して「時間・ 空間を共有している感覚が新鮮」と生き生きとした表情を見せる。
やりたいことには一直線に突き進む。憧れだったインフルエンサーのゆうこすさんに連絡した結果、ゆうこすさんの立ち上げた事務所で働くことに。所属のライブ配信者の育成や、旅行の情報発信をし現地で買い付けた服を売るTaVisionという企画を行う。
SNSの発達によりミスコンも見た目によるアピールだけでなく、ファンとのコミュニケーションが重視されると分析。「コメントへの反応には自信があります」。最後まで努力をする姿勢で観客を魅了してください。
ミス東大② 佐野来実さん(法・3年)
情熱全開で臨む
チャームポイントは「すぐ笑うところと、笑うとなくなる目」。「なんでも笑っちゃうんです」と、話すたびにほころぶ表情には思わず目が引き寄せられる。
好きなことには疲れ知らずに情熱を注ぐ。中学生の頃からダンス部に所属し、現在もサークルでダンス漬けの毎日。「睡眠時間は短くても大丈夫」で、深夜練でものびのびと自分を表現する。休日は月一で旅行し、友達と温泉街などを散策。
「行きたいと思ったらすぐ計画を立てます」と行動力も抜群だ。渋谷の街を歩きながら謎解きをするイベントでは、初めて東大のミス・ミスターの全候補者が集合。そこで互いの人柄などを深く知り、仲間として思う気持ちが強まった。「他のみんなと争いたいわけじゃない」。全員でミスコンを盛り上げたいという思いを胸に、当日も明るい笑顔でステージ上を舞う。
くるくると変わる表情が愛らしい。愛称の「メアリー」は、中学時代の先輩命名だ。「勢いとイメージで付けられたあだ名ですが(笑)、お気に入りです」。かわいらしさと時折見せる真剣な表情のギャップに、誰もが魅了されてしまうだろう。
ポジティブさは筋金入り。文IIから、第1志望の教養学部学際科学科へ進学内定した際は「友達に言われて気付いたんですけど、理系学科だったんですね……」と照れ笑い。必修科目には苦手な数学がびっしりだが「不思議と不安はないです。むしろ、違う自分に出会えるかもという期待のほうが大きいですね」。
ミスコンまであと少し。緊張しているかと思いきや「楽しみすぎて、待ちきれません」。見てほしいのは「ありのまま」ではなく「新しい私」。日々を誰より楽しみながらも向上心も忘れない、その魅力は底なしだ。
「笑顔で写ることは少ないですね」と、レンズの向こうで涼しげな表情を見せる。社会から無意識に要請される「女の子らしさ」に、生きづらさを感じてきた。その空気を形作る原因の一つはミスコンだと考える。「ミスコンに出る『女の子』の姿を拡張すれば、自分も周りも生きやすくなるはず。こういう人もいるんだと伝えたいんです」
SNSでは、音楽や服など自分の「好き」を積極的に発信する。心掛けるのは「偽らないこと」。受け手と濃いつながりをつくることを楽しみながら、DJやライターとしても活躍してきた。
今は社長業に奮闘。インターンシップで考案したアプリが評価を受けて事業化され、ゴールを見据える力を武器にリーダーを務める。「ミス候補とも社会とも、常に何かと戦っている。この姿に共感してもらえれば」。当日、自分の言葉で語る彼女を見てほしい。
東大美女図鑑の編集長という肩書を持つ。これまで裏方の男子部員が表に出ることはタブー視されており、紙面だけでは製作者の思いを伝えるのは難しかった。コンテストを利用して自ら発信力を手に入れようと考え、出場を決めたという。
「自分たちが経験した苦労を少しでも減らしたい」と非進学校から東大への入学を目指す人を応援するサークルにも参加。東大を目指す女子を応援する美女図鑑の理念と通じるものを感じた。
アピールポイントを聞くと「何も無いのに出ちゃった。ミス候補のうち数人は美女図鑑に掲載されているので、誰かがミスになってくれればうれしい」と冗談交じりに答える。しかし、五月祭より集客の少ない駒場祭だからこそ、ミス・ミスターコンテストを盛り上げて集客数を増やしたいとも語る。「駒場祭の集客は美女図鑑の売り上げに直結するので(笑)」
ダボっとしたパーカーで現われ「学校久しぶりに来た」。普段は1日15時間もYouTubeとゲームに費やすインドア人間で、乃木坂と欅坂の大ファン。そのミスター候補らしからぬ「キラキラし過ぎない」姿には親しみを覚える。
「授業を受けている時間を無駄に感じ」て、平日のほとんどを自宅で過ごす。「もっとやれることがある気がする」とYouTuberを目指して、独学で動画編集を勉強中。ミスターコンに出場したのも知名度を上げて今後に生かすためで「東大生というより面白い人として見てほしい」と複雑な心境を漏らす。
SNSでも写真と投票を促す一言というよくある投稿はせずに気ままに振る舞う。「人が自分に何を求めているのかは分からないけど、自分が面白いと思うものを発信したい」。ふざけるの大好き、といたずらっぽく笑う姿に本番も注目だ。
爽やかな笑顔からスポーツマンらしさが伝わってくる。軟式野球部に所属し、秋季リーグ戦はレギュラーとして活躍。ミスター東大候補として注がれる視線にもひるまずプレーし、無事リーグ戦を終えた。中学からの野球経験を持ち、遠投で100メートルほど飛ばせる実力の持ち主でもある。
渋谷駅ハチ公前で「レンタル東大生」と称して悩み相談に乗ったり、他の人の動画に出たりする変わった活動も。「ただの思い付きだったが予想以上に反響があった」と振り返る。「応援してくれる人と生で会う」機会を大切にし「気取ったり派手に飾ったりしないので、直接会って人としての中身を見てほしい」と語る。
野球と同様に「勝てるか分からないけど、勝つための努力には意味がある」とミスターコンの活動に打ち込む。普段と違う勝負ですが勝利を目指して頑張ってください。
サッカーとスノーボードのサークルに所属し、趣味は下北沢や渋谷に服を買いに行くこと。アウトドアな一面を持つ一方、好きな数学では数学オリンピック本選に出場したほどの実力。プログラミングに中学から熱中していたり、習字が得意だったりと「文武両道」を地で行く。「好きなことは続けられるんです」と自信ありげな表情をのぞかせる。
ミスターコンの活動で印象に残っていることは「他のミスター候補の方など、いろいろな方と出会えたこと。人間関係の広がりが感じられて楽しかった」。エントリー理由は「先輩に勧められたから」だが、他薦で飛び込んだ舞台で楽しむ姿からは根っからの明るい性格が感じられる。
「どうせやるなら、楽しみながらグランプリを目指します」。フレッシュさと明るさを併せ持つ彼にミスターコンの女神はほほ笑むのか。
ミスター東大④ 神狩シエルさん(理II・1年)
個性際立つ異端児
「型通りのキラキラ大 学生にはなりたくてもな れない」と暗くこぼす。 ただ、派手なファッショ ンや髪色、ホスト経験も あるという型破りな経歴 は他の東大生と一線を画 す。入学式に銀髪で臨み、 異色の東大生としてSN Sで注目を浴びた。
ミスター東大への憧れを抱きつつも「留年中の身でミスターコンなんて」とエントリーを決断できなかった。彼を後押ししたのはSNSで交流を続けてきた昨年度のファイナリスト・砂川信哉さん。テレビやSNSで人気を集める彼の推薦を受け、出場を決意したという。
「何物にも縛られず、素の自分で戦えている」とこれまでの活動を振り返る。SNSでは奔放で挑戦的な投稿が話題に。「一般ウケはしなくても、自分に興味を持ってくれる層もいる」と手応えは十分。その強烈な個性は、来場者の心に突き刺さるだろう。
徹頭徹尾、表現者だ。幼い頃から小説を書き、中高では演劇に熱中。自ら役者を集め、脚本を書き、300人を魅了したこともある。今は自作の絵をSNSで公開。ミスターコンへの出場理由は「知名度を上げて自分の作品を広めたいから」と、行動力も光る。「面白いことをやってくれそうなオーラなら、他の候補者に負けません」
多彩な表現方法の裏で一貫するテーマが、人間の多面性。モチーフは動物が主で「人間が押し殺してきた本能が動物の中に垣間見える気がするんです」と語る瞳は鋭い。そういえば服の胸元にも蜂の絵が。一転「蜂は愛の象徴らしいですよ」と柔らかな笑顔を向ける。
理想の自分を動物に例えるとカバ。温和そうだが実は俊敏で「何か隠し持っていそうなところに憧れます」。いやいや、もう立派なカバですよ。グランプリという獲物を食らう姿が待ち遠しい。
この記事は、2018年11月13日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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