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2016年5月12日

人と街をつないで笑顔に  NPO法人「街ing本郷」の取り組み

 「みんな(街・人)つないで、笑顔にする」。このミッションを掲げ、本郷の街づくりを支援するNPO法人「街ing(マッチング)本郷」の代表理事を務めるのが、鮮魚店「魚よし」3代目店主の長谷川大さんだ。

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街ing本郷の定例会議を主導する長谷川さん(右から2番目)

 長谷川さんが街ing本郷を設立したのは2010年。もともと本郷では多くの商店主が地域活動を担ってきたが、担い手不足が懸念されていた。「商店街には若い自分の世代が少ない。5年、10年後の街の衰退を考えると、広い視野で活動できる団体が必要だったんです」。地域活動に興味を持つ人も参加できる環境を整備しようと、「やりたい」の声を聞き人と人をつなげる「コーディネーター」の役割を果たす街ing本郷を立ち上げた。

 活動は、商店街の魅力を店主の人柄から伝える冊子・ウェブサイト「本郷百貨店」の作成、1人暮らしのシニアと学生の共生を目指す「ひとつ屋根の下プロジェクト」など多岐にわたる。東大生が発案した「書生プロジェクト」は、地域への貢献を条件として大学に近い物件を安く提供する人気の企画だ。

 

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東大生含むメンバーで意見交換

 

 「この団体の1番の強みは、地域の人に『この人が代表』と明確に分かること」。生まれも育ちも本郷の長谷川さんが代表の団体と知れば、住民の信頼も得やすい。ただ当初は「新たな団体を作ることへの反発はあった」と言い、1年間商店会や町会を回り「将来のために必要なんだ」と説明を続けた。その努力が実を結び徐々に参加者も増え、最近は「本郷百貨店」がグッドデザイン賞を獲得するなど成果が目に見えてきた。「みんなを笑顔にできていると感じています」

 

 普段は本郷・菊坂にある鮮魚店を営む。安全安心な食品の提供はもちろん、商店に「街の交番」としての役割も感じている。「道案内もするし、通る子どもの顔も見ています」。街を見守ってきた長谷川さんは、本郷の魅力として都心部でありながら静かなこと、古さと新しさが共存することを挙げる。東大の存在も大きく「本郷と言ったら東大、東大と言ったら本郷みたいなもの」。東大生には大学で学んだことを生かしながら、街で実地経験を積んでほしいと言う。「街のおっちゃんたちと話すとか商店街を知るとかは、ここでしかできない。社会に出る前にどんどん参加してほしいですね」。キャンパスの外にも、学びの場がある。

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