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2023年4月29日

4月から学内でのマスク着用が任意に 新入生「様子見る」「周囲が外したら外す」が約77%

 東大新型コロナウイルス対策タスクフォースは3月22日、マスクの着用について4月1日からは個人の判断を基本とする方針を打ち出した。文部科学省(文科省)の決定に即した対応となる。東京大学新聞社は新入生アンケートでマスクの着脱をめぐる新入生の考えを聞くとともに、東大の各行事などのマスクの着脱をめぐる動きを追った。(構成・清水央太郎)

 

授業担当の教員が着用求めることも

 

 医療機関などを受診する際や混雑した公共交通機関に乗車する際などに加え、授業担当の教員が授業形態や方法に鑑みて必要だと判断したときなどには引き続きマスクの着用が求められる。「三つの密」の回避や手指の消毒といった基本的な感染対策も継続する。5月8日に新型コロナウイルスが「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」上の5類感染症に移行されるまでは、感染者や濃厚接触者の把握も続ける方針。

 

 政府は3月13日以降、マスク着用を個人の判断に委ねる方針としていたが、文科省のガイドラインによれば教育機関での同方針の適用は4月1日からとなっていた。東大も3月末まで室内や会話や食事をする際のマスク着用を求めていた。

 

 新型コロナウイルスの「5類」移行後にも東大は新たな感染症対策方針を打ち出す予定。

 

マスク着用に慣れ今後も着用を続ける新入生多数

 

 東京大学新聞社は3月28、29日にアンケートを実施し、新入生2820人にマスクの着脱について選択式で回答してもらった。

 

 政府の方針を受けて「3月13日以降着用していない」と回答したのは8.9%、「4月以降着用しない」と回答したのは8.8%にとどまった。一方で44.1%が「しばらくは着用を続ける予定」、33.2%が「周囲の一定数の人が外し始めたら外す」と回答。東大構内でもしばらくはマスク姿の学生が多く見られそうだ。周囲の人のマスク着脱については、「特に何も思わない」とした人が78.1%「マスクを外してほしいと思う」は13.8%で、「マスクを着けてほしいと思う」の7.0%を上回った。新入生に実施した取材では「表情がよく見えるのでマスクを外す人が増えるとうれしい」という声も聞こえた。

 

マスクの着用は続ける予定ですか
周囲の人のマスク着脱についてどう思いますか

 

 しばらくはマスクの着用を続けるという新入生は「感染の不安があるからマスクを外せないというよりは、マスクをしている状態に慣れてしまった」ため、マスクを着けていると安心感があると話す。「高校では3年間ずっとマスクをして過ごしていたので、着用義務のなかった卒業式でも多くの人がマスクを着けて参加していました。環境も大きく変わるので、大学入学を機に『マスクなし』に慣れていけるといいなと思います」

 

卒業式ノーマスクでお互い気付きやすく

 

 3月23、24日に行われた卒業式は、4年ぶりにマスクの着用が任意で卒業生が参加できる対面開催の式典となった。学内での「脱マスク解禁」は4月以降だが、卒業式では「その教育的意義に鑑み(中略)適切な実施に努め」るよう求める文科省の通知があった。式典中、卒業生は3〜4割程度がマスクを着けておらず、藤井輝夫総長らの登壇者も常にマスクを外していた。式典後には東京大学大講堂(安田講堂)付近でマスクなしでの記念撮影を行う卒業生の姿が目立った。ある卒業生は東京大学新聞社の取材に対し、自身の入学式の頃は「ノーマスク」だったことを踏まえ、全員がマスク着用だったらクラスメートなど「久々に会う人が見つけづらい」はずだったと喜んだ。3月31日には、4月12日の入学式・大学院入学式でも入学者のマスクの着用を任意とする方針に変更すると東大が発表。卒業式では着用を求めていた家族などのマスクの着用も任意となる。

 

 日常の授業やサークルでも感染リスクを考えて教員や学生が個別に判断を迫られる場面が出てくる。新型コロナウイルスの感染不安がある持病を抱えつつ、東大で対面の語学の授業を行うある教員は、学生にはマスクの着用を求めないものの、自身は積極的に着用を続けるつもりだ。口の動きを示すため一時的にマスクを外す場合があるとしても、フェイスマスクの着用を考えている。自身の感染の不安については「多少ありますが、そんなに心配をしていません」と回答。飛沫感染のリスクなどを考慮し「出来るだけ距離を置くようにして行うべきだと思います」と語った。演劇系のサークルに所属する学生も、人の密集している楽屋などの控室ではマスクを着けているという。「コロナ禍(の時)から本番ではマスクを外して演技をしていたため、脱マスクのハードルは他の人より低いかもしれませんが、まだ怖いです」と不安を口にした。

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