映画『愛がなんだ』の上映会が5日、駒場Ⅱキャンパスで開催された。本作は主人公テルコの片思いを中心に描く恋愛映画。監督の今泉力哉さん、原作者の角田光代さん、熊谷晋一郎准教授(先端科学技術研究センター)らが登壇し、映画の内容や恋愛について来場者と意見が交わされた。
(取材・伊得友翔、撮影・渡邊大祐)
トークショーで質問に答える登壇者
冒頭、上映会を主催した田川菜月さん(理学系・修士1年)が開催の経緯を説明。自身が映画を見て感動し、恋愛について真剣に語る場所を作りたいと思ったという。さらに障害や病気を持つ本人が自らの苦労を研究する当事者研究とも相性が良いと考え、自身も脳性まひを抱えつつ研究を行う熊谷准教授が登壇することに。続く映画本編は、字幕と音声ガイド付きのバリアフリー版で上映された。
主催者の田川菜月さん(左)と熊谷晋一郎准教授
トークショーでは、今泉監督は長期間付き合った経験が少なく、テルコの思いの強さがうらやましいと話した。一方で角田さんは、テルコのように尽くす性格。執筆当時、そのような人の肩身が狭いと感じ、むしろひたすら尽くす女の子を書こうと思ったという。熊谷准教授は、抑圧が恋愛の原動力になりうるという点で、テルコら女性の恋愛と自身の経験に基づく障害者の恋愛に重なる部分があるように感じたと語った。
監督の今泉力哉さん(左)と原作者の角田光代さん
質疑応答に移ると、話題は映画と原作の違いや細かい描写の意図に。恋愛相談に対しては、登壇者がそれぞれの経験を打ち明けながら回答を模索した。閉会に当たり熊谷准教授は「監督と角田さんが作品に込めた思いを聞くことができ、非常に貴重な機会となった」と締めくくった。