文化

2023年7月10日

合宿 or 通学? 取得時期は? 東大生が語るそれぞれの免許取得事情

東大 自動車免許

 

 大学生になったら自動車の運転免許を取るという人が多くいる。自動車学校に通っている人もいれば、取ろうと思っているのにまだ取れていない人もいるだろう。東京大学新聞社では、免許を取得済みまたは取得中の編集部員による座談会を実施。合宿免許や通学免許それぞれを選んだ理由、取得にかかった期間などの体験談をまとめた。(取材・佐藤健)

 

運転が苦手な人ほど合宿?

 

自動車免許取得状況

 

──免許を取得しようと思った時期、理由は

 

Aさん 車移動が中心の地方出身で、大学に入ったらまずは免許を取ることを規定ルートとして想定しており、免許なしの就職が想像できていなかったため免許を取ることにしました。1年次の夏休みに合宿に行き卒業したのですが、免許センターで学科試験を受けるのが面倒で取得は1年次の3月ごろになりました。

 

Bさん 昔から車の運転への憧れがあり、私も大学に入ったら免許を取ろうと考えていました。1年次の夏休みに合宿に行き、夏休み中に本免許まで取得しました。

 

Cさん 1年次は周りの人が取っているからといって自分も取る必要はないと思っていました。しかし2Sセメスターで暇になったので思い立って入校しました。教習所に通うのが楽しかったし、2S2タームが週4コマで5限しかなかったので毎日通っていました。

 

Dさん 車が運転できないと将来地方に転勤になったときに不便なので、いつかは取るつもりでした。東大では2Sセメスターが暇になるのでそのタイミングで取ろうと考えていました。2年次の4月には生協で資料をもらったのですが、自動車学校に入校したのは5月の終わりです。自動車学校卒業までかなり時間がかかったので2Sセメスターで入校した意味はあまりなかったですね(笑)。

 

Eさん 自分で教習所に払うための費用を貯めていたり、タイミングを逃したりしていたので、2年次の2月に自動車学校に入校しました。6月末時点でようやく仮免許取得という状況です。

 

──合宿免許と通学免許それぞれを選択した理由は

 

Dさん 昔から不器用なので、周りを見て運転する技能を身に付けるのは自分には難しいだろうと思っていて。合宿期間中に卒業検定に合格できず、延長になりそうだったので通学にしました。実際に自分は運転に不向きで卒業するまで時間がかかったので通学で良かったと思っています。

 

Cさん 2年次になると周りの人が取り終わってしまって一緒に合宿に行ける友達もいなくなり、通学で取ろうと思いました。教習所は家の近くのうち、生協の割引が適用されるプランがある方を選びました。友達からの評判も良く、大学に行く途中の駅までのバスもあって通いやすそうだったというのも決め手の一つです。

 

Eさん 取ろうと思った時期が3年に進級する春休みの初めの方だったのですが、春休み中に終えられる合宿が全然なく……。そもそも2週間ぐらい予定を空けることもできずスケジュール的に無理で通学にしました。

 

Bさん 私は家から近い教習所がなく、通学だと短時間とはいえ往復の時間が無駄になるのが嫌でした。また、通学にした場合は技能教習の予約が取りにくいと聞いていて、早く運転したかったので合宿免許にしました。直前に申し込んだので空いているプランも少なく、安かった宇都宮の教習所にしました。

 

Aさん 福島県いわき市の教習所で合宿しました。通学にして車通りの多い東京で路上教習をすることを避けたかったです。地元で通う選択肢も地方出身者だとあると思うのですが、帰省をしたくなくてやめました。私も自分が運転が苦手だろうなと思ったのですが、運転が苦痛で通学の教習を後回しにしていく方が面倒だろうと考えて合宿にしました。

 

Dさん 非常に刺さりました(笑)。私は通学で実際に後ろ回しにしていたので。先延ばし癖のある人間は逆に合宿の方が良いかも知れませんね。

 

合宿免許のスケジュール例

快適な教習を受けるためのコツ

 

──教習所で苦労したポイントは

 

Eさん 予約がとにかく取りづらいですね。しかも3年生だと授業や他のこともあって、基本的に平日の夕方夜以降から選ぶしかありません。夜の路面を走ることになるので、ちょっと運転しづらいと感じています。

 

Dさん サイトが更新されるタイミングでないと予約が取りづらいため、教習期限がぎりぎりの時期は朝早くにログインして予約していました。あと、キャンセル料には気を付けてください。予約した時間までに起きれなかったり忘れたりして当日キャンセルで1回2000円のキャンセル料を8回くらい払ってしまいました。前日にキャンセルすると安く済むのでそうすればよかったです。

 

Aさん 私はまだ知り合って間もなかったクラスの友人を誘って、合宿に2人で行きました。友人も私も運転がすごく下手で、試験の合格が1日遅れになったりして……。その上、合宿の終了予定日がAセメスター開始の2日前だったのでお互い焦っていてちょっと険悪な雰囲気になってしまいました。結局私は四つ中三つの試験に遅れたのですが、予定日に帰れたので合宿は少し不合格が出ることも考慮されている場合もあるのだなと思います。事前に確認して知っておけば良かったです。

 

Cさん 私は苦労したことはあまりなかったです。朝からずっと自動車学校にいたことでキャンセル待ちに入れることが多く、スムーズに教習を受けられました。

 

──自分と合わない教官がいたらどうしていたか

 

Aさん 教官がいわゆる田舎のおじさんみたいな感じの人でそこでもストレスが溜まってしまったかもしれません。指導は方言も相まってよりきつい言い方に感じることもありました。教官はランダムに割り振られるのですが、どうしても自分と合わない教官がいる場合は受付係に言えば調整してもらえるようでした。

 

Bさん 若い教官が人気でしたね。あまり強く言ってこないので、その人に当たったときはラッキーだとみんな言っていました。怖い人も怖くない人もいて、強く言われることがあってもその場限りの付き合いと思っていました。

 

Eさん 新米の人は教え方が分からなかったのか「とりあえず運転して」という感じで私も一番やりやすかったです。若い人は狙い目かもしれませんね。

 

Dさん 教習前に教官を選択できたので若い人を選ぶようにしていました。おじさんの教官の多くは態度があまり好ましく感じられず……。そういうときは将来AIに取って代わられる存在だと思って怒りを抑えてました(笑)。

 

Cさん 私の行っていた教習所はどの人も優しくて、教習中におしゃべりするみたいな感じでした。周りの評価もとても高かったので、口コミは重要だと思います。

 

自動車免許取得の流れ

 

──教習所での思い出は

 

Dさん 入校して初めに受ける適性検査で一番運転に向いていない判定を受けました。初めて車を運転したときに予想よりも簡単だと思ったのですが、教官が教習手帳に書いてある適性検査の結果を見て「なるほど……」という顔をしていましたね。

 

Aさん 合宿初日から1時間シミュレーターで教習した後、実際に運転したので、少し怖かったです。それと私たちがいわきに行ったのは生協がおすすめしていたからなのですが、合宿参加者の8割ぐらいが東大生でびっくりしました。複数人で受ける教習の際に、待ち時間で進学選択の話をしましたね。

 

Cさん そこまで苦労はしなかったですね。二十歳にもなって全く経験がないものを習得することってなかなかないので楽しかったです。最初に右折してと言われたときなどは段取りが分からず戸惑ったのですが、練習してどんどんうまくなることが楽しかったです。

 

Eさん 効果測定をちょうどさっき受けてきました。簡単だったのでこれならもっと早く受けておけば良かったですね。技能はカーブの仕方が全然分からなくて、「私は今どこにいるんですか?」「ここにいます」みたいな会話をして4回くらいやり直しました。

 

Bさん 私は合宿に1人で行ったのですが、同じ日に合宿に参加した人は私以外2人組で来ていました。しかし、どのペアも片方が途中で試験に落ちてしまい、別々に帰ることになってしまっていました。試験に落ちるとその後の日程もバラバラになってしまうので、元々のペアと関係なく少ししゃべるようになりました。

 

──路上教習に入ってからの思い出は

 

Cさん 今自分がどの位置にいるかがいまいちつかめなくて、道のどの辺を走っていいかが分からなかったです。結局それが分かったのは、本免許取得後に自分で運転するようになってからでした。

 

Dさん 最初はとりあえず時速50㎞で走るような教習だったのでとても楽しかったです。街中で他の車とか歩行者とか自転車を細かく気にするような教習になってくると苦労しましたね。

 

Aさん 合宿先は土地が広い直線道路で車通りも少なく、東京の道路とも地元の道路とも違っていました。あと、震災の後だからか道がガタガタしてるところがあるように感じました。学科は雪のことばかりやっていたし、土地柄が出るなと思いました。

 

──免許センターでの思い出は

 

Aさん 自動車学校を卒業してから免許センターに行くまでに5カ月くらい空いたので前日の夜は問題をパラパラ見ました。試験そのものより朝早いのがきつかったです。

 

Dさん 朝も早いし試験場の交通の便が悪くて大変でした。住民票が実家の京都にあったので、東京ではなく京都の試験場で受験しないといけませんでした。受験料を払ってから視力検査をするのですが、私は学科試験を受ける前にそこで落ちて再受験したので注意してください(笑)。

 

Bさん 私の県は免許センターの近くに予備校のようなものがあり、試験当日の朝にそこで対策をする人もいると聞きます。

 

取りたいのなら時間に余裕のあるうちに

 

──大学生の早い時期に取っておいたほうが良いか

 

Aさん 早いうちに免許を取って困ってることは特にないし、将来を見据えて取った方が良いと思う人は取っていいと思います。ただ、地方出身の人ほど免許は必要だと思いがちな気がしますが、上京してしまうと東京で運転するのが怖かったり家の車がなかったりして結局運転できずにペーパードライバーになる可能性も高いのではと思います。免許取得後にペーパーにならないかどうかも考慮したら良かったかもしれません。今考えると、私は免許を取らなかったかもしれないと思います。

 

Bさん 1、2年生の方が絶対時間に余裕はあるし、友達との旅行でも車でないと行けない場所って結構あるので免許を持っていて良かったなって思います。資金面などの障壁もなく、取りたいのであれば早く取ると良いと思います。

 

Cさん ドライブは楽しいと思うので、おすすめはしたいです。2年次の6月ごろは暇だし教習所も空いていると思うので、集中的にばっと取りたい人は、そこで取るといい気がします。

 

Dさん 結論取りたければ取ればいいと思っています。マイナンバーカードの普及で身分証としての免許証の役割は薄れているし、自動運転の技術の発展を待つのもありではないでしょうか。自分で運転したいのであれば、免許を取ればいいと思います。

 

Eさん いずれ取るのであれば早い方が良いと思います。 ただ、私は今、免許以外のことが忙しい中で教習が気分転換になっているので、楽しく通いたくて、長引いてもいい人は3年次の通いも悪くはないかな。でも就活をしている中で資格欄に書くことが少なくなって少し困っています(笑)。

 

【番外編 教習期限が切れた体験談 は11日に公開予定】

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