インタビュー

2014年9月12日

「バカなの?」と言われて入ったベンチャーの楽しさ

今年6月に紙面・オンラインで公開した13年度就職状況では、従来と同じく東京大学学生には、大企業人気が高いことがわかった。その一方で、数は少ないながらも、ベンチャー企業を選ぶ学生が増えていることも事実だ。そうした、「ベンチャーを選んだ東大生たち」は、何を考え就職活動をしてきたのか?

初回となる今回は、設立9年半足らずで売上高100億円、レバレジーズ株式会社に入社した棚橋さん・西山さんに話を聞いた。

西山さん棚橋さん.JPG写真左:西山悠太朗さん 

レバレジーズ株式会社 メディア・システム部 マーケティンググループ
2014年新卒入社(入社1年目)
東京大学教養学部総合社会科学科国際関係論コース

写真右:棚橋寿充さん

レバレジーズ株式会社 メディア・システム部 マーケティンググループ
2012年新卒入社(入社3年目)
東京大学文学部言語文化学科日本語日本文学専修課程卒

−−−どういった就職活動をされていましたか?

棚橋:就活当初は、大手ばかり見ていました。なのでサマーインターンも、博報堂やリクルートなど大企業を中心に受けました。

就活で重視していたのは、「自分が活躍できるかどうか」「人が自分に合っているか」という点です。この視点で大企業を見るうち、自分が働いているイメージが持てない、と感じるようになりました。それが、「組織自体の大きさによるものである」という印象を持ったため、ベンチャーを選択肢として考えるようになりました。最初に出会ったベンチャーが、レバレジーズです。誰かの後ろに付いて行くより、自分が主体となって行動したいタイプだったこともあり、ベンチャーへの入社を選びました。

西山:僕はラクロス部所属で部活が忙しかったこともあり、就活を始めたのは12月からです。最初から、「IT×ベンチャー」という2軸で就活していました。

と言うのも、学生時代に教育ベンチャーで働いていたことがあり、その時にITの持つインパクトに惚れたからです。スカイプを使ったE-education事業に携わっていたのですが、そこで出会った勉強嫌いの子供が、自分との関わりを通して「勉強が好きになった」と言ってくれたのが、本当に嬉しかったです。そこで感じたことは、ITサービスであれば、自分の1時間の労働が100時間くらいの価値を生むかもしれないということ。自分が世界に爪痕を残すには、絶対ITが有効だと思い、ITスキルを身につけようと思いました。

もうひとつ、これまでの人生では、どんな時でも「自分の力で進むこと」にワクワクを覚えていました。人に言われたことだけをこなしたくないというか(笑)だから大学受験も独学でした。ベンチャーって、仕事の最終ゴールだけを始めに「どーん」と共有されて、それをどう達成するかはある程度個人に委ねられているんです。自分には、そういう裁量権があって主体的に仕事ができる環境の方が合うと感じたので、ベンチャーへ就職しようと決めました。

−−−その中で、どうしてレバレジーズを選んだのですか?

西山:レバレジーズという会社のフェーズに魅力を感じました。ベンチャー企業というと、アーリー・ミドル・メガといった具合にフェーズが分かれています。結論からいうと、レバレジーズの現在のフェーズであるミドルベンチャーが「いいとこ取り」だと思いました。メガベンチャーだと、レイヤーが深くなりすぎて、自分の声が上に届きづらいですよね。一方で、アーリーベンチャーだと資金力がなく、息の長いビジネスが始めづらい。その点、ミドルベンチャーでは、資金を蓄えているので息の長いサービスを立ち上げることができます。同時に、レイヤーは深くないので、自分の考えが上に届きやすく、より直接的に事業に関われると感じました。

もう一点、会社の理念に感動したことが挙げられます。レバレジーズには「関係者全員の幸福を追求する」という理念があります。面接時にあるマネージャーに聞いたのが、以前ほぼ確実に利益が上がる新規事業が進んでいたが、関係者全員の幸福を満たさないという理由でポシャったという話。社会的意義に向き合っている点が、他社と決定的に違う部分だと感じました。「とにかく儲かればいい」というベンチャーよりも、自分にはレバレジーズの理念が合っていると思いました。

棚橋:僕の場合は、創業が明治という歴史あるメーカーから内々定をもらっていました。待遇のことを考えると、大きな企業の方が、安定感もあって良さそうなイメージがあります。どちらを取るか、実際はかなり悩みました。

最終的な決め手は、「10年後、何をしていると思いますか?」という社員の方への質問。メーカーではほとんどの方が「役職」で答えていました。「たぶん課長だと思います」というように。一方で、レバレジーズの人は、「会社の中で、どういう存在感を出しているか」を語っていました。自分はそこが「面白い!」と魅力に感じました。将来が分かりきっている道よりも、良い意味で想像できないキャリアの方がエキサイティングだと思ったんです。

−−−周りの友人は、大手企業に行かれる方が多かったですか?

棚橋:仲良かった友人は、みんな大手に行っちゃいました。ベンチャーに行くと言った時なんて、「バカなの?」と言われましたからね(笑)。「なんでベンチャーなんか行くの?もったいない!」と。

西山:みんな大手に入っちゃうよね。

棚橋:ただ、同窓会などで仕事の話になると、やっぱり自分の方が楽しく働いているなといつも思います。大手に行った人は、2年目でもまだ先輩にタイムマネジメントしてもらったり、社内の連絡係をやったりしているという話を聞きます。

西山:自分で打ち手を考え、ビジネスを動かし成長させていく経験は、ベンチャーだからこそできると感じますね。

棚橋:大手に行った友人と違うと感じる点の一つに「視点の高さ」があります。レバレジーズであれば新卒1年目の社員でも、利益率など細かいところまで鑑みて施策を打っています。事業部長と同じ視点で事業を見ることが要求されるので、視点が自然と高くなるところが一番の違いです。

−−−いまお二人は、どういった仕事をしているのですか?

棚橋:僕はWeb広告を担当しています。自社で運営している転職サイトのバナー広告の作成、配信、結果分析が主な仕事です。

西山:僕は、データアナリティクス、簡単に言えば、自社のメディア上のデータを分析して傾向を見つける仕事を担当しています。棚橋さんが、DSP広告といった縦軸でメディアを担当しているとしたら、僕はサイト内の回遊や営業のアクション分析など、横軸で事業全体を見ています。

棚橋:機能で分かれてはいても、業務はかなり多岐に渡りますね。

西山:僕もある自社メディアをひとりで担当しています。人手が足りないのと、事業が拡大しているので、任される仕事は大きく、その分責任が重いですね。

−−−仕事でワクワクする瞬間はどういった部分ですか?

棚橋:マニアックな話ですが、いま新しいWeb広告の効果測定指標を開発していて、それがすごく楽しいです。

これまでは、クリック数や登録数などの「数値」で効果を測定してきたのですが、バナーや動画広告のように、ビジュアル要素が大きい広告については、「見た」ことがユーザーに与える影響は必ずあると思っています。そこを、何とかして測定できる評価軸をいま立案しています。業界的にもまだ誰もやったことがない分野なので、新しい価値を生み出すチャレンジができるのは非常に楽しいです。

西山:データ・ドリブンな意思決定が強い社内で、自分が出した分析によって、会社が動いている実感が持てる点ですね。

また、Webサービス全体を見ることができる環境なので、ITスキルという点でもかなり成長しました。僕はエンジニアではないので、入社するまで開発の知識は全くなく、「PHPって何?」という状態でした。ですが、4ヶ月経った今では、データベースを作り、自分でプログラミングをしてデータを引っ張ってこられるようになりました。自分の成長が実感できることは、大きなモチベーションです。

ベンチャーは研修体制がしっかりしていないと言われることが多いですよね。でもレバレジーズでは、分からないことがあれば、先輩社員が丁寧に教えてくれます。

棚橋:ホント、忙しい中、ありがたいよね。

西山:大手に行って、ここまで成長できているイメージは涌きません。だから今のキャリアを選択して良かったと思っています。

−−−10年後のご自身を想像すると、どんなイメージですか?

棚橋:会社としては想像つきませんが、個人的には、広告全般の仕事に携わっていきたいですね。また、現在0から携わっている新規事業に愛着がどんどん湧いてきているので、それを大きくさせたいです。

西山:もともとの夢が、自分でサービスを作ることだったので、その夢を叶えたいですね。

棚橋:2年後にはできるよ(笑)。5個はサービスを立ち上げてよ。

西山:5個ですか!頑張ります(笑)。

(取材・文 オンライン編集部 荒川拓)

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