2019年以来実に4年ぶりとなるFINAL4(関東準決勝)への進出。迎えた相手はAブロック全勝通過の日本体育大学で、今シーズン一度も勝つことのできていなかった強敵だ。23BLUE BULLETSの集大成となった激闘の模様を、東大男子ラクロス部員による寄稿でお伝えする。(寄稿=東京大学運動会ラクロス部男子・米今咲喜)(写真は大熊和輝さん提供)
第1Q、試合初めのFO(フェイスオフ)では相手のファールによってボールを得た東大。Q開始後の約4分間はセットオフェンスで得点機会を狙い続けた。しかし、足元の悪さも相まってボールを落とすと、そのままブレイクの形に。先制点を奪われる。
失点明けのFOでは手元では負けたもののGB(フィールド上に落ちたボールを奪い合うこと)に成功し、4年#52LG中村響平の見事なGBでポゼッションを勝ち取った。
再びセットオフェンスの機会を得た東大だが、4年主将#55AT酒主涼平の渾身のシュートは惜しくもゴーリーに阻まれ、相手ボールに。そのまま追加点を奪われ、チームに暗雲が立ち込める。
第2Q、東大1点目を奪ったのは4年#51MF阿江来途だった。ゴールに対して薄い位置で相手DFをかわすと、一瞬の隙に強烈なスタンシューを放った。
1-2で迎えた第3Q。なんとか追いつきたい東大だったが、Q開始直後に失点を許し、1─3と再び2点差に突き離される。しかしここから、東大の粘り強さが発揮される。4年#3G齋藤晃生が相手の強烈なミドルショットを見事クロスに収めて流れを引き寄せると、齋藤からパスを受けた酒主が、快足を飛ばし、見事追加点をもぎ取った。
続くQラスト1分、ゴール裏の4年#53AT野々口真伍がゴール上にいた4年#9MF村上蓮へ相手の意表を突くパスを通し、村上の鋭いスタンシューによって3─3とゲームを振り出しに戻した。
第4Q、Q開始1分で得たエキマン(相手のDFが1人少ない状態でのオフェンス)の好機を生かし切ることはできなかったが、Q開始6分ごろ再び相手ファールで1分間のエキマンの機会に。トップから酒主の放ったシュートは相手ゴーリーにセーブされたが、ゴーリーに対して2人がかりでプレッシャーを与え、再度東大ボールにすると、ゴール右上でボールを受け取った阿江が鋭いスタンシューを放ち、4─3に。見事逆転する。
ここから試合は怒涛の展開を見せた。
続くFOでポゼッションを取られると、相手に30秒のエキマンの機会を許す。なんとか凌ぎたい東大だったが、相手選手にクリースへのパスを通されてしまい4─4と同点となると、その2分後、再び相手選手のゴールが決まり4─5と逆転を許した。
残された時間は約3分。なんとしてでもオフェンスに持ち込みたい東大、全員が固唾を呑んで見守ったFOは相手のファールを誘い粘り勝ち。試合終盤、これまでのリーグ戦でもキャッチミスをはじめとした一つのミスが勝敗を分けてきた。雨脚も強まり足元の悪い中、フォールド上の選手の一挙一動に緊張感が走る。
そんな中トップの村上までパスが渡ると、何十回、何百回と練習を重ねてきたピックの動作(相手DFの動きをボールマンでないOFが阻むこと)がはまり、またも村上のスタンシューが相手ゴールネットを大きく揺らした。
土壇場で追いついた東大。流れは完全に東大に向いたと思われた。続くFOでもヘッドコーチ石川の見事な判断力でオフェンスの機会を得ると、勢いそのままに、試合終了時間ラスト数秒のところで、酒主がゴール左裏から捲って放ったショットは惜しくもゴールネットのサイドに。
しかし、雨天で視界の悪い中、スコアだと判断したベンチメンバーが喜びのあまりコートに侵入してしまい、人数超過で2マンダウンのファールに。そのまま第4Q終了のホイッスルが鳴り、コート上の人数が2人少ない状態でサドンビクトリーに突入することになった。
サドンビクトリーでは、4分間のクオーターを最大4回まで繰り返し、先にどちらかが点を決めた時点で試合終了となる。2人少ない状態でサドンに入った東大は圧倒的不利の状況。しかしここでゴーリーの齋藤がチームを救った。相手選手がノーマークの状態でトップから放ったシュートは、ゴール下を鋭く襲う。だが、鍛え上げてきた素早い身体動作でセーブし、24秒間の2マンダウンの危機を脱した。その後もDF陣の奮闘で危なげな展開も切り抜け、1回目のサドンビクトリーが終了した。
FOから始まった2回目のサドンビクトリー。3年#19FO平野賢が執念で手元勝ちとすると、そのままスクープし、見事OF陣にボールが渡る。
絶対にものにしたいオフェンス。トップから酒主がクリースにいた村上にパスを通し、そのまま村上がクリースシュートを放ったが、相手ゴーリーのナイスセーブに阻まれ相手のオフェンスへと持ち込まれる。守り切りたい東大だったが、相手エースがまたも陣形に侵入。相手の6点目が決まり、ここで試合終了となった。
主将#55AT酒主涼平より
自信を持って臨んだFINAL4日体戦でしたが、最後あと一歩及ばず悔しい限りです。コロナが明け、さまざまな人に支えられながらチームとして奔走してきた1年間でした。目標である学生日本一を達成することはできませんでしたが、最高のメンバーでラクロスができたことを誇りに思います。
23シーズンは、昨年10月のブロック最終戦、早稲田大学への敗北から始まった。例年と比べ人数の少ない中、1チーム体制で基礎から鍛錬を積んだ10〜12月。2月の日体大への大敗。他大の強さを目の当たりにし、総合4位で終えた六大戦。コロナ禍を乗り越え、大盛況に終わった一橋大学との東商戦。日体大との脳筋フェスでの惜敗、大勝利に沸いた京都大学との双青戦に、七大戦決勝での見事な逆転劇。
一方で、強豪相手に勝ち切ることのできなかったリーグ戦直前の練習試合の数々。そんなチームの不安を吹き飛ばすような勢いを見せ、大勝利に終わった明治との開幕戦。
そして、リベンジを掲げた早稲田・法政戦での度重なる敗北で心が折れかけながらも、執念で掴み取った武蔵戦での勝利とFINAL4進出。
今年の東大は常勝チームでこそなかったが、敗戦のたびに己を見つめ直し、チームの結束力を高め、最後には強敵日体大をあと一歩のところまで追い詰めた。
ブレずに学生日本一を掲げ続け、悩みながらも努力を重ね続けた36期の勇姿、23シーズンの軌跡は、多くの人の心を動かし、私たち後輩の目指すべき姿として、BBの歴史に刻まれるものとなっただろう。
この悔しさを薄れさせることなく、残された37期以下64名で2024年のシーズンも突き進んでいく。引き続き東大新聞オンラインにて試合の模様をお伝えするので、今後ともBLUE BULLETSに変わらぬあたたかなご声援を頂きたい。
試合の模様は公式Youtubeのライブ配信アーカイブよりご覧いただけます。
https://www.lacrosselive.jp/lives/7b078ec2-609e-4035-b6e1-a87c9ad294fc
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