東大は2月27日、熊本県と地域連携協定を締結したと発表した。半導体産業の振興、関連人材の交流など双方が培ってきた知見を融合した取り組みを推進し、熊本県の地域振興や地域課題の解決に寄与していくとしている。
提携により行われる取り組みは(1)半導体産業の振興、関連人材の育成と交流(2)先端知の社会実装による地域振興および防災・減災等地域課題の解決(3)世界や地域で活躍できる中高生らの育成と教員の交流ーの3点。
半導体関連では、熊本県には台湾の半導体メーカーTSMCが進出するなど半導体関連企業の立地が進む。人材の確保、育成を目的に研究者や学生の交流、共同研究の実施などを目指す。防災、減災においては東大先端科学技術センターが運用するClimCORE(過去の気候変動や異常気象を読み解く「日本域気象再解析」による大気の状態を4次元的に再現するモデル)を梅雨時期前の水害対応訓練に活用する。将来的にはエネルギー対策やカーボンゼロへの取り組みにも寄与すると期待される。中高生の育成や教員の交流については、かねて実施していた熊本県内の高校生が東大の講義を受講、研究施設見学を行う事業を継続するほか、県内の高校が東大と連携した授業を実施する。
熊本県はウェブサイトに締結式の様子を公開。蒲島郁夫(かばしまいくお)知事は「今回半導体分野を含む包括的な連携協定を締結することで、東京大学の総合知や先端知を活用させていただき、これまで以上に強固な連携体制が構築できるものと期待しています。」とコメントした。
蒲島知事は1997年から2008年まで東大大学院法学政治学研究科教授を務めた。知事就任の翌09年に熊本県は東大大学院工学系研究科総合研究機構と覚書を締結。特別授業の実施や教員・学生の相互交流を行ってきた。