第75回駒場祭が11月22〜24日に駒場Ⅰキャンパスで開催された。駒場祭委員会による3日間で約7万人の来場者が訪れたという。イチョウ色に染まるキャンパスを人々が行き交い、色とりどりの思いが重なり合って生まれるその場限りの出会い──今年のテーマ「彩なす」からは色鮮やかな祭りのにぎわいが連想される。今年の駒場祭はどんな色に染まっただろうか。それぞれの企画の思いとともに、当日の様子を写真で振り返る。 (構成・岡拓杜、取材・渡邊詩恵奈、平井蒼冴、岡拓杜)
東大LEGO部展示
東大LEGO部の部員が150ピースで世界の名所を再現した展示など、技巧を凝らした作品がズラリと並ぶ。中でも目を引くのはゲーム「ポケットモンスター バイオレット」に登場する建物を9万ピースで表現した大型作品。パソコンでの設計に数カ月、組み立てに1週間かかった力作だ。「こんなものがレゴブロックで作れるんだという驚きを期待しています」。会場では来場者の多くがここでしか見られない作品を写真に収めていた。
UT COFFEE STAND
この企画を出店した、東京大学珈琲同好会はコーヒーを一般の人に広めるために活動している。今回は、コーヒーが苦手な人にも美味しく飲んでもらえるコーヒーを目指し、フルーティーで酸味のある浅いりと香ばしい香の深いりのコーヒーをそれぞれ500円で、また数量限定のパナマコーヒーを2000円で提供した。「できるだけ渋味などが出ないように丁寧にコーヒーを抽出しようと心がけました」
駒場豚大前
文Ⅲ11組(24年度入学)が銀杏並木に出店したこの企画、豚のコスチュームを着た宣伝が目を引いた。駒場祭が寒い時期に開催されることを見越し、豚汁を売ることにした。買い出しなどの駒場祭準備にクラスの皆が協力していたため、Aセメスターになり皆で受ける授業が減ったにもかかわらず会話や交流の機会は増えたという。販売する豚汁のおすすめの点を聞くと、「具たくさんで野菜もお肉もとてもおいしいです」と責任者は語った。
越境する甘性、モンブラン。
フランス語で「白い山」を意味するモンブランを、ドイツ語選択の文Ⅲ15組(23年度入学)が「越境」する形で提供する。企画名は教養学部が掲げる「越境する知性」をオマージュしたもの。3回の試作会でバゲットを切り分ける際の適切な厚みとサイズを探ったと振り返る。秋を感じさせる栗の黄色にオレオの黒がアクセントとなり、仕上げに乗せられた銀色のアラザンはまるできらめく雪のよう。ビジュアルへのこだわりも垣間見えた。
Café Parfait
文 I・II27組(24年度入学)は、1号館の西で出店した。提供したのは、ホイップとマロンペーストをのせた鈴カステラの上に、栗を1粒添えたモンブランパフェ。鈴カステラを焼く機材からこだわり、熱々のまま提供できるよう工夫した。今回の出店を通して、クラスの仲が深まり、団結していったという。「秋といえばモンブランということで、みんなに買ってもらえるよう工夫しました」
雷鳥山荘の豚汁
サークル「山岳愛好会雷鳥」は山小屋での食事をイメージした豚汁を提供した。出店はコロナ禍明け初めての試みだったという。コロナ禍前は喫茶店を開いていたようだが、今回は登山サークルらしいメニューを意識した。テントの横に貼り出した普段の活動記録を見ながら、来場者と登山の話をするスペースも設け、山のエピソードで盛り上がった後に豚汁を買ってくれる人もいたそうだ。駒場祭や五月祭での出店を通して今後も「山の魅力を発信していきたいです」
パレスチナの声@東大
スイカ同盟@東大による出展では小説や詩、SNSの投稿など、パレスチナに関する「声」を届ける展示の他、来場者が自分の「声」を書き込む参加型の企画も行われた。サークルではなく有志による出展のため、当初は十分な人数を集めるのにも苦労したが、教員を含め、似たような問題意識を持つ人々のサポートにより形になったという。「この企画で初めてパレスチナで起きていることを知った」という来場者もおり、学外からの来場者も多い駒場祭に出展して良かったと語る。