11月18~20日に初のハイブリッド形式で開催された第73回駒場祭。人数制限があったためコロナ禍以前ほどの来場客は見られなかったが、3年ぶりとなる飲食物の提供も制限を設けつつ行われ、会場の駒場Ⅰキャンパスは企画を出展する学生や来場客で活況を呈した。また過去2回の駒場祭と同様、オンラインでもサークルやクラスなどが企画を出展した。駒場祭委員会は3日間のキャンパスへの来場者数を約25,000人、公式サイトのユーザー数を約50,000人としている。(構成・松本雄大)
屋内企画
東大LEGO部の展示に訪れると、画像や映像ではなく、実物を見られることもあり好評を博していた。大小さまざまな展示の数々からは部員の日々の活動の努力の跡がうかがえる。今回の展示の目玉である『遊園地』は個々で一つ一つの細かい作品を作り、それらを最後に組み合わせるという方式は取ったが、作業自体は個別でも集まって話しながら制作していたので楽しかったそうだ。
東京大学折紙サークルOristが出展した「折紙美術館’22in駒場」では精巧に作られた折紙作品が多数展示されていた。多くの作品が200工程ほどだが、目玉作品の『死神』は約400工程ほどだ。藤田慧さん(理Ⅰ・2年)と山下公平さん(電気通信大学・2年)は「公民館を借りて、みんなで1メートル四方の紙を貼り合わせて大きな折り紙を作りました。紙の表面と裏面で色が違うのでその点を意識して精巧に折っています」と語った。
東京大学奇術愛好会の「テーブルマジックショー」では3年ぶりの対面開催に備え、かつての駒場祭を再現しようと先輩たちに知恵を借りるなどした。以前は飲み物の提供も行っていたが、入場者数が読めなかったことや、サークルの財政上赤字が出せないこともあり、マジックショーのみを行うことにしたという。
飲食企画
ついに解禁された飲食コーナーに向かうと東京大学地文研究会地理部が名物の玉こんにゃくを販売していた。過去10年にもわたり販売しているというから驚きだ。部員の若原瞭さん(文Ⅲ・2年)に話を聞くと「山形の名物ですが、部員ですらなぜ玉こんにゃくなのかは謎です。しかし他と競合がなく差別化がしやすいので結構人気ですね(笑)。老若男女から受けも良く3日間とも完売ができそうです」と語った。
一方で自身の向かいに小籠包の競合がある『方自遠の小籠包屋さん』(2022年度入学文科三類11組)では経営戦略で差別化を図ろうとしていた。小籠包の個数を「二つ以上から自由」にすることで需要の増大を見込んだ。小籠包はネットスーパーで中国から仕入れたため、ある意味では本場の味を提供できたという。
東京大学バドミントン同好会が販売するのは名古屋名物のたません。たこせんべいに焼きたまごを挟む屋台料理で甘さがなく軽食として人気だった。「例年は牛串を販売していたのですが、今年は名古屋出身の部員からのプッシュでたませんになりました。駒場祭での飲食販売のノウハウが欠落していた点は大変でしたが、2年生で力を合わせて運営しました」と小林佑敬さん(理Ⅲ・2年)は振り返った。
フィナーレ
大雨の中迎えたフィナーレ。グランプリに輝いたのは東京大学ut.code();による「あなたのためのプログラミング」。ステージ企画では東大娘。’22と東の大打ち師達によるコラボ企画など多彩なパフォーマンスが行われた。
3年ぶりに飲食企画が解禁され、対面でも開催された駒場祭は無事に閉会した。来年の駒場祭では一体どのような景色を見ることができるのだろうか。