毎年東大生アーティストから募集し、一般投票によって選ばれる駒場祭公式テーマソング。各年のテーマに沿って創作され、テーマソングライブなどで駒場祭に彩りを加えている。今年は2人組アーティスト Fuzzy Fuzzy Fizzy の「Idling Smash!!」に決定した。駒場祭委員会企画局テーマソングライブ担当の繁本竜也(しげもとりゅうや)さん(文Ⅱ・2年)とFuzzy Fuzzy Fizzy のウロさん(理・4年)とくるまりさん(社会人)に、駒場祭におけるテーマソングの意義や、「Idling Smash!!」で伝わってほしいメッセージなどを聞いた。(取材・金井貴広)
公募・投票通じ 学生が団結してつくる駒場祭に
駒場祭委員会 繁本竜也 さん(文Ⅱ・2年)
駒場祭テーマソングの歴史は2009年開催の第60回にさかのぼります。当初は委員会が音楽サークルなどに打診して作曲してもらう形態が続きました。しかし第67回駒場祭でテーマソングに関する広報がうまくいっていないことが問題視され、第68回から学内募集によって認知度の向上が試みられました。以降、毎年公募が続いています。第72回の今年は2曲の応募があり、約600票の一般投票により「Idling Smash!!」が選ばれました。ちなみに五月祭では、08年開催の第81回から、学外バンドである唱頂の大員が歌う「五月の風」をテーマソングとして毎年使っています。
委員会が依頼をして曲を作ってもらえば委員の要望が通りやすいし、毎年同じテーマソングを使えば曲の浸透度が上がるというメリットがあると思います。しかし駒場祭では、今ここにいる学生と共につくるということが重要だと思っています。その年にこの大学で頑張っている人たちが作った曲を募集し、委員以外の人にも投票してもらって選ぶ。このことが、学生が一致団結してつくる駒場祭を象徴し、意義があると考えています。
今年は大手の音楽配信アプリで「Idling Smash!!」を配信し、より多くの人に身近に聞いてもらえるようにする予定です。テーマソングライブは生演奏が聴ける唯一の機会で、今年もオンラインのライブ配信を計画しています。
「Idling Smash!!」はコロナ禍で何をしたら良いか分からない人を後押ししてくれると思います。曲を聞いたり歌詞を見たりして「動く」ための活力にしてもらえればうれしいです。
「空回りでもいい」スタートするのが大事
Fuzzy Fuzzy Fizzy ウロさん(作詞・作曲)
4年前からテーマソングに興味はありつつも、応募はできていませんでした。コロナ禍で家でもできることを探そうと、1年前に作曲活動を始めました。普段はボーカロイドの曲をメインに作っていますが、今回は同郷のくるまりにボーカルを頼み、応募をしました。
今年の駒場祭テーマである「動く」について考えた時、オンラインで思うように活動できない現状が、車のエンジンが止まった「アイドリングストップ」の状態と重なり、それを打破するイメージで曲名の「Idling Smash!!」を思い付きました。歌詞も、1番が「窓枠に切り取られた モノクロームな世界」という言葉が表すようにオンラインでしかつながれないネガティブなイメージなのに対し、2番からはコロナ前の世界を懐かしみつつも前進するイメージで作り「動く」に関連したフレーズも繰り返しました。駒場祭に参加するサークルやクラス、駒場祭委員が躍動し、コロナ禍で思うように大学生活を送れなかった人も駒場祭に参加することで日常生活を動かし始めてほしいという思いを込めました。
駒場祭のテーマソングは、毎回その年のテーマが色濃く押し出された雰囲気の曲が出ていると思います。学生が主体となり作っていることも、駒場祭の持つエネルギッシュさと合致している気がします。
今回の曲では、初めてエレクトロ系のサウンドにギターを加えてみたり、いつもと逆に曲名や歌詞からメロディーを決めたりと初めての試みがありました。また、曲作りはコロナ禍以降に始め、私たち2人は一度も対面で会わずにこの曲を作り上げました。今回テーマソングに選んでもらい、多くの人に聞いてもらえるうれしさを感じています。「動き出せ 空回りでいい」と歌詞にあるように、まずスタートするのが大事だと思います。駒場祭を彩る応援歌になってほしいです。
Fuzzy Fuzzy Fizzy くるまりさん(ボーカル)
元気を与えてくれる歌詞が伝わるように、ワンフレーズごとしっかり歌うことを心掛けました。駒場祭を見に来るいろいろな年代の方に響く曲になっていると思います。歌を通して元気を届け、聞いた人の「動く」につながればうれしいです。