キャンパスライフ

2020年11月17日

【協働でアイデアを実現する】オンライン駒場祭の「かざり」に迫る!

駒場祭公式ウェブサイトは「和」と「かざり」を意識してデザインされた

 

 今年の駒場祭のテーマは「かざり」。オンライン開催で、キャンパス内でのパンフレット配布などの従来の手法を使えない中で、東大生はどのようにデジタルを駆使し、駒場祭を「かざり」付けているのだろうか。また「かざり」付けた駒場祭をどのように来場者に知らせているのだろうか。駒場祭の「かざり」は駒場祭委員会の委員が協働して実現した。駒場祭委員会広報局長の田中暢秋さん(文I・2年)とシステム局長の岡本直也さん(理I・2年)に話を聞いた。

 

来場者の心理を考える

 

 駒場祭の「かざり」付けの多くを担当するのは、来場者に対応する役割を担う広報局だ。広報局は、SNSなどで駒場祭を宣伝する広報担当や、グッズやポスター、ウェブサイトなどの制作・デザイン担当などに分かれ、70人程度が所属する。

 

 委員会の制作物デザインのほとんどを担う広報局では、デザインの経験がない新入生でも基礎からデザインに必要な能力を身に付けることができる。毎年、上級生が新入生に向けてデザインの講習会を開き、また、作業を通じて新入生の作品にアドバイスしている。「そもそも人の作品にアドバイスするのは難しいですが、今年はオフラインでの作業ができないため、意思疎通がより困難でした」と田中さんは話す。特にデザイン作業を共同で行うのは難しかったが、ビデオ通話で画面を共有しながら、直接話す機会を設けるようにして対応した。

 

 一方で、オンライン開催でデザインするものの総量が減ったため、一つ一つのものづくりに時間をかけることができ、下級生にアドバイスする機会が増えた。

 

 来場者に提供するウェブサイトなどは、全て「かざり」のテーマに沿ったデザインを意識して作られた。公式ウェブサイトは「和」を意識し、和柄の装飾的なモチーフを用いて飾り上げたという。

 

 また「かざり」というテーマに沿って、駒場祭のマスコット「こまっけろ」をマジシャンやパーティー風、お祭り風に着せ替えて飾る「こまっけろおきがえシリーズ」を公式Twitter上で発信している。「こまっけろの足が短いため、服のデザインが難しかったです」

 

お祭り風の衣装を着たこまっけろ(こまっけろ公式Twitterより)

 

 駒場祭を宣伝するに当たっては、駒場祭の知名度は五月祭に比べると劣るため、知名度向上につながる広報を心掛けている。特にオンライン開催である今年は、オンライン学園祭とは何かという疑問が持たれたり、そもそも今年は開催されないと思われていたりすることもあるため、発信するコンテンツを例年より増やしている。例えばこまっけろを五月祭のマスコット「めいちゃん」とコラボさせて、写真を撮ってSNSにアップしているという。また、例年通りにSNSで公式ウェブサイトのリンクを貼って広報している以外に、今年は公式テーマソング投票の動画を作るなど、動画での広報に力を入れている。

 

 SNSの投稿は、昨年の閲覧数とインプレッションのデータを参考にして投稿の計画を立てている。多くの人に反応してもらうため、特にインプレッションが良い時間に投稿するよう心掛けているという。また、企画の認知度を上げるため、Twitterで宣伝する際は、全ての企画に対してイメージ画像を作るなどの工夫をしている。

 

 広報局ではTwitterでの宣伝に限らず、企画の広報のサポートも対応している。例えば、どの企画を見れば良いか分からない来場者がいることを想定し、委員会が駒場祭の魅力向上に大きく貢献すると判断した企画に対し優先広報を行っている。優先広報企画として、今年は例年の「みどころ企画」と「学術企画」に、「ピックアップ企画」を加えた。

 

田中 暢秋(たなか のぶあき)さん(文I・2年)第71期駒場祭委員会広報局長

 

デジタルで臨場感を

 

 駒場祭の「かざり」を実現するには媒体となる公式ウェブサイトの構築が欠かせない。システム局では、ウェブ関連のサービスに対応する役割を担っている。駒場祭で使うアプリを制作する担当、広報局と共同でウェブサイトを作る担当、駒場祭に使うシステムの技術を開発する担当などに分かれ、20人程度が所属する。

 

 企画と来場者をつなぐ役割を持つ公式ウェブサイトの作成に当たっては、五月祭をはじめとする他の学園祭のウェブサイトなども参考にしつつ、ウェブサイトの負荷軽減を図ったり、ウェブサイト内の誘導を分かりやすくしたりすることにより、来場者が十分にオンラインでの駒場祭を楽しめるよう意識した。

 

 さらに、今年は公式ウェブサイトに、駒場Ⅰキャンパスを模した「駒場ゼロキャンパス」というページを作成した。「例年のオフライン学園祭には、来場者が企画に出会うきっかけとして二つのパターンがあります」と岡本さん。一つ目は、来場者が家族や友人を通して企画のことを知るパターン。二つ目は、配布されたパンフレットを見て気になった企画に向かう、キャンパスを歩いている中でたまたま目にした企画に向かう、といった「偶然の出会い」だ。駒場ゼロキャンパスは、そのような「偶然の出会い」がオンラインでも生まれるようにと作成された。マップを応用し、ページ上に各企画へのリンクを掲載、建物で企画が行われているイメージを再現している。また、東大生によるキャンパスの建物の紹介もマップに添えられる。「駒場ゼロキャンパスで少しでもキャンパスの臨場感を味わってもらえたらうれしいです」

 

駒場ゼロキャンパスのイメージ図(第71回駒場祭公式ウェブサイトより)

 

 オンライン開催で例年通りにできないことがあるものの、オンライン開催ならではの試みもある。インターネットを通してサークルなどの学術・文化活動を知ってもらうための企画も満載だ。オンライン開催で気軽に参加できる今年の駒場祭。ぜひさまざまな「かざり」を堪能してほしい。

 

岡本 直也(おかもと なおや)さん(理I・2年)第71期駒場祭委員会システム局長

 

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