ジブン×ジンブン
UT―humanitas2018
@1号館112教室 全日全時間帯
人文学者の研究は社会とのつながりが薄いとされ、世間で軽視されがちだ。人文学に関する予算や人員の削減が続く中、人文学側から手を打つ必要性を痛感した大学院生が、今年UT―humanitas2018を結成した。
駒場祭では企画「ジブン×ジンブン」を通じて、将来を担う高校生をはじめとした多くの人々に人文学の面白さや意義を積極的に発信することを目指す。例えば「ジンブンアトラス」という展示では、哲学、史学など学問間の視座の違いを例示。「How to Make 論文」という展示では、教授へのインタビューを基に人文系論文の書き方を提示する。大学院生の学問に対する熱い思いが伝わってくる展示が満載だ。
この企画の魅力は、さまざまな研究科に所属する大学院生が自分の分野についての問題を持ち込みながら、より広い視野で人文学の意義を考える様子を見られることだ。人文学の意義を「われわれが普段何気なく使う概念の価値を洗い直して、自分たちがいったいどんな価値観に縛られているのかを知ること」と語るのは大泉哲也さん(法学政治学・修士1年)。法律制定時に何が意図されたのかを歴史的にたどることで現行法の意味を明らかにする法制史を専攻する。須河原舜さん(総合文化・修士1年)も「人文学は文系の基礎研究。社会科学の思想・方法の基盤にもなっている」と自分の専門である人文地理学の立場から語る。
このように「社会からいったん身を引いて社会を叙述、批判し、自分の立場を明確にすることで社会に戻っていくのが人文学者です」と大泉さんは話す。社会とつながる人文学の意義を、企画を通して是非実感してもらいたい。
この記事は、2018年11月13日号に掲載した記事の転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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