昨年は日本のみならず世界で SNS が選挙など政治に大きな影響力を与えた、と言われた年だった。一方で、SNS には真偽不明の情報も多く飛び交う。そして、東大新聞でも昨年、学費問題の取材の過程を反省する中で、多くの構成員の声を取りこぼしていたのではないかと言った意見や、記事を速報できなかった上、学費問題について深く考える材料を提示するような質の記事が出せなかったという意見が出た。これからオールドメディアは、そして東大新聞はどうあるべきだろうか。東京大学新聞社出身の新聞社、テレビ局、通信社という多様なメディアのさまざまな世代の記者と現役の東大新聞記者が座談会を開き、各世代に共通するジャーナリズムと世代を超えて新装される新しい価値観の発見を目指す。(構成・平井蒼冴、撮影・丹羽美貴)
参加者
橋田 欣典(よしのり)さん(共同通信):1988年東大卒。現在仙台支社で総務部長を務めている。
岩田 夏弥さん(TBS):1998年東大卒。現在はTBSの政治部長。
武(たけ) 沙佑美さん(日本経済新聞):2021年東大卒。現在は日経新聞の英語ニュースメディア『Nikkei Asia』の記者。
【堀】:3年。23年の東大新聞の副編集長(校正担当)。
【拓】:2年。ニュース記事を担当。東大の授業料値上げ関連の報道に携わった。
【美】:1年。中高生のころ読売新聞でジュニア記者をしていた。
東大新聞の今と昔──変わるものと変わらないもの
━━皆さんが在籍していた時はどれくらい編集部員がいたのでしょうか。また、どのように活動されていたのでしょうか。例えば入稿(原稿の体裁を整え印刷所に渡す作業)はどう行っていたのでしょうか
橋田 私がいたころの在籍人数は多くて 10 人、少ない時には3人で4ページを組んだこともあります。手書きの原稿を新橋にあった印刷所に持ち込み、パンチャーに打ってもらってから印刷していたので、新橋と大学を行ったり来たりという生活でしたね。編集会議は週に1回本郷に行って、当時は週刊でしたからそこで次々週の号の内容を決めていました。取材する人や寄稿してくれる人が多かったので不思議とネタには困らなかったです。
岩田 私のころにはワープロがあったので、ワープロで記事を書き、原稿のデータをフロッピーディスク(磁気記録媒体を薄いプラスチックのディスクに付着したもの)に入れて印刷所に持ち込み印刷してもらっていました。印刷所で校正をするなど、私も印刷所によく通って
いましたね。印刷所のおじさんたちは、大学では会えないような人たちなので話すのが面白かったです。編集会議では一人一人A4の紙1枚のレジュメに、今やっていることの進捗状況やこれからやりたいことをまとめて持ってきていましたね。
武 私が学部4年生の年にコロナ禍が始まってその年にほぼオンラインに切り替わったと思います。それまではレイアウトはパソコン上で組んだりすることもありましたが、部室で作業する人も多くいて、その時は倍数定規なんかを使ってアナログにやっていましたね(笑)。ただ、印刷所に行くことはなくなっていました。コロナ禍の前までは編集会議は部室でやっていて、オンラインでつないだりはしていませんでした。やっぱり編集会議ではレジュメを持ってきていましたね。
━━今はどうなっているのでしょうか
【堀】 今では、オンライン化が進んでいます。Zoom で取材することも多いですし、記事は Word で書いて同じファイルで校正も行っています。紙面のレイアウト作成もパソコン上で行っていますね。編集会議は対面でもやっていますが、Zoom での参加者が多いです。月刊の紙面ですが編集会議は週1回行っていますし、入稿作業は毎号3週間かけて行っています。この辺りは週刊時代の名残りかもしれませんね。ただ、一人一人レジュメを作る文化は残っていません。
━━東大新聞時代に皆さんが書かれた記事の中で一番思い出に残った記事はどのようなものでしょうか
橋田 84年、教養学部の自治会委員長(当時)選挙で、15年ぶりにいわゆる民青(日本民主青年同盟。日本共産党に近い青年組織)系ではない、福田有広さんが当選しました。彼は後に東大で政治学の助教授(当時)になりましたが、39歳で亡くなります。そんな彼に取材し、記事を書いた時に、「大学の自治や民主主義ってなんだろうか」とすごく考えましたね。それが思い出に残っています。大学紛争が終わり、キャンパスの中から活気が消えアパシー(政治的に無関心な態度)が広がる中で、これが政治かというものを見られて勉強になりました。当時東大の学内メディアはほぼ東大新聞しかなくて、学食で警備員さんたちが記事を読みながらしゃべっているのを見るとうれしくなりました。
岩田 いろいろな人に会って話を聞いたのが思い出に残っています。特に一番記憶に残っているのが93年に漫画『東京大学物語』の作者、江川達也さんにインタビューした時ですね。吉祥寺の江川さんのスタジオに夕方に取材に行き、そこで6時間も話をしました(笑)。その取材を自分なりに再構成して記事にする過程が、一番記憶に残っています。ちなみに、当時江川さんは人気者で、いろいろなメディアから取材を受けていました。そんな中で、「岩田君の記事は、一番自分の言っていたことが反映されていた」と江川さんがおっしゃっていたなんて話を聞いたこともありました。やっぱり、人に会って自分の聞きたいことを聞きつつ、相手の言いたいことを引き出し、この人はこういう人なのだと自分で整理して記事にすること。そしてその記事を読んだ読者が、何かまた考えるということ。この一連の作業が東大新聞をやっていた時の面白さでしたね。
武 私は学術系の記事を主に担当していて、主に東大の教員、学者などへの取材をしていました。授業で聞いた小話を掘り下げてみたり、学生生活で疑問に思っていたことを記事にしたりしたことが面白かったです。例えば試験前になると周りの学生がエナジードリンクをたくさん飲んでいるけど、健康に害はないのか医学系の先生に聞きに行きました(笑)。 あとはジェンダーに関する記事もよく書き、上野千鶴子先生に取材に行ったりもしました。その中でも4年生の時にミスコンの是非について連載した企画では、主催者や反対する人、今までの出場者や教員の話を聞き、深掘りしたのが印象に残っています。
━━皆さんが在籍されていた時の大学当局に対する報道姿勢はどのようなものだったのでしょうか
武 個人的に大学をすごく批判した、ということは記憶にないですが、特にニュース面の人たちはいろいろ考えて記事を書いていたのだろうと思います。ただ、ミスコンの記事を書いたときは、大学当局が特に対応していないのはどうなのかと思うところもあったので、ある程度批判的な視点を持って記事を書いた覚えがあります。
岩田 武さんと同じで当局を大きく追及したり、批判したりといったことはなかったと思います。ただ編集部でも議論をしたことがあって、作っているのはわれわれ学生だけれど、学生新聞ではなくて『東京大学新聞』という名前である意味を考えたことがありましたね。読者からすれば東大の学生の新聞ではなく、職員や教員も含めて作っているように外からは見られるだろうし、実際そういう形の新聞だろうと。だから、ある種学生運動的にとにかく体制批判をする新聞ではないんじゃないかと話していました。とはいえ迎合してもしょうがないので批判的な視点で見て伝えることも必要で、一方でそれにも節度があるということです。
橋田 大学批判とか迎合とかは考えたことがなかったです。これはどうなのだろうとお上の意向を伺うといったこととかはなかったですね。東京大学新聞社は財団法人で(当時、現在は公益財団法人)全く独立でしたから、自由に記事が書けました。
━━【拓】さんは、学費問題に関する社説を起草する上で気を付けた点などありますか
【拓】 大学側の動きにも僕は問題意識を持っていたのですが、学生側にも問題があるんじゃないか、ということに今回の社説では一番こだわりましたね。東大新聞に求められているのは大学からも学生からも一歩引いて俯瞰(ふかん)的に見られる立場からの視点でしょう。学生団体が学費はこうあるべきだという大原則を掲げて反対するのも大事なことです。ただ、それ以外の自分たち独自の視点も考えました。今回だと大学側が学生の実情を捉えられていないのと同様に、自治会など学生側の活動もまた、学生の実情を捉えられていないということを指摘しました。皆さんのお話を聞いて、今回フェアな立場で独立して論じられて良かったと思います。
━━皆さんの就職先で、東大新聞と似ていると思った点や、ここは少し違ったという点があれば教えてください
武 企画を考えて、取材をして記事を書くという流れは変わらないかなと思います。だから仕事になじみやすかったですね。一方で、読者層が違うので、読者にどんな記事が刺さるかを考えるに当たってはマインドチェンジする必要がありました。
岩田 テレビは映像を扱うメディアなので、みんなで何を取材するか話し合った後は1人で取材をし写真を撮る新聞と違い、カメラマンやカメラの助手などたくさんの人が必要です。そこが一番違いましたね。私は入社してから、政治部での政治系の取材が多いのですが、この分野は尚更チーム戦の趣が強いです。政治の取材では、ある政治家に聞いたことと、他の政治家に聞いたことが食い違うことがあって、それらを取材した記者同士で照らし合わせて何が今起こっているのかをニュースにする形が多いですね。でも、世の中で起きていることの中で、これはニュースだというものを見つけ、それを言葉にする力が必要という意味では東大新聞もテレビも同じです。
橋田 通信社が新聞社にニュースを配信する際には、「朝刊メモ」「夕刊メモ」といって料理のメニューみたいにまとめて案内します。1 面トップ級など重みを付け、紙面に載る数よりも多くのニュースを送り、受け取った新聞が取捨選択して、どれを記事に載せるかを決めます。配信記事数に余裕があるのでいろいろなことを記事にできる点では、東大新聞と似ていますね。ただ、時にはあまり新聞に載せてもらえないことも。渾身(こんしん)の記事が1紙にしか載らなかったこともありました(笑)。一方で思わぬ反響を呼んだこともあります。
変わるオールドメディア──インターネットでどう発信するか
━━オンラインでの記事と紙面での記事には、どのような違いがあると考えていますか
武 オンラインだと理論的には字数制限がありません。日経では電子版の記事を短縮して紙面に載せることが多いです。スペースの制約がないため、紙面だと場所がなくて載せられないけど、オンラインには載せようということもよくあります。紙面だと記事の大きさで重要度が分かりますが、オンラインだと読者はより見出しで読むかを判断するので見出しは重要だなと思います。
岩田 あまりオンラインの記事を書いたことはないのですが、オンライン記事は文字数制限がないのが一番の違いですね。音声だけのポッドキャストや動画もオンラインでいろいろとできます。自分が関わったものでいうと、米国大統領選挙について TBS でポッドキャストを出しました。ポッドキャストには時間制限がないので30分でも40分でも話せて、そこがテレビと違う点ですね。
橋田 共同通信は以前からオンラインに力を入れていました。最近は各地の新聞社も力を入れています。そうなると、長い記事が読まれるようになって、数万PVの記事も出てきました。オンライン記事は通信社の生き残りの柱だと思います。あとは、仙台で最後の屋台の記事を企画した際に、紙面で2ページ分の量の記事をオンラインに載せました。こういった人情物も結構読まれて、この記事をある地方紙から全部載せたいと言われたこともありました。想定外の要請で、1000字まで減らして載せてもらいましたが。こんなふうにオンラインから紙へといった流れもありますね。東大新聞でも紙とオンラインと連動して長文の記事が読めるといいなと思います。
━━東大新聞でオンラインの記事を出す際に、気を付けていることはなんでしょう
【美】 読売新聞のジュニア記者をしていた中高生の時にも紙面の記事がオンラインにも載ることがありましたが、紙面に比べオンラインの写真のインパクトの小ささに虚(むな)しさを覚えていました。今の東大新聞だと表紙に写真がドーンと入っていて、それが気に入ってますが、スマホだとここまでのインパクトを出せません。写真の活用方法に難しさを覚えることは多々ありますね。
【拓】 学費問題に関して、毎日のようにオンラインで速報を出していた時期がありましたが、今まで東大新聞は紙中心だったので手探りでやっていましたね。編集長や「東大新聞オンライン」を運営するデジタル事業部長と毎日会議して、読者にとって何が重要なのかなと考えていました。オンライン記事はいつでも出せる物なので、なぜ今伝えなければいけないかといったことを考えていましたね。
皆さんに、学費問題の時に悩んでいたことで、1点聞きたいことがあります。オンライン記事で注目を集めるために内容を誇張した表現が使われてしまうことがあると思うのですが、見出しをつける時、どんなことに気をつけていますか。
武 今いる「Nikkei Asia」は英語で発信しているのでライバルは海外メディアを意識することが多いです。海外メディアはまずは読者にクリックしてもらうことを強く心掛けている印象で、中には扇動的ともとれる見出しも見受けられます。最初の方は自分もそのようにしないといけないのかと思っていました。しかし、社内で効果的な記事の見出しの付け方について学ぶ機会があり、調査の結果シンプルな主語と述語でできた分かりやすい見出しが結局いいらしいと聞きました。それ以来基本的に簡潔でストレートな見出しを心がけています。
岩田 この見出しでメディアとしての信頼を損なわないかと考えると、嘘や過度な誇張は見出しとして書けないですよね。悩んだときはこの見出しで信頼を損なわないかという基準で書くべきでしょう。
橋田 もっと面白い見出しをつけられないかと記事について言われることがあります(笑)。ただ、面白い見出しには危険なところもあって、見出しに引きずられて中身が変わってしまうことがあるのです。SNS中心の新興メディアもこの傾向があって、見出しは面白いけど中身はからっきしというものが少なくありません。これをやっているとどんどん見られなくなるんじゃないかな…。見出しはやっぱり記事の内容を実直に短く伝えるものだと思います。
オールドメディアはどうAIに立ち向かうか
━━AIとジャーナリズムについて聞きたいと思います。皆さんの職場でAIを活用することはありますか
武 生成AIの広がりに伴い、会社の中でも使用上のルールができました。指定されたツール以外を使いたい場合は使う前に申請しなきゃいけないとか、取材準備のための下調べに使うのはいいけど生成内容をそのまま記事にしてはいけないなどと決まっています。その上で活用には前向きで、社内でAI編集支援ツールを開発し、日経が著作権を持つ記事の情報を再構成したり要約を出力したりして記事の下書きに使う取り組みもあります。
橋田 うちでは、AIの利用について研究機関と協力して調査研究をしたりはしていますが、まだ実際に記事に使う段階ではないですね。ただ、私は仙台で1年半ほどかけて約20万ページの震災資料を電子化し文字にしたのですが、こういったことにもAIが使えるんじゃないでしょうか。(東京大学新聞社の)部室には戦前からの資料がたくさんありますが、見ていると電子化したくなってきますね(笑)。昭和の紙は今やっておかないとボロボロになってしまいます。AI にはしっかりした元データが必要ですよ。
━━今は使っていないけれど、こんなところでAIが使えるのではないかということはありますか
武 記事に写真を必ず付けなければいけないことが多いですが個人的にはその写真を探してくるのにAIが使えるのかなと思います。今は写真担当の人がいて、記者側がこの記事に合う写真を探してくださいと依頼しているのですがここでAIが使えるんじゃないかと。ただ、それが適切な写真かという最終判断は人間がしないといけませんね。
岩田 報道機関には過去の原稿がたくさんありますが、それをAIに取り込んでデータベースを作ると。すると取材をするときにAIを使って事前に学習できますよね。今でもネット上のデータを使って生成AIに同じようなことをやらせることはできますが、ネット上のデータより報道機関の過去の原稿の方が信頼できるのでいいです。ただAIに記事を読み込ませる作業は大変そうです。
橋田 過去のものを扱うって大事なんですよ。今メディア各社のデータベースで、事件事故の記事は匿名化されて、読んでも何が何だか分からなくなっています。もちろんプライバシーや人権への配慮からですが、伝える側は背景を可能な限り知った上で、どこまで出すか考えないと正しい報道はできません。例えば袴田(はかまた)事件でも、当時の資料がないと袴田さんを犯人視した過去の報道の反省記事も書けませんよね。そういう点では、記事でもオンラインで記述に余裕がある時は学術論文のように出典が見られるようにした方がいいかもしれません。
【拓】 最近東大新聞でAIを使った事例としては、東大大学院の入試サイトにおそらく中国人留学生を排除する意図で「六四天安門」と書き込まれたことを報じた記事を英訳した際に使ったことがあります。事の性質上色々な言語で発信しなきゃいけない一方で早く発信しなきゃいけなかったので、日本語の記事をChatGPTに英訳させて、その後人間でダブルチェックし修正した後に公開しました。人のチェックが入ればいろいろなふうに活用できて時間も短縮できるので、今後東大新聞では、翻訳に使えるのではないかと思います。ただ、結局翻訳する言語に対する知識がないと厳しいと思います。
━━ネット上では生成AIなどを利用したフェイク画像がまん延し始めています。この現象にメディアはどう立ち向かえるのでしょうか
武 一部の海外メディアでは、フェイクニュースへの検証記事を出したりニュースレターで「今週のフェイクニュース」というようにまとめて発信しているようです。ファクトチェックがコンテンツ化しているのは面白いと思いますし、そういったことはメディアにできますよね。
岩田 これは非常に難しくて、昨年の兵庫県知事選挙や東京都知事選挙でも言われた話ですが、出どころが怪しい情報がいろいろ出てきて、それに影響された人が結構いると言われています。この状況で新聞やテレビの役割は何で、その役割を実際に果たせているのかという問題は話題になっていると思います。特に民主主義にとって一番大事な選挙でメディアがどういう役割を果たせるかは大事な話で、今各社はどうすべきか考えている最中だと思うし、考えるべきという点では一致しています。それ以上はちょっとまだ分からないと思います。
橋田 僕らの中では記事の根拠をしっかり持って記録していこうとなっています。昔の記者は適当なところがあって、パッと聞いたことをパッと記事に書くのがいいという風潮があったように感じます。今、既存のメディアがSNSに対抗できるのは報道にどれだけ根拠があるのかという点ですね。もちろん根拠自体は、取材源の秘匿で見せられないものもあるけれど、根拠をしっかり持っていることが重要です。アーカイブの話もこういった問題意識から発したものです。想像と妄想に基づきがちなSNSに、われわれは根拠と論理で対抗できると思います。
「真実は不思議なくらい矛盾が起きない」──将来の記者たちへ
━━報道機関への就職を希望する読者に期待することは
橋田 どんな業態でもニュースの根っこは真実を探る取材をするところにあります。そして真実って不思議なくらい矛盾が起きないんですよね。だから自由に考えてほしいです。既存のメディアは形が変わっていっているし、必ずしも紙にだけとらわれる必要はありません。一方でネットという場が全てでもない。報道をどんな形で伝えるか新鮮な提案をしてくれる方、そういう知識のある方にぜひこの世界に入ってきていただきたいです。
岩田 マスメディアの影響力はそれなりに大きいと思います。だからこそ、社会がおかしな方向に進まないように、戦争が起きないように、生活に困窮する人がなるべく少なくなるように、そういう広い問題意識を持ちながら日々の仕事をしていただければいいですよね。特に日本は長く戦争が起きていない国なので、自分たちが活動する間は戦争が起きないように、巻き込まれないようにと思いながら仕事をしてほしいですね。
武 これから報道機関に就職する人には、自分が入社した時の感覚、初心を忘れないようにしてほしいですね。私は入社4年目ですが、今は新聞社も含め古い会社組織を変えなくてはいけない時期にあると思うのでここはおかしいと思ったら上司に相談したいと思っています。仕事への感覚や向き合い方とかも世代間でギャップがあるので、そこは柔軟に、でも自分の感覚も大事にしたいです。取材においてもそうした姿勢は良い記事につながると思うので、「こうあるべき」みたいなものに縛られずに会社に入ってきてもらえたらうれしいです。