今年度の五月祭、東京大学新聞社主催講演会において、ITの専門家かつ起業家の木寺祥友氏の登壇が決定した。
1963年生まれの木寺氏は、日本におけるJavaプログラミングを初めて組んだ人物である。Javaとは、コンピュータが実際に機能を発揮するためのプログラムのための言語の一種だ。氏は1995年に渡米し、Java開発の現場を実際に探索して勉強し、帰国後に着手した。
Javaはその後日本においても汎用化され、木寺氏はJavaの第一人者と呼ばれるようになる。
プログラミング言語としてのJavaの特徴である「継承」という、以前組んだソースコードの再利用を促す機能によって、木寺氏のコードは現在も部分的に使用され続け、専門家からの尊敬の念を勝ち得ている。
実績が評価され、1996年にアスキー社から出版。Java生みの親、ジェームズ・ゴスリンへのインタビューも実現している。
ちょうどJavaが開発された1995年と時を同じくして、日本でも携帯電話が普及しはじめた。当時は本当に「電話」機能しかなかったが、木寺氏は「Java端末と携帯電話が将来的には一体化するはずだ」と着想し、NTTドコモ504iシリーズの標準化プロジェクトに参画する。
木寺氏は、携帯でもホームページが見られるようになったiアプリの生みの親なのである。
このようにITの草分け的存在とも言われる木寺氏は、今でこそ政府系諮問機関であるオープンガバメント・コンソーシアムの顧問を務めているが、その道のりは決して平坦ではなかった。大学を中退するという出発点から始まり、一度も就職をしたことがない、言わば純・起業家である。今いる位置まで登ってゆく、その道のりでの豊富な経験を基に、ITにより起業することの魅力とアドバイスを東大生に送る。
こちらは1995年初版の本。時代の先を行きすぎて当時は売れなかったが、今では一冊6万円ほどで取引されることもある。
氏は今年、新たな会社の設立を予定しており、多忙ななかでの登壇となる。知る人ぞ知る実業界の巨匠、IT業界伝説の人物の息吹に、触れる機会を逃してはならない。
日時:5月17日(日)14:00~16:00(開場13:30)
場所:東京大学本郷キャンパス法文1号館22番教室(正門入りまっすぐ・安田講堂手前)
事前申し込み不要。当日会場までお越しください。
(企画・文 沢津橋紀洋)