東大新聞には、さまざまな個性・経歴を持った部員がいる。ここでは特に、他の部活・サークルと兼部している部員や、東大新聞に入部する以前に、他の部活・サークルを経験していた部員に焦点を当て、そうした部員の他の一面や他部活の特色を読み解く。今回は、「東京大学・東京女子大学古典ギター愛好会(愛称・こてぎ)」と兼部している部員が、こてぎの様子について紹介する。(構成・山口智優)
東京大学・東京女子大学古典ギター愛好会とは
その名が示す通り、主に東大と東京女子大学の学生で構成されるクラシックギターのサークル。クラシックギターとは指で直接爪弾いて演奏されるタイプのギターで、アコースティックギターとは異なり、多くの場合楽器のみで楽曲を成立させる。
普段の練習は、3~4人程度で行われる「師弟練」が平日の空きコマに週1回、学年単位で行われる「合奏練」が土日に週1回行われる。「師弟練」とは、2年生を「師匠」、1年生を「弟子」に見立て、基礎的な事項を2年生が教えつつ共に練習するという制度だ。多くの場合、「師匠」1人に「弟子」2、3人がつくこととなる。活動拠点としている部室は、学生会館が開館していればいつでも利用できる。各人思い思いのことをしている和気あいあいとした雰囲気の部屋で、ギターの話などを通じて先輩後輩関係なく交流が生まれている。
部員にはギター初心者も多い。会として所有しているギターがあるため、入会にあたりギター購入の必要は特段ない。たとえ楽譜が読めなくても「師弟練」などでサポートしてもらい活動できるといった初心者にも優しい体制となっている。学年やギターに対する熱量・熟練度などをはじめとして、部員の属性に幅があるのが特徴だ。
記者が「こてぎ」を選んだ理由
一つ目は、何か楽器を弾けるようになりたいと思っていたことだ。「音楽の素養がある」ということに対する漠然とした憧れがあった。「こてぎ」では、新入生のほとんどが未経験であることから初心者をサポートする体制が整っており、ここなら周囲に気後れすることなく活動できそうだと考えた。
二つ目は、学業やその他の活動との両立が容易であることだ。練習は空きコマや土日に行われるため、大学の授業に支障をきたすことはない。練習頻度も自分で調整可能であるため、東大新聞の活動とも両立可能だと思われた。
また記者は地方から上京したこともあり、入学直後は大学から危険な団体に関する頻繁(ひんぱん)な注意喚起もなされる中で警戒心を強くしていた。その中で、飲み会などの遊びが少ない「こてぎ」の素朴な雰囲気も大きな決め手となった。
実際に所属してみて
入会前は「師匠」や「兄弟弟子」とうまくやっていけるか不安もあったが、記者の場合は良好な関係を築くことができ、杞憂(きゆう)に終わった。
丁寧に教えてもらえた結果、6月のコンサートでは早速1年生のみでの合奏に参加することができた。11月の駒場祭では独奏、12月のコンサートでは「師匠」や2代上の「師匠」と重奏をすることができた。初心者からのスタートであるため、成長している実感があり楽しかった。
また、練習時間の融通が利くのはありがたく感じている。1年生の多くは必修などで履修すべき授業が多いため、少ない空き時間に気軽に参加できる形態は便利である。記者は帰省のため夏休みはほとんど活動に参加しなかったが、さほど活動に支障をきたすことはなかった。
東大新聞は主に平日の夜に活動するため、こてぎと予定がぶつかることはない。それぞれの活動同士がリフレッシュになっている他、知り合える人の幅も広がっている。なお記者の「師匠」は、「東大リコーダー同好会」と兼サー。異なる楽器を演奏することで視野が広がり、活動に深みを与えてくれたのだそう。
記者は兼サーに対して不安感はあまり無かったが、入学したての頃は両立できるか心配な人もいるだろう。やってみたいことが複数ある人は、両立可能かを慎重に見極めた上で、様々な活動に参加し自分の世界を広げてみるのも良いかもしれない。
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