前編に引き続き、今回はアスタナの通り名である「未来都市」性に迫ってゆく。
有名な話としては、首都建設のためのコンペにより、日本の建築家・黒川紀章の設計が採用されたというのが記憶に新しい。世紀の変わり目に、旧首都であるアルマトイからアスタナに遷都されるが、徹底した計画都市が構築されたのがこの地だ。
会議場と博物館を兼ねる独立宮殿を訪れ、都市計画の模型を見せてもらった。ガイドの話によれば、2030年まで都市計画実現のための工事が続くという。
そのような計画のもとで建てられた建築物は、よく言えば豪華絢爛。写真は20年以上の長期政権を維持するナザルバエフ大統領をたたえた、高さ105メートルのバイテレク。大統領はよほど人気らしく、展望台に飾られている彼の手形を見るために大勢の見物客が並んでいた(無論我々はスルーした)。
こういった建築物は、悪く言えば、大味。銅像も、全てがでかい。オイルマネーで潤う国家財政に物を言わせた建築といった趣だ。ネット上を探せば、現実離れしたアスタナの華奢な写真を多数見ることができる。
トマスモア『ユートピア』ばりの理想都市が具現化した様は必見である。
カフェオレみたいな手前の建物。街中を歩くだけでも、近未来を来たようで楽しい。
コンサートで使用されるらしい。
ノーマン・フォスターという著名な建築家による「平和のピラミッド」。世界宗教会議の会場ともなるという。
高校のときの世界史の資料集を紐解く。この後訪れる、ティムール帝国首都で世界遺産にもなっているサマルカンドを擁するウズベキスタンとの対比で言えば、カザフスタンは世界史上は地味な位置づけだ。
だが現在の経済規模でいえば、カザフスタンは2017年にはここアスタナで世界万博の開催も予定されているなど、注目が集まっている。
石油などを扱う国営企業の建物。国営企業が強いあたりは旧ソ連圏的なのかもしれない。
街中を走るバス。添乗員が一人乗っていて、運賃は彼女に手払いした。こういったところはまだ機械化されていないらしい。
アスタナ-仁川間開通の理由を聞けば、カザフスタンでは現在韓流ブームだからだという。この後訪れたアルマトイにあるカザフスタン歴史博物館では、韓国語の表記が一部あるなど、両国の結びつきが確かに伺える場面もあった。
また、街中を歩けば、中国語で話しかけられることが多かった。同行する知人はそのことを悔しがっていたが、現地においては中華系の方がプレゼンスがあるということだろう。華僑と呼ばれる方々がいかにグローバルに動いているかが分かった。東大も「タフでグローバル」たれというメッセージを盛んに投げているが、日本は「グローバル度」でいえばまだまだなのだな、と感じられた。
中国語で話かけてくるカザフ人。第二外国語で学んだことが役に立つときだ!
湿気が少なく、青空が澄んでいてきれい。都市にも関わらず、土地が広大なため空が広い。
この旅行はSailの活動内容に賛同をしめした(株)アジア・
次回はアスタナ遷都前の旧首都、アルマトイです。
(文責 沢津橋紀洋)