東京⼤学⾳楽部管弦楽団(通称「東⼤オケ」)は今年の夏、全国4都市で「サマーコンサート 2023」と題した演奏会を⾏う。チケットは、当団演奏会特設ページ(https://ut-orch.com/2023summer/)から購入可能。全国ツアーに向けた思いを東大オケに寄稿してもらった。(寄稿=東京⼤学⾳楽部管弦楽団・光井理彩)
当団は東大で唯一の東大生のみで構成される、100年以上の伝統を持つオーケストラである。NHK交響楽団奏者などトップクラスの指導者陣の下、日本各地の一流ホールで演奏を行うほか、学園祭での演奏や大学式典での演奏を任されている。コンサートツアーを行うアマチュアオーケストラは日本でも数少なく、まさに伝統と実力のオーケストラだ。
今年のツアーは7月22日に上野の東京文化会館にて行われる東京公演に始まり、7月30日に横浜みなとみらいホールにて行われる神奈川公演。そして8月5日のザ・シンフォニーホールでの関西公演を経て、8月6日に北九州ソレイユホールでの九州公演にて締めくくる。
3年前は開催自体を断念し、また一昨年、昨年と2年連続で感染者増加によるツアー中断を余儀なくされる中、団員のツアー完走に向ける熱量は計り知れない。
中でも、関西公演にかける思いについて、担当外務の高嵐軒(理・3年)は、「今回のサマーコンサートの関西公演はザ・シンフォニーホールで5年ぶりに行います。ザ・シンフォニーホールといえば、サントリーホールと並ぶ日本有数のコンサートホール、また関西出身である私にとって高校生の頃からの憧れの場所、そんな素晴らしい場所で演奏会ができることをとても嬉しく思います。実は2年前にもザ・シンフォニーホールで演奏会を行う予定でしたが、コロナの影響で中止となってしまい、5年ぶりの開催となります。5年という時間の中、東大オケも世の中も大きく変わりました。しかし、移り変わる世の中で、変わらずよい演奏をお届けしたいと思います。団員一同ご来場お待ちしております! 」と述べる。
今回披露する曲目は、
フンパーディンク/歌劇「ヘンゼルとグレーテル」序曲
ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲
チャイコフスキー/交響曲第5番 ホ短調
の3曲。夏の暑さにも負けず、クラシックの真髄を味わえる名作揃いとなっている。
コンサートマスターからのコメント
今年は東京、神奈川、大阪、福岡という4つの大都市で演奏会を開催いたします。
1曲目は、有名な童話のオペラ『ヘンゼルとグレーテル』の序曲です。主人公である兄妹のあどけなさや好奇心、魔女の不気味さが感じとれるフレーズが散りばめられています。「今はどの場面かな? 」と思い浮かべながらお楽しみいただけますと幸いです。
2曲目は、ブラームス作曲の『ハイドンの主題による変奏曲』です。ハイドンとブラームスという偉大な2人の作曲家を同時に堪能できる素敵な曲です。最初の主題と9つの変奏曲から成るのですが、どれもカラーが異なるだけでなく様々なところでブラームス特有の構成美が感じ取れます。
最後はチャイコフスキーの交響曲5番です。偶然にも今年放送されたオーケストラドラマではメインテーマとして起用されました。「1番好きな曲はチャイ5」と答える団員が毎年複数人いるほど、ポピュラーで大勢の人に愛され続ける名曲です。この曲のテーマは「人生への絶望」です。チャイコフスキーが感じた「絶望」とそこに見出す「希望」をダイナミックに表現します。
近年悔しくも全国ツアー公演の中止が続いており、現役団員の中にはサマーコンサートを完走した経験があるものは残念ながらおりません。それでも今年こそはと熱い想いを胸に演奏会に向けてたくさん準備して参りました。全公演地をまわり皆様に心に残る演奏をお届けしますので、是非お越しください! 団員一同、心よりお待ちしております!
今泉ひかり(法・4年)